イオン飲料水の落し穴


 暑くなって水分をのむ機会が多くなってきました。赤ちゃんや乳幼児のお風呂あがり、あるいは汗をかいた後に水分を補給するために、以前はほとんどのお母さんが番茶か湯ざましを飲ませていました。
 でも、最近はイオン飲料水を飲ませる家庭が増えています。甘酸っぱいイオン飲料水のほうが水やお茶よりも好まれやすく、なかには一日に大きなペットボトル一本分も飲んでしまう子供もいるくらい生活にとけ込んでいます。
 しかし、このイオン飲料にはいくつかの落し穴がありますので注意が必要です。
生命を維持するために必要なイオンは塩分で構成され、激しい運動をして大量の汗をかいたとき、あるいは嘔吐・下痢などのときに身体から失われます。
 失われた塩分を補給するためには、単独で摂取するよりも、小量の糖分と一緒に飲むと腸から吸収されやすく、この原理を応用して開発されたのがイオン飲料水です。顆粒状のイオン飲料は日本から未開発国に送られ、コレラや赤痢などの腸炎に苦しむ小児の命を多く救っています。
 イオン飲料水を塩分を補給する目的で必要なときに飲む分には支障はありません。しかし、一旦イオン飲料水の味を覚えた子供は、単純な水やお茶を飲みたがらなくなります。水分を飲ませたい親はイオン飲料水を飲ませ続けざるを得なくなります。すなわち、麻薬とまではいきませんが、イオン飲料水を止められなくなります。
 水代わりに頻繁に飲んだり、哺乳ビンでゆっくり時間をかけて、あるいは寝る前に飲むことが習慣となって口の中がイオン飲料水漬けになっていると、糖分が歯垢(プラーク)の細菌により分解されてできる酸と、もともと口当たりを良くするために調整してあるpH2〜4というイオン飲料水の酸の両者のせいでムシ歯になる恐れが出てきます。
 また、塩分を常時摂取することは腎臓に負担を与えます。腎臓はもともと塩を手に入れることが困難であった原始時代に、身体から老廃物は排出するが、身体に必要な塩分を尿の中に排泄せずに回収するために発達した臓器です。今日のように塩分過多の食生活は腎臓に塩分を排泄しなければならないという、元来の機能と反する負担を与え、高血圧のような成人病を誘発します。
さらに、過剰な糖分は膵臓に負担を与え、糖尿病の原因となることはいうまでもありません。