宮沢賢治

*前文*

 ジョバンニとカムパネルラは、幻の列車に乗って旅をする。列車の中では、さまざまな人たちと

ふれあう。その列車はどこへ向かうのか? 列車に乗る乗客たちとは何者か?そしてジョバンニと

カムパネルラの2人を待っていたものとは・・・・・!?

*あらすじ・説明* 

ジョバンニのお父さんは北へ漁に行き、お母さんは病気。ジョバンニは学校に行きながら、  

活版所で働く。ザネリなど友達にからかわれるが、心の優しいカムパネルラはいつも

きのどくそうにしている。ジョバンニはおかに登り、草の上で寝てしまう。そして

いつの間にか、銀河鉄道に乗っていた。列車の中には、カムパネルラがいた。

でも、カムパネルラは少し顔色が青ざめていた。そして、 

「みんなはねずいぶん走ったけれども遅れてしまったよ。ザネリもね、ずいぶん

 走ったけれども追いつかなかった。」といった。ここで、疑問に思った人がいると思う。 

この文章は最後まで読んでやっとわかる。カムパネルラはこの列車に乗ったときから死んで

いたのだ。みんなが遅れたというのは、助けようとしたけど助けられなかった。ザネリも

死の世界ににはいかないことを意味している。

 しばらく列車が進むと、カムパネルラが

「おっかさんはぼくをゆるしてくださるだろうか。」と言っている。

カムパネルラのお母さんはもうとっくに死んでいる。だから、カムパネルラが死んだことを

お母さんが許してくれるか心配だった。しかもカムパネルラは幸いのことをいっている。

カムパネルラの死は、人を助けたことだからお母さんはきっと許してくれると思ったんだろう。

そして列車はどんどん進んでいろいろな人と出会い、別れていく。北の海の事故で死んだ、

姉弟と家庭教師が天上に向かうための銀河鉄道を降りカムパネルラとジョバンニの2人だけになる

と、ジョバンニは

「きっとみんなの本当の幸いを探しに行く。どこまでもぼくたちいっしょに進んでいこう。」

というとカムパネルラも

「ああきっといくよ。」と答える。

でも、しばらくするとカムパネルラの姿が見えなくなってしまう。激しい悲しみとともに目が覚め

た。つまり、銀河鉄道の旅の途中でジョバンニとカムパネルラと別れなければならなかったのは、

カムパネルラが死の世界に向かう途中だったからと言うのが最後にわかる。


    

 *賢治の気持ち*

妹(トシ子)の死 

 賢治は、妹のトシをとっても大切にしていました。「永訣(えいけつ)の朝」「松の針」「無声

慟哭(むせいどうこく)」を読めばよくわかります。                   

 そのトシが死んでから2年後に、銀河鉄道の夜初稿成立がされています。私たちはトシの死が

銀河鉄道の夜に関係していると思い、話を読み返してみました。

 すると、主人公のジョバンニが賢治のように思えてきました。するとカムパネルラもトシのよう

に思えてきました。なぜかというと、カムパネルラもトシも最後には死んでしまうのです。ジョバ

ンニも、賢治も、すごく悲しみました。こういうことに注意して読んでみると賢治の気持ちが、よ

くわかります。カムパネルラが女の子と話していた時だってジョバンニはさみしくてつらかった。

ジョバンニが孤独だったとき、賢治もきっと孤独だったに違いないと思います。銀河鉄道の夜は、

賢治の心の現れだったに違いないと思います。

              

*賢治の言いたかったこと*

 この話で言いたかったことは人々の幸せ、幸いのことだと思う。そして。賢治の考え方は、

「世界中の人々が幸福でなければ、自分の幸福はない。」そう言う考えだったから、ジョンバニも

幸福を探していた。カムパネルラも一緒に探したかっただろう。賢治もトシも本当の幸せを探して

いた。でも、トシとカムパネルラは本当の幸せを味わう前に死んでしまった。ジョバンニはこのあ

とに幸せになれたのだろうか。これは想像しなければならないけど、私たちは、幸せを探し当て

て、幸せになったと思う。賢治も本当の幸せじゃないけど幸せだっただろう。本当の幸せが願いだ

ったからこそこの話が作れたんだと思う。夢があるからすてきな話が作れるんだろう。賢治が私た

ちに本当の幸せを探してほしかったのかもしれない。だから私たちは、賢治の夢だった本当の幸せ

を探していきたい。


*感想*

 *郁恵*  

この話は未完成のようだ。まだまだ続きがあってもいいと思う。後にジョバンニはどうなったとか

まだまだ書き足りないような気がしてならない。でもこの作品を想像してほしかったのかもね。銀

河鉄道の夜は賢治の心そのものがあらわれている。でも、ここまで考えがたどりつくには、賢治の

ことをわからなきゃ。賢治になりきってみないと。

 銀河鉄道は銀河がきらめく夜空にたった一つしかない、夢や希望、悲しみをのせながら、今も走

っていると思う。私もジョバンニのような銀河の輝く列車に乗って旅をしたいなあ。でもだれかが

死んだり、はなれていくなんてことにはぜったいになりたくない。「さよなら」もいわずに別れた

くない。賢治もそうだったんじゃないかな。人の死っていうもの、別れというのは、本当につらい

と思う。私は体験したことはないけれど、その悲しみが伝わってくるような賢治の書き方はだれも

まねできないと思う。こんな優しい賢治の作品をたくさんの人に読んでほしい。

 賢治の幸せとは−−−

賢治は自分のことを後回しにして、人の幸せのために、働いている。人々につくす人だから自分の

しあわせは、地球全体がしあわせにならないとないのかも。賢治は地球全体を幸せにはできなかっ

たけど、賢治の話で、しあわせになった人々もいたのかもしれない。だから、賢治も天国でしあわ

せになっているんだと思う。私は、賢治の心「みんなの幸せ」をかなえられるようにがんばりたい

な。     


 *幾美* 

 列車の中でジョバンニは、「さみしい。」なんていっていたけどたぶん妹が、死んでしまった

から「さみしい。」なんていったもかもしれない。賢治は、妹思いだったからとっても悲しい事

だと思う。銀河鉄道の夜は、そのときの賢治の気持ちを表した作品だと思う。

 銀河鉄道って初めて読むとわけがあまりわからなかったり不思議な感じがした。とくに、鳥が

おかしだったり、私たちの生活では考えられないことばかり。まるで賢治の夢の中....。

 それに「さみしい・・・」なんていっていたのは、この「さみしい・・・」とは、本当は、

賢治がさみしかったんじゃないかな。  この作品は、妹のトシが死んでからの作品だったので、

その「さみしい・・・」は、 トシが死んでしまったからさみしかったのかもしれない。

 私が思うには、賢治の作品は、自分の夢や希望、本当にあったことなどがほとんど。

 私は、賢治の作品はほかの作家などよりも個性的でいいと思う。私がこう思うわけは、賢治の

希望や夢などをいろいろな不思議な言葉で表現してあるから。

 私はこんな賢治の作品がとても好きです。


       

*智恵美* 銀河鉄道の夜でカムパネルラたちが銀河鉄道に乗ってから幸福のことを多く言って

いる。カムパネルラたちは、人々を幸福にしたいんだなと思った。賢治も一人でも多くの人を幸

せにしたかったと思う。私は、賢治の人生と作品がとてもすてきだと思います。

 ジョバンニは賢治とそっくりで、カムパネルラが消えたときかなしみがすごくきたのは、トシの

死と同じだと思う。カムパネルラはトシになって、銀河鉄道の夜はトシの死から生まれた話だと

思う。トシと賢治はそっくりだから、2年で忘れなくて、そのトシの死を2年間思って、2年間と

いう長〜い月日なのに賢治は忘れられずに、トシをすごーく大切にしていたんだと思う。賢治の心

をすべてかいてあるような感じがする。

 賢治の作品は賢治の人生とよく似ている。「やまなし」などもそうだし。私は昔の話はおもしろ

くないのがほとんどなのに、楽しいと思う。 賢治はひとりでも多くの人を幸せにしたかったと思

う。この銀河鉄道の夜は、賢治の一番気持ちの入っているものだと思う。

賢治の独特の意味のよく分からない言葉は賢治の心のまよいだと思う。銀河鉄道の夜は、たぶん

たくさ〜んまよったんだなと思う。けど意味が分からないのが好きな人もいて、「わからない」

がいいのかもしれないと思う。


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