耳鼻いんこう科・アレルギー科野垣医院
Tel&Fax076(421)4073

補聴器の話(3)

耳の働き
音の本質は、振動する物体から発生する空気分子の粗密波で、特に人の耳に感じられるものを言い、空気分子の運動の方向に進みますから縦波といわれます(物理的表現)。しかし又、空気分子の運動が聴覚器官に伝えられ大脳で自覚された感覚をもって音とも言います(心理的表現)。
空気の圧力の変動は、これが外耳で集められ鼓膜の振動という機械的な運動になり、中耳で増幅され、内耳の感覚細胞で電気的な神経活動に変換されます。すなわち耳は空気の分子運動を電気的神経活動に変えるわけですから、エネルギー変換器です。又このエネルギーを無駄なく伝えるためのインピーダンスマッチング作用があります。

正常な耳とは
人間の耳は大体1000hzから5000hzぐらいの音にもっとも敏感です。それより高い音や低い音に対してはやや鈍感になります。聴力の正常と思われる若い人をたくさん集め、色々な高さと強さの音を聞かせ、音の感覚を初めて生じさせる時の最小の音の強さ(音圧)を決定し、その実効値を最小可聴値としています。これが音に関する心理的な感覚量(大きさ)と機械的な物理量(強さ)の接点となります。したがって実際の聴力検査の際の各周波数の最小可聴値(感覚量)の音圧(物理量)はJISで決まっています。この値と比較して各個人の聴力レベル(db)か決まり、一応25db以下を正常と言います。

補聴器の使い方
実際に自分に合った補聴器を購入した後では、先ずそれに慣れることが先決です。周囲の人が根気よく教え、又自分で説明書を読み用語を理解し大体の使い方を勉強しなければなりません。一般に高齢者の場合は、細かい小さな文字やスイッチ類は見ずらく、また根気が無くいらいらすることがあります。周囲から暖かく見守ってゆっくり指導することです。

補聴器をつける順序
1)スイッチを切るか又はボリュウムを最小にする。
2)イヤホンを耳に入れる。前後を確かめ隙間の無いようにぴったり挿入する。
3)ボリュウム徐々に上げて行く。
4)聞きたい音に応じてボリュウムを調節する。
5)はずす時はボリュウムを最小にするかスイッチを切ってからはずす。
(注意)挿入時に隙間ができると「ピーピー」と音が出ます(ハウリング)。

段階的練習
補聴器をつけると急に周囲のもろもろの音がいっぱい聞こえてきます。最初はやや小さめの音量で少し練習します。段階を踏んで徐々に慌てず慣れていくようにします。相手の口元をよく見て、また身振り手振りをよく見て補聴器からの音を聞きながら理解するように努力する。

  • 第一段階
    本を読んだりして自分の声になれる。
  • 第二段階
    静かなところでテレビのニュース番組などをきく。
  • 第三段階
    静かなところで二人で話す。普通の大きさでゆっくり話してもらう。
  • 第四段階
    4〜5人で会話をする。自分も参加する。
  • 第五段階
    日常会話に積極的に参加する。

身体障害者福祉法と補聴器
難聴が進みコミュニケーション障害が生じますと、生活の質いわゆるquality of lifeが低下します。聴力検査の結果が、1)両耳の聴力レベルが70db以上のもの(40センチメートルの距離で発声された会話声を理解し得ないもの)、2)一側耳の聴力レベルが90db以上、他側耳の聴力レベルが50db以上のもの、であれば聴覚障害の6級に該当し身体障害者手帳が交付されます。この時、希望があれば申請すれば決められた範囲内で補聴器が交付されます。
まず、耳鼻科のお医者さんで補聴器の交付についての意見書を書いてもらいます。診断名、検査結果、希望補聴器のタイプ、補聴器使用による効果、などを書いてもらい、市町村の福祉関係の窓口へ提出しますと、適当と認められれば交付されます。


back to the top