マイコプラズマ肺炎

特徴:

 マイコプラズマ肺炎はウイルスと細菌の中間に位置する 病原体であるマイコプラズマ・ニューモニエの感染でおこる肺炎で次のような特徴を持つ。マイコプラズマ・ニューモニエの性状については治療の項を参照。

[1]:流行はほぼ4年ごとの周期性を示し、6〜7カ月にわたり遷延する(最近この周期性にかげりがみられてきている)。

[2]:小児・若年成人が中心で、1才以下には比較的少ない。熱発で発症し長引く、しつこい乾いた咳が特徴である。咳は早朝、夜間就寝時に増強する。

[3]:胸部レントゲン写真は特徴的ではなく、間質性肺炎(気管支肺炎)と大葉性肺炎との混合したパターンを示す。
  肺炎の
レントゲン写真の説明を肺炎のページに用意しました。

  (胸部レントゲン写真説明のページにリンク)

[4]:職場内・家族内感染の傾向が強い

[5]:経過は一般に良好で、必ずしも入院加療は必要ではないが、合併症のある時には入院治療が必要である。
[6]:肺炎マイコプラズマは心筋炎・心外膜炎、中耳炎、鼓膜炎、多形紅斑(かなり多い)、ステーブン・ジョンソン症候群、髄膜炎、脳炎、多発神経炎ギラン・バレー症候群のページにリンク)、寒冷凝集素症、血小板減少症など多彩な病変を起こすこともある。

診断:
(1) 分離培養による病原体検出。陽性となるまでに8日以上を要す。
(2) 遺伝子学的方法(PCR法)による核酸検出。健康保険を使えない。
(3) 蛍光抗体法による抗原検出。感度が高く、病初期にも診断できる非常に有用な方法。健康保険を使えない。
(4) 一度の採血で320倍以上の中和抗体価(PA価)の有意上昇。160倍以下の場合は擬陽性か陰性、まこの場合は2週間の間隔で4倍以上の抗体価の有意上昇があれば陽性。確実だが、2度採血を要し(ペア抗体)、病初期には診断できない。症状の重い急性期に診断がつかない欠点がある。
発病早期に上昇するIgMという抗体を検出する迅速反応キット(イムノカード・マイコプラズマ抗体)は発発病1週間で診断できるが、、反応の発色にバラツキがあり偽陽性が多いので特異度が低く、信頼性に欠ける。

治療:

 肺炎マイコプラズマは直径125〜153nm 程度でウィルス程度の小さな病原体だが、ウィルスと異なり増殖に生きた細胞を必要とせず(偏性細胞外寄生菌)、一部の抗生物質が有効なことから、細菌に分類される。しかし、細菌の特徴である細胞壁を持っていない。細菌感染症治療の第一選択として使われるβーラクタム系の抗生物質(ペニシリン系、セフェム系など)は細菌の細胞壁を障害して菌を殺す作用を持つが、細胞壁を持たないマイコプラズマには無効である。有効なのは蛋白合成阻害剤のマクロライド系抗生剤やテトラサイクリン系抗生物質、ニューキノロン系抗生物質である。
近年、細菌性肺炎が激減した中で肺炎全体に占めるマイコプラズマ肺炎の比率は高まっている。


マイコプラズマ肺炎については別に「肺炎」のページにも説明があります