Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


  

#3---- 犯罪小説の陰に女性作家あり3



そろそろ男性作家のホームページを紹介しようと思っていたのに、女性作家のホームページがつぎつぎと開設されていくので、放っておけなくなった。
 
まず、マリリン・ウォレスのホームページは A Wallace Sampler といって、ウォレスの略歴や書誌目録、サイン・ツアー予定、作品内容のページがある。ウォレスは『シスターズ・イン・クライム』(ハヤカワ文庫)のアンソロジー・シリーズ5冊の編纂者、《シスターズ・イン・クライム》とアメリカ私立探偵作家クラブの共同アンソロジー『隠れ家』と『メアリー、ドアを閉めて』(扶桑社ミステリー)の共同編纂者として日本では知られている。
 
ニューヨーク市ブルックリン区で生まれた(父親は元警官)。ニュージャージー州、ノース・カロライナ州、ニューヨーク州北部、カリフォーニア州サン・アンセルモに住んだあと、現在はニューヨークに住んでいる。1986年にオークランド市警殺人課のジェイ・ゴールドスタインとカルロス・クルス両刑事を主人公にしたシリーズ(『嘆きの雨』ハヤカワ文庫)を3作発表してから、ノンシリーズのサスペンスを書き始めた。新作は Lost Angel (Doubleday, 1996)というサスペンス小説。比較的新しいサイトで、まだまだ物足りない感じがするが、これから充実するだろう。
 
充実している個人ホームページの一つは、キャロル・ネルソン・ダグラスの Carole Nelson Douglas だろう。日本では、マーティン・H・グリーンバーグ&エド・ゴーマン共編の猫の事件簿アンソロジー『魔女のオレンジ猫』(二見文庫)に収録された「マルタの鳥」しか紹介されていないが、ミステリのほか、ロマンス(3作)、ファンタジー(7作)、SF(2作)の長篇小説を30作も発表している作家である。ミステリでは、アイリーン・アドラーもの4作(そう、あのシャーロック・ホームズをぎゃふんといわせたオペラ歌手だ)と黒猫探偵ミッドナイト・ルイもの4作(前出の「マルタの鳥」など)を書いているのだ。ミネソタ州の《セント・ポール・パイオニア・プレス》でジャーナリストをしていたが、今はテキサス州フォート・ワースに夫サム・ダグラスと6匹の猫と一緒に住んでいる。
 
このサイトでは、ダグラスがそれぞれの作品のカヴァーとともに、内容や著名人(あのデブ猫ガーフィールドなど)の推薦文を載せている。そのほかに、版元のフォージが無料で提供しているミッドナイト・ルイのニューズレター Midnight Louie's Scratching-Post Intelligencer も読めるのだ。

 

ミッドナイト・ルイものは「コージー・ノワール」と呼ばれていて、黒猫ルイはハンフリー・ボガート気取りで、デイモン・ラニアン風にしゃべり、テンプル・バーという「飼い主」の美人広報ウーマンとともに事件を捜査するというものだ。そして、ウェブ・サイトを持っているルイのことを「サイバーキャット」と呼んでくれと言っている。96年5月刊の新作 Cat in a Diamond Dazzle はシリーズ5作目で、11月刊 の Cat in an Emerald Eye は6作目。 本のカヴァー写真以外の色彩は地味だが、バックグラウンドに猫の絵があるのが楽しい。
 
ミステリ読者のためのインターネット井戸端会議ともいうべき DorothyL で、2月16日にライラ・マテラがホームページを開設したことをポストしたので、さっそくに訪問してみた。
 
Lia Matera's Web Site では、ウィラ・ジャンスンもの(5作)や、ローラ・ディ・パルマもの(5作)、短篇小説、作品の朗読(そう、ホームページから音声をダウンロードして、あとでその音声を再生することができるのだ)、外国版(もちろん、創元推理文庫の日本版『殺人はロー・スクールで』『殺人はラディカルに』『あらゆる信念』も列記してある)、エッセイ、作者略歴、版元サイモン&シュースターのニューズレター The Inner Sanctum に掲載されたインターヴュー記事、ロバート・B・パーカーの推薦文、参考文献などが読める。
 
マテラは1952年カナダでイタリア移民の仕立て屋の娘として生まれた。家族は59年にカリフォーニア州ユーリカに移住した。18歳のときに家を出て、ヒッピー生活にあこがれ、アメリカじゅうを放浪したあと、カリフォーニア大学サンタ・クルス校で英文学とイタリア文学の学士号を獲得。そのあと、81年にサン・フランシスコのヘイスティングズ法学校を卒業したが、弁護士にならずに、スタンフォード大学法学校の講師となった。息子が生まれたとき、弁護士にならずに小説家になるチャンスは今しかないと思って、必死に小説を書いたというわけだ。
 
94年5月19日付の《サンタ・クルス・メトロ》紙に寄稿した「あるミステリ作家の一日」というエッセイが面白い。彼女の一日は、電子メールを読むことから始まる。そのあと、仕事をする前に、インターネットのミステリ作家掲示板を読む。そして、仕事をする前に……と続き、なかなか仕事を始めない様子をユーモラスに書き綴っている。
 
この前も指摘したように、短篇リストの完成度がおれの評価基準の一つである。マテラのそれは完璧で、カヴァーをクリックすれば、短編の一部の朗読までしてくれる。ちなみに、5年ぶりのジャンスンもの新作は Last Chants (Simon & Schuster, 1996) である。
 
Mysterious Women というウェブ・サイトがある。これは同名の季刊ニューズレターの説明と一部紹介である。編集者のキャスリーン・スワンホルトはコンサルト会社の共同経営者である。とくに女性作家の書いたミステリのシリーズものが好きなのだが、自分では小説を書けないので、女性作家について書いたわけだ。印刷版の Mysterious Women の購読料は一年分(4号分)で20ドル(船便)。連絡先は The HELP Key, P. O. Box 5704, Walnut Creek, California 94596 USA。ちなみに、このサイトとおれのホームページ The Gumshoe Site とは相互リンクしているから、もちろん依怙贔屓である。
 
来月号ではきっと男性作家のホームページを紹介するからね。もちろん、約束はできないけど。



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