環境考古学 微小植物分析による手法
古代の遺物を含む土壌から微小植物遺体を検出し、分析することで古環境が解明されます。
プラントオパール分析:
「プラントオパールとは、植物の葉に含まれるガラス質の成分で、イネ科の植物に特有のものです。植物が枯れた後も残るので、どんな植物が生えていたのかを探る資料となります。
左の写真はイネのプラントオパールです。このプラントオパールが採集されたことで、採集地点付近で水田稲作が行われていたことがわかります。
花 粉
花粉は、年月がたっても比較的分解されにくい性質があります。この性質を利用して、遺跡の土壌に含まれる花粉を分析し、土の堆積時の植生や、当時の気候、古環境の推定をすることができます。
左の写真はマツの花粉です。
珪藻分析
珪藻は、固い殻をもつので長い年月がたっても保存されます。その性質を利用し、分類された珪藻の種類を分類することで、堆積当時の環境を解明することができます。また、珪藻は高温でもその殻が壊れることは無いので、土器などに付着している場合はその用途、粘土に含まれている場合は使用された粘土の産地の特定をすることもできます。
珪藻類1(Coscinodiscus oculus-iridis EHR.)
左の写真の珪藻は、能登島で発掘された白色の珪素藻土中に含まれていたもので、製塩炉の保温材として利用したと考えられています。
珪藻類2(Actinoptychus splendens (SHADB.) RALFS)
左の写真の珪藻は、能登島の南地区で採取した白色の風化珪藻土から検出されたものです。
珪藻類3(Cymbella tumida (BREB.) V.H.)
左の写真の珪藻は、八日市地方遺跡から出土されたものです。ここの遺跡では、上部の土層では、少量の塩分がある方がよく生育する珪藻が、中層部では塩分には耐えられない純淡水性の珪藻が優勢となっていました。
珪藻類4(Eunotia pectinalis (PYLLWYN) var. undulata (RALFS) HUST.)
左の写真の珪藻は、八日市地方遺跡の遺物包含土層断面に含まれていたもので、この珪藻が含まれていたことで、当時この地帯は湿地が広がった水域であったことが推定されます。