Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#2----犯罪小説の陰に女性作家あり2



先月号では女性作家のホームページについて書いていたが、容量が大きすぎて、画面がフリーズしたところで終わったね。作家自身が作成したホームページについて書くスペースがなくなったので、今回はその続きを書こう。
 
The Book Binder というホームページでは、歴史小説、SF、ロマンス小説、ノンフィクション、児童書、ウェスタン小説、アンソロジー、ホラー小説などの作家が自分自身でホームページを作成していて、規則的に更新することになっている。まだ宣伝不足なのだろうか、このホームページはそれほど知られていない。だって、登録しているSF作家、ウェスタン作家、ホラー作家はまだ一人もいないし、ミステリ作家は二人だけなのだ。
 
二人のうちの一人がサンドラ・ウェスト・プラウェルなので、 Sandra West Prowell, Mystery Suspense Author にリンクしてみた。プラウェルは日本未紹介の私立探偵作家である。彼女の創造した女性探偵フィービー・シーゲルは、元婦人警官で、モンタナ州ビリングズで事務所を構えている。93年刊の BY EVIL MEANS でデビューし、94年には THE KILLING OF MONDAY BROWN を発表した。ジョン・ラッツやマーシャ・マラー、レックス・バーンズ、ジュリー・スミスなどの先輩作家が推薦文を寄せている。ここに出ている経歴によると、モンタナ州ヘレナで生まれ、現在はフィービーと同じく、ビリングズに住んでいる。今では五人の孫もいるフルタイムの作家だが、その前にはドッグ・グルーマー、写真家、看護婦、交通情報官などの仕事を転々とした。趣味は、魚釣り、ビーディング刺繍、モンタナの薬草研究。
 
もう一人のミステリ作家の名前もサンドラである。『狂気の愛』や『愛しの失踪人』(扶桑社文庫)などのローレン・ローラノもので有名なサンドラ・スコペトーネである。もしくは、『芸術的な死』や『9本指の死体』(扶桑社文庫)でPWAシェイマス新人賞を受賞したジャック・アーリーと呼んだほうがいいだろうか。しかし、スコペトーネは、ジャック・アーリーの死を自分で宣告しているし、アーリー名義の作品をスコペトーネ名義で再刊し始めた。Sandra Scoppettone, Mystery Suspense Authorでは、アーリー名義の三作と、ローラノもの長篇の概要と、《ワシントン・ブレイド》誌に載ったインタヴュー記事が掲示されている。1954年、18歳のサンドラは作家になりたくて、ニュージャージー州サウス・オレンジからニューヨークにやってきた(ローラノの経歴と似ている)。『愛しの失踪人』に女優兼歌手のシビル・シェパードが実名で登場するが、シェパードの了解をちゃんと取りつけている。シェパードは一作目の『狂気の愛』を読んで気に入り、映画化優先権を買ったのだが、題材がレズビアニズムなので、TVも映画会社も製作をためらったという。ちなみに、96年刊行の4作目のタイトルは LET'S MAKE THE MUSIC AND DIE といい、執筆中の5作目の仮題は GONNA TAKE A HOMICIDAL JOURNEY という(もちろん、有名なスタンダード・ナンバーのもじりである)。
 
ホームページを持ったSF作家のリストを挙げたのが、Author! Author! である。そのリストを見ていたら、ミステリも書いているマクシン・オキャラハンの名前があったので、Maxine O'Callahan's Home Pageにリンクしてみた。 。日本では、『永遠に別れを』と『ヒット&ラン』(創元推理文庫)などの女性探偵ディライラ・ウェストものの作者として知られている。何を隠そう、現代女性私立探偵の草分けは、サラ・パレツキーでもスー・グラフトンでもマーシャ・マラーでもなくて、このマクシン・オキャラハンなのだ。ディライラは《ヒッチコック・マガジン》本国版74年11月号掲載の A Change of Clientsで初めて登場したのである。ただし、そのときの名前はディライラではなく、ディライアであった。この経緯は MAXINE O'CALLAHAN BIBLIOGRAPHY 1974-1995 (A.S.A.P.,1994) でキャラハンが説明していて、作家仲間のマラーが感謝文を寄せている。
 
このホームページでは、オキャラハンの新しいキャラクター、児童精神科医アン・メンロ博士もの1作目 SHADOW OF THE CHILD (Berkley,1996) とディライラもの5作目 TRADE-OFF (St.Martin's, 1994) のペイパーバック版の宣伝をしていて、それぞれの作品の導入部だけを紹介している。作家の自己紹介もしているが、やはり自分で作成しているのだから、短篇も含むチェックリストを公開してほしい。最近は、ディライラものの未発表短篇 "Belling the Cat"をここだけにポスト(掲示)した。
 
Author! Author! を紹介してくれたのは、『気ままなプリマドンナ』(扶桑社文庫)の作者バーバラ・ポールである。Barbara Paul Home Page には、彼女のオペラ・ミステリ、ニューヨーク刑事マリアン・ラーチもの、ノンシリーズのミステリ、SF小説、短篇小説、これから発表される作品のリストと執筆の経緯(楽屋話まで)が詳しく書かれている。とくに、短篇小説のチェックリストは、今まで訪れたホームページの中で一番よくできている。それに、そのうちの二篇をダウンロード(コンピューターにコピー)してもいいと、著作権所有者である作者の許可が出ているのだ。
 
短篇では、『猫の事件簿』(二見文庫)に「甘党のアルキメデス」と「スキャット」を寄稿している。「甘党〜」のほうは、もともとジーン・デウィーズがほかの雑誌用に書いたものだが、何度書き直しても、うまくいかなかったので、ポールのところに手直しを依頼したものである。『inハリウッド猫の事件簿』(二見文庫)収録の「スペースキャット」に登場する猫は、ポールの猫の一匹ジェフリーがモデルだという。ポールはスーザン・デニスにディザインをしてもらったと明記しているが(最近はホームページ作成屋という商売がある)、原稿を書いたのはポール自身なのである。これだけ書けば、当分のあいだは更新しなくてもいいだろう。

 

女性ミステリ作家専門のホームページを捜しているのだが、役に立ちそうなところが見つからない。〈シスターズ・イン・クライム〉(SinC)が開設してくれるのを待つしかないかな。そう言えば、バーバラ・ポールはSinCのインターネット支部を創立して、初代支部長を務めたという。どうもポールが開設してくれそうだね。

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