平成9年度前期アルコール・セミナーたより(No.5) 

(平成9年8月22日)



 日の出、夕暮れが早くなり、風がひんやりと感じる頃となり、いよいよ秋らしくなってきましたがいかがおすごしでしょうか?
 さて、8月22日に平成9年度第5回アルコール・セミナ−が行われました。
 砺波総合病院ソーシャル・ワーカー袴谷さんに「酒のない生活に向かって−家族ができること−」として講演をしていただきました。
 ではその内容についてご紹介します。
(1)家 族 と は
 概 念 親子、夫婦、兄弟姉妹……社会の基本的単位
     互いにコミュニケ−ションのある関係……関係によって成立している。
      (一方の働きかけに対して他方が反応する。)
     愛情と、相互理解によって成り立つ関係
 実際は、それぞれに家族を大事にしたい(気持ちはつながっていなければならないという幻想)という気持ちはあるが、現実は、テレビ、電話や会話の減少など、個別の生活で概念と現実が合わなくなってきている。
 家族の機能を省みることも原点。

(2)家 族 と し て で き る こ と
★お酒を飲むことに関わらない。
 家族−被害者としての役割もあれば、加害者としての役割もある。
 家族は毎日関わっているので知らず知らずのうちにお酒を飲ませていることもある。
★お酒を飲ませるきっかけをつくらない。
 怒らせないで、どうすればいいかを本人に考えてもらう。
 家族が酒を止めさせようと思ってはいけない。そうすると本人はいかに酒をやめないかを考える。
★酔うことに関わらない。
★酔いの後始末をやめる。
★暴力から逃げる。
★本人に、「愛しているよ」というメッセージを送る。
★相手のペースに合わせて見守る−時間がかかる。じれったい。でも大切なこと。
★飲んでいることについては、あなたの責任だと、本人に問題を直面化してもらう。
★悩みを打ち明ける仲間を作る。−入院させる、させないの問題ではない。

 専門家や、同じ悩みを持つ家族同士で不安を出す。そしてネットワークを作る。
 画一的な対処法は存在しない。試行錯誤をしながらそれぞれの家族が、それぞれの接し方を見出だしていくことが必要。

 アルコールの問題は、非常に難しく簡単には解決せず、永い時間をかけてゆっくりやっていくことが必要です。今までどおりの生活をしていくことは楽ですが、状況は変わりません。生活を変えることは大変ですが、やることが大事です。相手を変えようと思ったら、大変時間がかかるので、家族が変わることの方が近道です。家族のできること、接し方には、訓練が必要になってきます。その練習は、病院あるいは、セミナ−で行うことができます。

 次回は、いよいよ平成9年度前期アルコール・セミナ−最終回、9月19日(金) 〈PM1:15〜3:30〉交流会および修了式を行います。受講書をお渡ししますので今まで参加された方、また今まで参加できなかった方はこの機会に参加し、ご質問、ご意見をお聞かせ下さい。お待ちしております。
(文責:杉本留美)