減肥茶と肺高血圧


 4年前に「神奈川県厚生部は食欲抑制薬フェンフルラミンが添加されていたとして、中国産の減肥茶2品目を輸入・販売していた横浜市の業者に対し回収と販売停止を指示した」という報道がありました。フェンフルラミンは約2か月で8%の体重減少をきたす強力な「やせ薬」で、欧米では肥満の治療に使われていますが、日本では許可されていない薬です。
この記事の後、フランスの研究調査でフェンフルラミンを3か月以上連用した人は、服用しない人に比べて肺高血圧症が23倍も多く発生することが明らかにされました。肺高血圧とは肺血管の抵抗が増え、肺動脈圧が上昇し、やがて血管内壁を傷つけ、はがれた細胞や血液の塊かたまりで血管がふさがり、酸素を取り込めなくなる病気です。進行すると呼吸困難、失神、身体のむくみなどの心不全症状が現れます。先天性心疾患には合併することが多いので、注意されている症状です。
まもなく欧米でもフェンフルラミンの使用は禁止されました。

一旦日本でも中国産の減肥茶は姿を消したかに思われましたが、インターネットや個人輸入などで秘かに購入され、最近になって重症副作用や死亡事故などの報道が目立ちます。これら中国産の減肥茶にはかってのフェンフルラミンの誘導体が入っており、副作用は元のフェンフルラミンよりも強いと云われています。

 人気の減肥茶、あるいは痩身茶の中には副作用の強い成分が添加されているものがありました。これらは副作用が少ないという漢方薬のイメージを悪用したものが多いようです。フェンフルラミン、あるいはその誘導体で肥満は解消できたが、その代償は寿命で支払わねばならないとは悲しい話です。購入するときは内容をよく確かめてください。ただし体重をコントロールする最も良い方法は、摂取カロリーを自分で守ることであることをお忘れなく。種も仕掛けもなく痩せる方法などある筈がないのです。

初版:平成10年11月