Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#12--愛しいミステリ・クイズはどこにある



 
翻訳ミステリ業界の年末会に出席すると、おれの管理する『ガムシュー・サイト』が更新されていないことを数人のインターネット接続者が指摘してくれた。つまり、更新されていないかどうか確かめるために、しょっちゅう訪問してくれているということである。ありがたいことだ。こういう訪問者の声援に応えようと、一銭の金にもならないのに、ほとんどのホームページ管理者はウェブサイトを更新しているのである。そして、おれの書いた『インターネット英語の謎』を読んでいる人が業界では意外に多いことがわかって、うれしかった。  
その本でも紹介した週刊ミニ・ミステリのメーリング・リスト The Case を購読している人はどれくらいいるだろうか? その責任者スティーヴ・シェイファーがまた新しい別のサイトを開設した。The History of the Mystery は、名前どおり、「ミステリの歴史」を説明してくれている。ここは The Website for Everything Mystery (ミステリに関するすべてのウェブサイト)を誇るミステリネットの一部なのだ。  
概説では、エドガー・アラン・ポーからスー・グラフトン、ロバート・B・パーカーまでに至るミステリ史を簡潔に述べている。それで、ポー、チャールズ・ディケンズ、ウィルキー・コリンズ、アーサー・コナン・ドイル、アガサ・クリスティー、ドロシイ・S・セイヤーズ、エラリイ・クイーン、ハードボイルド、アール・スタンリイ・ガードナー、ザ・シャドウ、エド・マクベイン、ミステリ・ジャンル、テレヴィジョンのページを別に設けてある。  
ここの文章責任者サンディー・バーネットによると、ミステリ小説には四つの大きな分野があるという。密室と、コージー(古典もの)、ハードボイルド、警察捜査の四つだ。密室とコージ、ハードボイルドと警察捜査は融合することもあるよね。それに、おれの専門分野である「ハードボイルド」の説明を読んで、ケチをつけてみたくなった。バーネットによると、「ハードボイルド」は「私立探偵小説」、もしくは「ブラック・マスク小説」とも呼ばれているらしい。おいおい、ダシール・ハメットの名作『ガラスの鍵』(ハヤカワ文庫)のように私立探偵が主人公でないハードボイルド小説もあるんだぜ。こういうことを言うやつ(性別は無関係)がアメリカにもいるから、ハードボイルド小説は堕落してしまったのだ。  
それに、警察捜査小説の例として、エド・マクベインの『サディーが死んだとき』とジョゼフ・ウォンボーの『ニュー・センチュリオン』を挙げているが、マクベインの『夜と昼』(いずれもハヤカワ文庫)のほうがもっと警察捜査ものらしくないかい?   
そして、The Case は MysteryNet の一部になってしまった。ここで登録すると、毎週水曜日に電子メールでミニ・ミステリ Solve-It を送ってきてくれる。ヘンリイ・スレッサーもこのミニ・ミステリの執筆者の一人である。タイトルどおり、毎週送ってくる犯人当てミステリの解答を一番早く送った人はTシャツの賞品をもらえる。  
そのほか、この The Case には Twist というページがあり、エドワード・D・ホックが《ウーマンズ・ワールド》に発表した未訳の Behind Closed Doors なども読める。最近の Mysterious Photo という部門では、ページに載せた写真に訪問者が300から500語までの短いミステリをつける。一番よい作品の作者はTシャツをもらい、作品をウェブに載せてもらえるのだ。  
クリスマスには、ビル・プロンジーニの「サンタクロースがやってくる」とマーシャ・マラーの「聖夜」(いずれもミステリアス・プレス文庫刊『聖なる夜の犯罪』収録)も読むことができた。
 
その『聖なる夜の犯罪』に「当たりくじはどこに」を寄稿しているメアリ・ヒギンズ・クラークのホームページを見つけた。The Official Booksite for Mary Higgins Clark は、クラークの版元サイモン&シュースター(S&S)の宣伝サイトである。  
そのウェブ・アドレスに行くと、I've been waiting for you... (ずっとあなたを待っていたんですよ……)という台詞が真ん中に出てきて、ソフト帽をかぶったクラークが顔をあげる(そう、動くのだ)。彼女の顔をクリックすると、メニュー・ページに変わる。  
Friendly Interrogation (友好的な尋問)ページでは、友人のリサ・ケイドがこのサスペンスの女王にいろいろと質問している。メアリは7つのときから作家になろうと考えていて、今でも日記をつけている。ブロンクスで育ち、彼女が10歳のときに亡くなった父親は《ヒギンズ・バー&グリル》を所有していた。兄の友人で、16歳のときから好きだったウォレン・クラークと結婚して、5人の子供を生んだが、夫が心臓発作で死んでしまった。  
それで、メアリはラジオ・ドラマを書きながら、子供を育て、75年刊の『子供たちはどこにいる』(新潮文庫)で一躍ベストセラー作家になった。子供が大きくなってからは、マンハッタンのフォーダム大学で哲学を勉強し、79年に優等で卒業した。  
ここの Made into Movies (映画化)ページを見ると、日本で公開されていないヒギンズ原作の映画が多い。『誰かが見ている』は劇場未公開で、ヴィデオで見られる。このあいだは WOWOW で「二重の鏡像」「同窓会の恐怖」『いまは涙を忘れて』(新潮文庫)『永遠の闇に眠れ』(角川文庫)の映像版を放映していた。97年1月にはアメリカのケーブルTVで『愛しいひとの眠る間に』(新潮文庫)が放映される。  
版元のS&Sはオーディオ版の権利も持っていて、ヒギンズの作品の一部をケイト・ネリガンとか、リン・レッドグレイヴ、ジェニファー・ビールズなどが朗読している声をリアルオーディオで聞くことができる。  
97年には最新作 Pretend You Don't See Her が刊行される予定。このサイトには載ってないが、私生活でヒギンズは96年後半にジョン・J・コンヒーニーと結婚した。ヒギンズはS&Sの看板作家なので、このサイトにはかなりの製作費がかかっていることがわかる。 //


来月号に続く

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