アタマジラミ


捕獲直後のアタマジラミ、体内に吸血した血液が見える。

 第二次大戦後に大流行し、DDTやBHCなどによって長らく息をひそめていたシラミが、最近増加傾向にあります。
シラミは元々暑さ・寒さを嫌いますが、住宅の季節による気温変動が少なくなったことにより繁殖しやすくなりました。家庭内、集団生活内での感染が顕著です。
シラミにはアタマジラミ、コロモジラミ、ケジラミの3つがあり、児童(女児に好発)に多いのはアタマジラミです。

特徴:

1. 刺されことによる皮膚炎がシラミによる病害であり、側頭部から後頭部にかけてのかゆみが特徴的である。発疹チフスや回帰熱、発疹熱の病原体を媒介するため、注意が必要である。成虫または卵を見つければ診断がつくが、卵は時にフケやその他の似たものと区別がつきにくい場合がある。

2. 成虫は体長2〜4mmで、頭部には1対の触角があり、その基部下方に1対の眼がある。胸部には3対の脚があるが、翅はない。ヒト頭髪(とくに後頭部〜耳介後部)に寄生し、皮膚から吸血し、頭髪に卵を産み付ける。ときに眉毛、睫毛にも寄生し、人血のみを栄養源とする。

3. 卵は楕円形で、1本ないし数本の毛髪を束ねてセメント様の物質で密着させて1個ずつ産みつける。殻は落ちにくく、卵の抜け殻を生きた卵と間違えやすい。右に位相差顕微鏡の写真を示す。

4. 伝染は接触により、とくに幼稚園・学校で集団発生することがある。また、脱落してプールの脱衣カゴ・劇場・乗り物などでも感染することがある。

5. 家族内、集団生活の場で繰り返し感染する場合もある(ピンポン感染)。 

6.  卵は約8日で孵化して幼虫となる。成虫の寿命は約30日。

7. 人の皮膚温度の26-35度Cを適温として生活するが、20度C以下では静止状態、38-40度Cでは抵抗力を失う。高温、多湿を嫌い、夏は繁殖に適さず、主に冬に繁殖する。

治療:

1. 剃毛がもっとも効果的だが、しばしば実行困難である。

2. フェノトリン(スミスリンパウダー、若しくはスミスリンシャンプー)の外用を1日1回、3日に一度ずつ(2日おきに)計4回繰り返す。フェノトリンは卵には効果はないが、幼虫や成虫に対して有効で、通常3日後には成虫は消滅し、10日後には卵も検出されなくなる。3日に一度ずつ(2日おきに)計4回塗布を繰り返すのは約8日間前後の卵の孵化期間中に孵化した幼虫を駆除し、根絶するためである。

3. 家族内、集団生活の場では繰り返し感染する(ピンポン感染)機会が多いので、同時に治療することが必要である。

4. 付着した卵の殻は落ちにくいので、すき櫛(くし)などを使って髪をすくのも大切です。

予防:

1. 布団、枕、寝まき、帽子などをできるだけ日光消毒する。また、洗浄や熱処理(熱湯、アイロン、ドライクリーニング)、あるいは3日間ほどビニール袋に入れて放置しておくと死滅する。

2. 少なくとも2日に1回はシャンプーをする。

3.できれだけ頭髪を短くする。


コロモジラミ

アタマジラミと同一種で形態学的にはほとんど相違点がなく、卵が衣服の繊維に産みつけられ、成虫はアタマジラミ同様1日に5〜6回吸血する。

ケジラミ

 体長は約1mmで巾の広い体形に特徴がある。主として陰毛に寄生するが、眉毛、腋毛にも寄生する。口器(刺口)を深くし刺こみ、吸血時間が長いため、かゆみが特に激しい。主として性行為により、人から人に直接接触感染するが(STD)、添い寝をする母親を介して幼児へと感染し、睫毛、眉毛、頭毛に寄生することがある。潜伏期は1か月程度といわれる。卵は陰毛1本に1〜2個ずつセメント様の物質で固着して産みつけられる。