細菌感染以外の原因による髄膜炎であり、ウイルス、リケチア、肺炎マイコプラズマ、真菌、原虫などの感染、自己免疫反応、化学物質の刺激によるものなどがある。大部分がウイルス性感染である。
流行時期:毎年夏にピークあり。
原因:
エンテロウィルス(夏かぜの原因であるエコーウィルスが中心。コクサッキーB群ウィルス、コクサッキーA群ウィルス、ポリオウィルス、エンテロウィルス71の順に多い)が原因の80%を占める。ほかにムンプスウィルス、単純ヘルペスウィルス、日本脳炎ウィルスなど多彩。また乳幼児では細菌性髄膜炎の頻度が高いので鑑別に注意。
毎年夏に大流行するヘルパンギーナの原因であるコクサッキーAウイルスや、手足口病の原因であるエンテロウィルス71も合併症として髄膜炎を起こすが、髄膜炎の主な原因ウイルスにはならない。また近年の化学療法の進歩により白血病、腫瘍、移植患者などに免疫抑制剤が投与され生存期間が延長し、真菌などの日和見感染による髄膜炎の増加傾向がみられる。
[発熱]:ほとんど必発であるが、新生児ではみられないことがある。
[頭痛]:年長児では激しい頭痛がみられることが多い。
[嘔吐]:よくみられる。発熱・頭痛・嘔吐が3大症状。
[髄膜刺激症候]:6カ月以降の小児ではしばしばみられるが、新生児、幼若乳児ではみられないことが多い。頭痛、悪心、嘔吐、項部硬直、意識障害や、膝関節を屈曲できるが、伸ばせなくなるなど。
[大泉門の膨隆]:乳児では大切な所見である。新生児では症状が進行するとみられるようになる。
[けいれん]:無菌性髄膜炎ではけいれんは比較的まれである。
[その他]:不機嫌、無呼吸発作、哺乳力低下、易刺激性、筋緊張低下などが新生児ではしばしばみられる。
髄液検査でリンパ球優位の細胞数増多。時に好中球優位のこともある。細菌性髄膜炎のような髄液混濁は認めない。必要に応じてウイルス分離(エンテロウィルスに対して)、抗体検査(おたふくかぜ、単純ヘルペスウィルス、日本脳炎ウィルスに対して)、細菌培養、染色鏡検、血液培養なども行う。
ウイルス性の時にはリンパ球が多いとされるが、病初期には好中球数が多く、1〜2日後にはリンパ球が多くなるので、必ず髄液細胞数の再検をして診断する。
不完全治療の細菌性髄膜炎では細胞数の増多は顕著ではないが、好中球は多い。真菌性の場合(クリプトコッカス、カンジダ)、採液した病期によって好中球とリンパ球との比率が異なるので経過をみて診断する。
けいれんを伴う場合、熱性けいれんとの鑑別が問題になる。急性脳炎、急性脳症は発熱、痙攣、意識障害が3大症候であり、長期間持続する痙攣、重篤な意識障害の際は髄膜脳炎を疑いCT、MRI、脳波検査が必要である。
好発年齢:0〜4才が40%、5〜9才が40%、10〜14才が10%、男児に多い(2:1)。
特徴:
同一ウイルスの感染で乳幼児は発疹症で、やや年令が上がると髄膜炎が増加する現象が観察される。
近年サーベイランス・システムが充実し、流行の情報が入手できるようになり、とくに無菌性(ウイルス性)髄膜炎では流行の予測が可能となり、それによる注意深い診察により無菌性髄膜炎の診断がより早く行われるようになった。
合併症:
一般に良好で、運動障害、知能障害を残すことはほとんどない。新生児無菌性髄膜炎で発達の軽度の遅れ、てんかんなどが見られることもある。
治療:
安静臥床にして入院治療が原則であるが、全身状態が良く、細菌性髄膜炎を完全に否定できるなら、必ずしも入院は必要ではない。脊髄液を抜くことで髄液降圧が下がり、頭痛や悪心が軽快することが多い。悪心、嘔吐による脱水に対しては輸液を行う。
髄膜炎の原因には細菌(結核菌も含む)、ウイルス以外にもリケチア、肺炎マイコプラズマ、真菌、原虫などによるものがある。細菌性髄膜炎のなかでも結核菌を除く菌によるものを化膿性髄膜炎とよぶ。
| 無菌性髄膜炎 |
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| 好発年齢 | 2〜10才 | 0〜4才 | 1〜4才 |
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ウイルス、リケチア、肺炎マイコプラズマ、真菌、原虫 | 髄膜炎菌、インフルエンザ菌、肺炎球菌、B群溶連菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌 | 結核菌 |
| 発熱 | 低め | 40〜41 ℃にも | 39 ℃前後が続く |
| けいれん | 比較的まれ | 多い | しばしば |
| 予後 | 良好だが、新生児では注意 | 幼若なほど予後不良。新生児は死亡率が高い | 幼若なほど重篤になりやすい |
| 後遺症 | 発達の軽度の遅れ、てんかんなどが見られることもある。 | 硬膜下水腫、小頭症、てんかん、片麻痺、知能障害、聴力障害 | 死亡率も高く、てんかん、知能障害、運動障害を高率に残す |