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胃癌治療ガイドライン
平成11年11月に日本胃癌学会標準治療検討委員会は、胃癌治療ガイドライン(案)を発表、平成13年3月には正式版を発表しました。今後はこれを基準として、本邦の胃癌に対する標準的治療法が確立されて行くものと思います。癌の治療法は施設や担当医によって微妙に異なり、一般の方々の理解しにくい状況にあると思います。自分の主治医が行っている治療法が、日本における標準的治療なのか否かの判断の目安となると思いますので、参考になさってください。
1
   進行度別に見た治療法の選択
   胃癌の治療法別適応
   病期別5年生存率
   奏功率30%以上の胃癌化学療法
病期分類別の治療法の適応
N0 N1 N2 N3
T1(M) 1A

EMR(一括切除)              (分化型、2.0cm以下、陥凹型ではUL(-) )

縮小手術                     (上記以外)

1B

縮小手術    (2.0cm以下)

定型手術     (2.1cm以上)

II

定型手術

IV

拡大手術

姑息手術

化学療法

放射線療法

緩和医療

T1(SM) IA

縮小手術 (分化型15.cm以下)

縮小手術 (上記以外)

T2 IB

定型手術

II

定型手術

IIIA

定型手術

T3 II

定型手術

IIIA

定型手術

IIIB

定型手術

拡大手術

T4 IIIA

拡大手術(合併切除)

IIIB

拡大手術     (合併切除)

IV
H1, P1,

CY1, M1, 再発

IV
注)

定型手術とは、胃の2/3以上切除と第2群リンパ節郭清をいう。

縮小手術とは、定型手術未満の手術をいう。

胃癌の治療法別適応
治療手段 適応の原則 具体的な適格条件 摘要
内視鏡的粘膜切除
(EMR)
リンパ節転移がほとんど無いこと
腫瘍が一括切除できる大きさと部位にある
分化型M癌、肉眼型を問わず
2.0cm以下、ただし陥凹型では潰瘍(ー)
切除標本が再構成できるような分割切除は許容できる
縮小手術A
(2/3以下の胃切、D1+α)
大網温存、時に迷走神経温存
リンパ節転移がほとんどない
M, SM癌
1)術前診断M、EMR適応外の症例で術中N0
2)術前診断SM、術中N0で分化型1.5cm以下
未分化型1.0cm以下
αの部位;7、8a
縮小手術B
(2/3以下の胃切、D1+β)
縮小手術Aの対象とならない病期1A、および2cm以下の1B βの部位;7,8a,9
幽門保存胃切除(PPG) N0-1症例 胃中下部のT1N0-N1症例で腫瘍肛側縁が
幽門から4cm以上離れている
評価法の確立
定型手術
(2/3以上胃切+D2)
D2郭清で根治度A, Bを確保できる症例 縮小手術適応外の術前診断SM以深/N0-2の症例  
拡大手術
(他臓器合併切除、D3郭清)
他臓器浸潤に対する他臓器合併切除 T4症例、または術前・術中N2、
遠隔転移なし
拡大郭清は臨床研究
非治癒手術

姑息手術 軽減手術

根治手術不能症例 腫瘍負荷の軽減
切迫症状の改善(出血、狭窄など)
 
補助化学療法 肉眼的には治癒手術であるが、
遺残腫瘍の存在が想定される場合
早期癌およびT2/N0を除く治癒切除症例 手術単独と比較した研究が必要
術前化学療法 1)中等度進行癌で手術単独でも根治度Bを達成可能であるが再発の可能性が高い症例 Stage ?-?b
T3-4, N1-2, P0, H0
証拠に基づく推奨(EBR)を示す
2)高度進行癌であるが化学療法と手術により根治度Bを達成可能な場合 高度リンパ節転移症例で、
その他の非治癒因子のない症例
証拠に基づく推奨(EBR)を示す
化学療法 切除不能であるが、比較的全身状態が
良好で、重篤な臓器不全がない場合
T4, 高度リンパ節転移, P1, H1, その他のM1症例 証拠に基づく推奨(EBR)を示す
免疫療法 術後あるいは腫瘍による免疫低下症例   抗癌剤と併用
放射線療法 癌による症状の軽減 疼痛、狭窄など  
温熱化学療法 腹膜播種に対する実験的治療    
レーザー治療 EMRの補助的手段 EMRの遺残巣の治療  
緩和医療 終末期の症状の寛解 疼痛などの肉体的苦痛や精神的不安など   
定型手術後の病期別5年生存率
病期 IA IB II IIIA IIIB IV total
生存率(%) 93.4 87.0 68.3 50.1 30.8 16.6 73.7
進行胃癌に対する化学療法
抗癌剤種類 奏功率 平均生存期間(月)
1989 5-FU

MTX+5-FU

1.7

16.4

7.3

7.9

1991 FTM

UFTM

7.8

25.3

6

6

1999 UFTM

FP

5-FU

9

34

10

6.4

7.7

7.7

1995 UFT+P

UFT+ETP+P

35

50

6.3

6.5

1993 5'DFUR+P

IDEM

35

50

9.1

9.1

1996 5'DFUR+MMC+CDDP80mg

5'DFUR+MMC+CDDP60mg

52.4

12.5

7.4

6.3

1985 5-FU

5-FU+ADM

FAM

18

27

38

7

7

7

1991 FAMTX

FAM

41

9

10.5

7.2

1992 FAMTX

EAP

33

20

7

6

1993 5-FU

FAM

FP

26

25

51

7.7

7.3

9.2

1994 FAM

PELF

15

43

5.6

8.1

1994 5-FU

FAP

FAMe

FAMe+TZT

  6.1

6.1

7.7

2000 FAMTX

ELF

FP

12

9

20

6.7

7.2

7.2