北陸内観懇話会
 さわやかメール・5号 
(99/01/01 )



あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。


講   演

『人間性喪失現象と子供たち』

講 師  松平 義麿先生 (親と子と教職員の教育相談員)


富山県・全国的ケースから
 富山県でもいじめ、自殺、不登校、ナイフという相談を受ける。
全国的レベルでは、オウムサリン事件があげられる。このような非人間的な犯罪から人間性喪失現象という言葉を私は思い浮かべた。神戸の連続少年A犯罪、家族関係の異常性を感じさせる金属バット事件、児童虐待死もそれに含まれるだろう。人間らしい心が失われてきている。その根底に現代社会の病原が潜んでいるのではないか。
人間性とは?
 人間は動物と違い精神的な豊かさを求めている。神に近い存在になりたいという思いを持っているのではないか。神と機械と自然と機械と動物の間に人間がいる。機械の威力に、人間は神や自然に対する畏敬の念を忘れかけている。すべての命を高め輝かせる存在が愛情と英知。その二つが人間性の大きな中身ではないか。
人間性喪失の要因
 ストレスや自己中心的な考え方、欲望の肥大等。そして人間関係が希薄になってきていることがあげられる。大衆の中に埋没してしまうと、逆に自分という人間がここにいるという自己顕示をしてみたくなる。
今後は?
 学校は、多くの課題を抱えている。今後、完全週休五日制が始まり、これに伴う子供の変化の二極分化が進んでくるのではないか。
 時間の有効活用型と浪費型の二極に分かれ、テレビゲームや麻薬の依存が問題視されるだろう。また、国際化進むに連れ風俗習慣の違いなどから問題がおこるだろう。
 このような問題に対して一つには、子供たちに広い視野を持たせ、多様な価値に触れさせること。二つには、勉強のみならず地域での役割分担をさせること。試行錯誤の過程の中で主体性を養わせることが必要ではないか。

<講演後の質疑応答から>

Q 学校の先生は時間的な余裕がなく、生徒も主体性を持つどころではないように思われる。学校の先生も父母を信頼していない。父母も学校の先生を見張っている。つまり信頼していない面がみえる。生徒・父母・先生それぞれが余裕がないように思える。教育の現場から見てどうですか。

A 学校はいろいろな物に振り回されてしまっている。学校にも主体性が必要。いろんな要請に対応していかなければならないが、どこに目を向けなければならないかを把握しておけば、ムダが減るのではないか。本当の教育を把握すること。対症療法だけであれば時間に追われてしまう。
もう一つは、権威主義は今だにあるような気がする。現場にいた時はわからなかったが、相談をうけて保護者から学校への不信感の相談を受けることがある。学校の敷居は高いし、先生も千差万別の人がいる。先生が忙しかったら地域の方に力を借りるのも一つの手。先生のがんばり方も考えてやっていかなければならない。



内観関連の会&施設紹介

神戸アドベンチスト病院心療内科
プロテスタント系の教会をもつ神戸アドベンチスト病院。その中の心療内科では、 さまざまな療法の中でも内観療法を大切にして下さっております。蛇足ですが、この病院ではクリスマスは大々的に行われますが、お正月は普段と変わらないそうで、厳格なキリスト教徒集団です。しかし、患者さんはじめスタッフは、すべてキリスト教徒でもないようです。
担当医の宮崎邦彦先生は、精神科医。しかし、精神科の敷居は高いからと心療内科の看板を掲げているそうです。
 キリスト教系の病院なので病院の幹部に内観を理解してもらうのに時間がかかりましたが、今年12月に初めての「内観の集い」が開催されました。この会は当会、さわやか会をモデルとしています。患者さん始め、その家族、教育関係者をまじえ百名ほど集まりました。


このメールに関しては北陸内観研修所 0764-83-0715 Fax 0764-83-0955まで