クループ症候群(仮性クループ)


 喉頭周辺(右図)が狭くなって空気を十分に吸い込めなくなる状態をクループと云います。原因は主に喉頭周辺の炎症ですが、他にアレルギー性、心因性の原因も含めてクループ症候群と呼びます。

症状:

1. 犬が吠えるような、特徴的な咳(犬吠様咳嗽)。その咳の様子からクループと推測できる
2. かすれ声(嗄声)
3. 息を吸うときにゼーゼーやヒューヒューする(吸気性喘鳴)

 が3大症状で、種々の程度の呼吸困難(努力性呼吸)を伴う。気道の狭窄であるため、呼吸困難は極めて重症のこともあり、多量の唾液を出し、チアノーゼ、不隠状態、呼吸停止を起こして救急処置を要することもある。クループは部位によって声門上部狭窄と声門下部狭窄とがあります。

炎症の原因:

 細菌、ウィルス、マイコプラズマ(説明のページはここをクリック)、真菌(カビ)などの感染が原因の大部分を占めるが、アレルギー性要因や心理的要因が関与する場合もある(後述)。なかでも細菌、特にヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)による急性喉頭蓋炎が最も注意を要するジフテリア菌の感染によるものは真性クループ(喉頭ジフテリア)と呼ばれ、仮性クループとは異なる病態であり、今日ほとんど見られない。

クループ症候群の病型

喉頭気管気管支炎

痙性クループ

急性喉頭蓋炎

細菌性気管炎

重症度

軽症〜重症

軽症が多い

重篤

重篤

頻度

最も多い

夕方、夜間に多い

少ない

少ない

原因

ウィルス感染

アレルギー反応
心理的因子

細菌感染、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)が多い

細菌感染、黄色ブドウ球菌が多い

好発年令

3ヵ月〜5才、1才が最多

6ヵ月〜3才

3〜6才

1ヵ月〜6才

炎症部位

声門下部の炎症

声門下部の浮腫

声門上部の喉頭蓋が球状に腫れて、気道を閉塞する危険あり

声門下部から気管、気管支の狭窄

症状

カゼ症状に引き続き犬吠様咳嗽嗄声、吸気性喘鳴が出現。夜間増悪する。呼吸困難は軽度。

夜間発作性に犬吠様咳嗽嗄声、吸気性喘鳴を生ずる。呼吸困難、チアノーゼは軽度。

発熱、咽頭喉頭痛、咳で急激に発症。短時間で喘鳴、嚥下困難、ヨダレ、呼吸困難が著明となる。

初期は喉頭気管気管支炎に類似するが、高熱、前頚部痛、嚥下痛、呼吸困難が著明となる。

経過

3、4日がピークで1週間以内に治癒。肺炎、気管支炎を起こすことも。

通常、数時間以内に軽快する。

窒息死、意識障害、ショック症状を起こしやすい。

気道閉塞が急速に進行する恐れあり。

特徴

麻疹やインフルエンザに伴うものは重症化傾向。

遺伝傾向を認めることもある。

経過が電撃的で、治療を優先する必要あり。

緊急性あり。早期診断が重要。

治療

通常は外来治療。
吸入療法、加湿、輸液

外来治療。
吸入療法、加湿、輸液

入院のうえ気道確保、抗生物質療法。

入院のうえ気道確保、抗生物質療法。

喉頭気管気管支炎の原因ウィルス:

 パラインフルエンザウィルス1型、2型が最も多く、約70%を占める。インフルエンザウィルス、アデノウィルス、RSウィルス(RSV)などがこれに次ぐ。RSVは毎年冬期に大流行する。麻疹ウイルス、風疹、水痘ウイルスがクループ症状を起こすこともある。

小児期にクループの多い要因:

小児の喉頭組織が粗である。

小児では喉頭の位置が成人より高い。

喉頭蓋が声門に近く、喉頭蓋と声門の作る角度が小さい。

喉頭蓋が軟らかく、浮腫を来しやすい。

輪状軟骨部が上気道で最も狭い。

診断:

臨床症状。

高圧X線写真撮影で確定診断と狭窄の程度を把握する。

血液培養。

声帯より上部の病変は喉頭鏡やファイバスコープで直接みることができるが、声帯より下の病変は麻酔下での観察に限られる。

感染以外の病因:

・アレルギー性機序によるものが多いと考えられているが、その病因や程度は症例により異なる。

・アレルギー素因のある児がなんらかの刺激により喉頭の血管運動性浮腫を来し、クループ症状を呈することがあり、反復性の場合が多い。

・食事アレルギーのある児が食物抗原を摂取して、喉頭狭窄を来す場合もある。卵アレルギーで時にみられる。

・アレルギー反応以外には,低カルシウムによっても喉頭けいれんが起き、クループ症状を示すことがあるといわれている。

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