溶連菌感染症とは


 A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)による感染症を溶連菌感染症といいます。水痘やハシカと異なり数回かかることがあります。溶連菌は菌自体が持つ毒力のほかに菌が産生する発赤毒とよばれる特有の毒素の作用が加わって強力な組織破壊力を発揮して感染部位を化膿させます。数年前、人喰いバクテリアと騒がれたのはこの溶連菌感染症の劇症型ですが、さいわい北陸では流行はありませんでした。


【どんな症状か】

猩紅熱の発疹

イチゴ舌

 もっとも多いのは扁桃炎です。ノドの痛みを伴う発熱、舌にツブツブができるイチゴ舌、溶連菌の発赤毒による皮膚の赤い細かい発疹(このタイプは猩紅熱といいます)、一週間以上たってから皮膚がパラパラむける落屑(らくせつ)などが特徴です。時に血液中に侵入すると敗血症や心筋炎をおこします。他に膿皮症(とびひ)、中耳炎、副鼻腔炎、膣炎などがあります。とびひや膣炎は時々みられます。

【診断】


 
細菌培養・・・時間を要する

 溶連菌迅速反応(右図)・・・10分以内に正確に診断でき、実用的


【どんな治療をするか】
 ペニシリン系の抗生物質を一日3回、なるべく8時間毎に10日間内服してください。ちょうど8時間毎にのむのが難しければ、朝起きてから夜寝るまでの間を三等分してのんで構いません。時間に気を取られて一日2回しかのめないよりも、多少時間がずれても3回のむことが大事です。


【感染と合併症に注意】
 溶連菌には爆発的な流行はおこしませんが、感染力があります。熱がある期間は学校、幼稚園は休んで下さい。以前は死亡率が高く、こわい病気でした。ペニシリンが発明されてからは劇症型以外は死亡率はほとんどゼロになりましたが、急性期をすぎてから腎炎リウマチ熱などになることがあります。これらは非化膿性合併症といわれ、発病後、数週間から数カ月して発症します。ペニシリンをのみはじめて数日で解熱しますが、症状が良くなったからといって途中で薬を止めないで、10日間のみ続けることが大切です。また腎炎を警戒して、できれば2カ月、毎月一回検尿するほうが安心です。


劇症型溶連菌感染症
 
1985年、米国中西部でA群溶連菌による重篤な敗血症が出はじめた。さらに1990年以降、欧州、アジア各国でも発病が確認され、ほとんどが急激に悪化する死亡例であった。我が国では1992年から1993年にかけ50例の発生があり、そのうち7例が死亡し千葉県に多く発生した。現在も散発的に発生している。
 年令、体力に関係なく発症し、症状はいずれも激烈で発熱、手足の発赤や疼痛、水疱に始まり、深部組織が化膿し、意識障害や多臓器不全をともなうショック状態、敗血症などが急激に進行する。敗血症はさらに血管内で血液を凝固させ、血行不全により手足の壊死(腐ること)をおこす。壊死に陥った部位は切除のほかはなく、悲惨な経過をたどる。
 治療には抗生物質の大量投与、ショックあるいは腎不全に対する輸液、透析、壊死部分の切除術を行うが、死亡率は30%に達する。