| 梅雨に入って暑い日や雨の日など天候がすっきりしない日が続きますが、あじさい
やショウブ等の花が、美しく咲いて心を和ませてくれますね。 さて、6月のアルコール・セミナーは『アルコール依存症と体の病気』をテーマ
に、スライドを交えて富山市民病院の吉本先生に講義をしていただきました。
 ではその内容についてご紹介します。
 
 ア ル コ ー ル の 分 解  ア
ルコールの分解−肝臓で分解されて初めてからだからなくなる
           尿や汗で体外へ出るアルコールは多くても飲んだ量の10%
   アルコールの消失時間 どんな人でもほぼ一定
          ビール コップ1杯  1時間              
大ビン1本  3時間          日本酒  1 合   3時間
               3 合   9時間
  ア ル コ ー ル と 脂 肪
                 水素原子            肝臓へ沈着
    アルコール…肝臓で分解   水素原子    脂 肪
                 水素原子   (血 液)         
                        心臓へ沈着
     大量飲酒者   血中の脂肪量が非常に多い             
血清が白く濁る…肝臓の働きが悪い(健康な人…無色透明)           
   
  肝 臓 の 病 気
  脂 肪 肝  肝臓
に脂肪が沈着したもの          5合以上の日本酒を飲むと数日で出現
  アルコール性肝硬変   肝  臓  硬く表面は凸凹してくる       
  正常な細胞が少なくなる。
         末期になるとγ−GPT、GOTもあがらなくなるくらい弱る。
  食道動脈瘤  肝硬変になると流れが悪くなり、バイパスとして食道の内側を流
れ         る。         食道内部に血管が、盛り上がってく
る。
         盛り上がっている血管が硬い食べ物などで傷つけられると、大出
血         を起こし、死亡の原因となる。
  腹   水  肝硬変が悪化すると腹水がたまり、おなかが異常に出てくる。
 
膵 臓 の 病 気  膵 石 症  アルコール依存症者に多い。
         膵炎を繰り返すと膵臓内に石がたまり、膵臓の機能が悪くなる。
         糖尿病も併発する。
ア ル コ ー ル と 脳 細 胞
  成人を過ぎると脳細胞は1日20〜30万個づつ壊れていく。  アルコールは
この破壊過程を早める。
  大量飲酒者は脳細胞の大量破壊により空洞化し、年齢に比べて早く萎縮する。 
 痴呆症状が出現する。
     ・お酒を止め続けると細胞の連絡がうまく進むため、少し改善する
ア ル コ ー ル と 性 ホ ル モ ン 【男性の場合→女性化する】
体にアルコールが残っている間、血液中の男性ホルモンのレベルは下がっている。
大量飲酒者の場合は、飲酒にかかわらず慢性的に血液中の男性ホルモンのレベルは低い。逆に、肝臓障害等で女性ホルモンの分解が悪くなり、相対的に女ホルモンが高くなる。
男性の場合、性ホルモンのバランスが崩れ、女性化乳房となり、乳房が膨らんでくる。 【女性の場合→男性化する】
飲酒後、血液中の女性ホルモンのレベルは下がり、男性ホルモンのレベルが上がってくる。
大量飲酒者の場合、女性ホルモンのレベルは慢性的に低い。このため女性的な体型が崩れる。        種々の性機能障害が出てくる。
性周期が乱れ閉経が早くなる。
 | | 今回のアルコール・セミナーはいかがだったでしょうか? 飲み過ぎは体に悪いとよく言われますが、こんなに多くの内科的な病気を引き起こすことを改めて考えさせられたように思います。
 飲み続けると脳も内臓も悪くなりますが、飲まない生活を続けると、また脳も内臓も働き出す場合もあります。きちんと治療をして、飲まないで生活することを考えてみませんか。
 
 
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 (文責:杉本留美) 
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