Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#1----犯罪小説の陰に女性作家あり1



おれがインターネットの魅力に取りつかれた経緯は、本誌1996年2月号の『ガムシュー・ファイル』#14 で詳しく書いたから、ここでは省略する。そのため、突然に連載コラムの内容を変更して、タイトルを『サイバーガムシュー』に変えた(なお、「ガムシュー」とは「探偵」という意味である)。今ハイパー話題のインターネット上にあるミステリ関係の情報について「探偵」しようという趣向だ。ついでに、ついに1月上旬にインターネット上でホームページ、『ガムシュー・サイト』 なるものを開設したので、ほとんど英語だが、訪問していただければ幸いである。
 
さて、一回目は女性作家のホームページ(「サイト」ともいう)について書こう。ホームページは宣伝に絶好の媒体である。とくに、新人作家が自分の新刊を広告する場合とか、作家志望者が出版社の決まらない原稿の見本をホームページに掲示して、編集者や文芸代理人に見てもらう場合にも使われる。
 
有名作家のホームページのマネジャー(メインテイナー、エディター)は、出版社か、ファンか、作家自身である。もちろん、出版社は、宣伝のためにホームページを開設しているのだが、数人の作家のホームページを作成している。サラ・パレツキーの場合は、版元がバンタム・ダブルデイ・デル・グループ(BDD)の一つ、デラコート・プレスであるから、BDDのホームページ BDD--A Visit with Sara Paretsky で見つかる。
 
パレツキーの新作、プロファイル、前作、サイン・ツアー予定、関係リンク、BDDのかかえているほかの作家のページがある。プロファイルは知っているから、新作のことを知りたいよね。新作は、 WINDY CITY BLUES (Delacorte,1995)(英国版タイトルは V.I. FOR SHORT)というV・I・ウオーショースキーもの短編集である。ハヤカワ・ミステリ文庫が94年のパレツキー来日に合わせて独自に編纂した短編集『ヴィク・ストーリーズ』の収録8編に、序文とオリジナルの Grace Notesを加えたものである。そのオリジナルがダウンロード(自分のコンピューターにコピー)できるので、読んでみると、ヴィクの死んだ母親ガブリエラのを捜している未知の親戚がいることがわかるというところで切れている。あとは本を買って読んでくれということだろう。しかし、パレツキーの近刊が編纂者としての『ウーマンズ・アイ』(ハヤカワ文庫)の続編 WOMEN ON THE CASE (Delacorte,1996) であることはなぜか書いてない。
 
95年10月に死去したエリス・ピーターズ(本名イーディス・パージェター)、もしくは修道士カドフェルのホームページは、アメリカの版元ミステリアス・プレスの親会社タイム・ワーナー(もうすぐ、タイム・ワーナー・ターナーになるのかな?)のホームページに含まれているのだが、URL(ロケーション、場所)をタイプするのが長ったらしいので、 タイム・ワーナーのサイト から Time Warner Electric Publishing を経て、The Mysterious Pressの The World of Brother Cadfael に行くほうが楽だろう。もっと楽なのは、ミステリ関係のサイト・リンクの元締めともいうべき The Mysterious Homepage からクリックして来る方法だ。そこでは、ピーターズ追悼エッセイのほかに、カドフェル読本 THE CADFAEL COMPANION補強改訂版 (Mysterious,1995) よりピーターズの序文、シュルーズベリ修道院の修道士リスト、薬草事典などの箇所をダウンロードできるのだ。
 
ファンが作ったホームペ−ジもいくつかある。デンマークの紅茶愛飲家ビルゲル・ニールセンの作成した Patricia Cornwell Bibliographyには、もちろん、パトリシア・コーンウェルの略歴のほか、『検屍官』から『私刑』(講談社文庫)までのケイ・スカーペッタもののチェックリスト(あらすじ、被害者の名前と殺害年月日まで)や、登場人物のプロファイルも載せている。
 
イリノイ大学アーバナ=シャンペインの学生アイリーン・コスコルエラ(フィリピン系アメリカ人)が開設したのは、 Anne Perry Home Page である。『見知らぬ顔』(創元推理文庫)から始まるアン・ペリーのウィリアム・モンク警部ものと、ピット夫妻もののチェックリストにアン・ペリーの略歴(少女時代にニュージーランドで殺人事件の共犯であったことは省略。熱心なモルモン教徒であることも知った)を載せている。96年3月刊行の新作 Pentecost Alleyのあらすじや、サイン・ツアーの予定もある。
 
こういうファンのホームページが素人らしいの仕方ないとしても、どれだけ熱意がこもっているかが評価の基準になる。とくに、英米作家は短篇小説の数が少ないので、短篇のチェックリストがどれだけ完璧に近いかが、おれの評価の基準になる。その点で、アン・ペリーのホームページには、《ヒッチコック・マガジン》本国版88年2月号に掲載された「ミス・ディグビー最初の事件」も付記してあるので、好感がもてる。残念ながら、その短篇が『ウーマン・オブ・ミステリー』(扶桑社文庫)に収録されたことは明記されていない。
 
デンヴァー郊外の山地に住むシャロン・リードはダイアン・モット・デヴィッドソンのファンで、The Unofficial Diane Mott Davidson Web Page を開設し、『クッキング・ママは名探偵』(集英社文庫)などのゴルディ・ベアもの長篇の概要とプロファイルを載せている。92年発表の短篇でアンソニー賞を獲得したことを書くのなら、作品名(SISTERS IN CRIME 5収録のゴルディもの短篇 Cold Turkey)も明記してほしかったね。
 
あれあれ、もう容量がいっぱいになって、画面がフリーズしてしまったよ。来月までには解凍できるだろうか。


  来月号に続く

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