Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


  

#8----収集しないで書誌学者になる法



   
インターネット英語のハウツー本にたくさんのミステリ関係サイトを挙げたのだから、そのほかにここで紹介するようなサイトはないだろうという心配はご無用だ。どんどん新しいサイトが開設されるし、存在を知らなかったサイトがつぎつぎに紹介される。それに、新しいサイトを開設したことを電子メールでおれに知らせてきて、リンクを張ってほしいと依頼してくる。そういう場合は、いちおうそのサイトを訪問して、ミステリー界の役に立つだろうと判断したら、リンクを張ることにしている。  
リタ・メイ・ブラウンとか、ジョン・スペンサー・ヒル、スーザン・ホルツァー、ウェンディー・リー、シャラン・ニューマン、ケイト・ロス、キャシー・ホーガン・トロチェックなどのウェブ・サイトを紹介したくても、日本の読者には馴染みが薄いので、紹介しても、ほとんど意味がないだろう。そう、自分のサイトを開設しているのは男性作家よりも女性作家のほうが多いように思われる。  
だから、これからは新しいサイトを中心に紹介しよう。さて、 American Crime Writers League がサイトを開設しているということを、ビル・クライダー(『鮮血の刻印』新潮文庫)が教えてくれたので、訪問してみた。  
あえて日本語に翻訳すると、「アメリカ犯罪作家同盟」ということになるだろうか。プロのミステリ作家が調査方法のこと、小説作法のことなどを率直に話し合うために、1980年代後半に結成された。結成当時は、作家以外の会員が異常に増えたMWA(アメリカ探偵作家クラブ)に不満を持つ作家が集まったような感じだった。  
入会対象者は、少なくとも一作の長篇小説か、三篇の短篇か、三篇の犯罪記事を書いていなければならない(もちろん、プロだから稿料をもらっていなければならない)。隔月刊の会報 ACWL BULLETin も購読できて、一年に35ドルの会費である。この作家団体の内情はほどんど知らなかったので、このサイトは役に立つ。  
このサイトは96年の7月に開設されて、8月に更新されている。現会長はジョウン・ヘス(『ど田舎警察のミズ署長はニューヨーク帰りのべっぴんサ』集英社文庫)、副会長はジェイ・ブランドン(『特別検察官』文春文庫)、書記はシャラン・ニューマン、会計はウィリアム・ラヴ、編集もシャラン・ニューマン、会員募集はダグ・アンダースン、広報はD・C・ブロッド、ノミネーティング(何をするの?)はジュディー・グレバー(つまり、早川ポケミス刊『死体と一緒にヴァケーション』のギリアン・ロバーツ)、法律はキャロリン・ホイート、連絡はD・R・メレディス。  
会員のニュースは今のところない(便りがないのはいい便り?)会員の新刊(ジャケット写真付き)やサイン・ツアーの予定、会員のウェブ・サイトを紹介している。とくに役に立つのは、会員の著作リストである。そのなかでも、ビル・クライダーやジャン・グレイプ、ライア・マテラ(『殺人はラジカルに』創元推理文庫)、シャラン・ニューマン、バーバラ・ポールは短篇リストまでも載せてくれているので、ありがたい。長篇リストはかなり簡単に作成できるが、短篇リストを作成するのはかなり骨が折れるからだ。  
会員以外の訪問者のためにも有益なリンクを並べてくれているのも、うれしい。住所から地図上の地点を示してくれるサイトとか、人捜しのためのサイトなど、ミステリを書くのにきっと役に立つはずだ。  
作家の著作リスト(とくに短篇)を知るために役に立つもう一つのサイトは、 The Interactive DorothyL Mystery Authors List といって、ミステリー関係の井戸端会議 DorothyL のメンバーである作家の著作リストが載っている。これを見ると、どの作家が DorothyL のメンバーなのかわかるわけだが、すべての作家が協力しているわけではない。日本でも知られている作家メンバーは、ジャン・バーク(『神からの殺人予告』扶桑社文庫)、ジル・チャーチル(『クラスの動物園』創元推理文庫)、ジャネット・ドーソン(『憎しみの絆』創元推理文庫)、パーネル・ホール(『俳優は楽じゃない』早川ミステリ文庫)、アラン・ラッセル(『ホテル・カリフォルニア』集英社文庫)、スティーヴン・ウォマック(『火事場でブギ』早川ミステリ文庫)など。  
ついでに、短篇について調べるときに重宝している秘密のサイト(といっても、あの類のヤクザなサイトじゃないよ、いっひっひ)をしぶしぶ紹介しよう。 Index to AHMM & EQMM, 1980-1996 は、タイトルどおり《ヒッチコック・マガジン》と《エラリー・クイーン》の1980年から1996年までに掲載された短篇を作家別と掲載号別に列挙してあるのだ。  
ウェブマスターのウィリアム・コンテントーはアンソロジーの王様マーティン・H・グリーンバーグと一緒に Index to Crime and Mystery Anthologies (G. K. Hall, 1991) を監修したことがあり、マイクル・L・クック監修の Mon-thly Murders (Greenwood, 1982) のあとを引き継いだわけだ。今では、その2誌のほかに、《アームチェア・ディテクティヴ》や《エスピオナージュ》、《ハードボイルド》、《マイク・シェイン》、《ニュー・ミステリー》、《セイント・マガジン》の不完全な索引も掲示している。おれは上記のミステリ雑誌をほとんど所有しているが、整理していないので、掲載号を調べるのに非常に役立つ。  
このサイトではこのほかに、Index to Science Fiction Anthologies and Collections という索引もあって、活字版のオリジナル (G. K. Hall, 1978) と追加版 (G. K. Hall, 1984) をオンライン化したうえに、つねに更新している。どちらかと言えば、SF&ファンタジー&ホラー関係の評論家先生や研究家先生のほうが重宝するだろうが、ミステリ関係者にとっても役に立つ。ミステリ作家がSF&ファンタジー&ホラーの長篇や短篇を書く場合もあるからだ。マーシャ・マラーだって、ビル・プロンジーニに促されたのか、ホラー短篇を書いたことがあるのだ。 //

来月号に続く

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