Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#13--稀な鳥は危険なマイクを知っていた



 
1997年の1月に THE DEADLY DIRECTORY 1997-1998 (Deadly Srious Press, 1997) 第2版がやっと刊行された。ミステリ関係の雑誌、ファンクラブ、ファンジン、専門書店、専門稀覯書店、大会、ホームページの名前、住所、電話番号、ファックス番号、電子メール・アドレス、ウェブ・アドレスを羅列したタイトルどおりのディレクトリー(案内録)である。もちろん、このサイバーガムシューが管理する『ガムシュー・サイト』も本誌も含まれている。  
大型ペイパーバックで25ドル(海外郵送料は5ドル)は少々高いかもしれないが、必携書である。贔屓の専門書店か、版元に直接注文しよう。版元は Deadly Serious Press, PO Box 1045, Cooper Station, New York, NY 10276-1045 で、出版人兼編集人はシャロン・ヴィラインズ。  
このヴィラインズが The Archives of Detective Fiction というホームページを開設した。ヴィラインズはニューヨーク州立大学の成人向け分校エンパイア・ステート・カレッジの“メンター”(教授とアドヴァイザーの中間)であり、その大学でミステリ講座を教えていたこともある。彼女はニューヨーク州立大学に援助してもらって、ミステリ研究のために資料を保存、提供するホームページを作成したわけだ。できれば、電脳図書館として、絶版になり入手困難なミステリ作品を公開しようという計画である。もちろん、前出の THE DEADLY DIRECTORY の訂正、追加のページもある。  
ここでは、すべての作家の略歴と文献を提供するつもりだが、96年12月に開設されたばかりなので、まだまだ未完成だ。それで、ほとんど作家の情報については The DorothyL Mystery Writers ListBookBrowser のほうが詳しいので、そちらにリンクが張ってある。  
C・W・グラフトン(スーの父親)のほか、ロバート・B・パーカー、エドガー・アラン・ポー、アンナ・キャサリン・グリーンの項目をヴィラインズ自身が執筆している。まだ開設されたばかりなので、これからどんどんページが増大していくウェブ・サイトである。
 
メーリングリスト(ML)というのは、購読者にリストが電子メールで届くというシステムであり、おれはミステリ全般のMLである DorothyL と短編ミステリを扱う shortmystery-l を購読している。ほかにも、シャーロック・ホームズのMLや古本のMLなどがあるらしい。スペンサーのMLは今のところ休止しているという噂を聞くが確認がとれていない。  
1月5日にハードボイルドのMLができたというので、そこのホームページ rara-avis を訪問してみた。このMLのリストオウナーであり、ホームページのウェブマスターはウィリアム・デントンというカナダ人である。ちなみに、タイトルの rara-avis とは「稀な鳥」という意味である。もちろん、何の鳥を指しているか知ってるよね?  
このホームページを訪問すると、購読の仕方が書いてあるのだが、面倒くさいという人に教えておくと、本文にただsubscribe rara-avis とだけ書いて majordomo@icomm.ca に送ればいい。すると、確認のメールが送られてくるので、そのメッセージの中のある一行を送り返すだけで、その日からほかの購読者のメッセージが別々に届く。一日に十通ほど来るから覚悟するように。なるべく、新しい購読者は自己紹介してほしいと頼んでいるが、別にしなくてもいいから、まず購読することをすすめる。  
ハードボイルド小説とは何か? ロマン・ノワールとの違いは何か?(そう、アメリカ人やイギリス人、カナダ人でさえ、ハードボイルド小説が何なのか、はっきりわかっていないのに、日本人にわかるはずがないのである。)そのほか、レイモンド・チャンドラーとダシール・ハメットでは、どちらがうまいか? 現在のベスト作家は誰か? ハードボイルド女性作家は誰か? そういうことを議論したり、新しい情報を交換したりしているのである。ダグラス・G・グリーン(『ジョン・ディクスン・カー/奇蹟を解く男』国書刊行会)も参加しているし、おれが世界の文学教授相手にぎゃふんをやりこめられているのを目撃するいい機会である。  
このMLの基本的な規則は2つある。これはどこのMLと同じ規則である。すなわち、フレイム(侮辱)をしないことと、バイナリー(画像、映像、音声)を添付しないこと。  
このホームページのほうには、W・R・バーネットやレイモンド・チャンドラー、ジェイムズ・エルロイ、ダシール・ハメット、ジョン・D・マクドナルド、ロス・マクドナルド、ミッキー・スピレイン、ジム・トンプスンの作品リストや関連リンクが載っている。いろいろ調べてみると、知らなかった情報にたどりつく。例えば、ロス・マクドナルドの『ファーガスン事件』が1992年に Criminal Behavior というタイトルでTV映画になったこととか。
 
そこの関連リンクから、ミッキー・スピレイン原案の漫画 Mike Danger のホームページにたどりついた。前出のArchives も rara-avis も文字ばかりなので、「絵」にならない。だから、この Mike Danger のサイトから漫画の一コマを使わせてもらえるかな? おれは印刷版の『月刊マイク・デインジャー』を購読しているのだが、このホームページを見れば、別に購読する必要はないなあ。  
マイク・デインジャーというのは、スピレインが漫画作家だった頃に創り出した私立探偵で、マイク・ハマーの前身である。それが90年代になって、やっと漫画になったのだ。50年代の探偵デインジャーが100年後の世界にタイムスリップして、21世紀のコミュニストと戦うという相変わらずのアナクロニストぶりをさらけ出している。原案はスピレインなのだが、ストーリー作家はマックス・アラン・コリンズ(最近は『デイライト』のノヴェライザーとして有名)で、インクはテッド・ベイティー(ときどき短編小説も書いている)。これは映画化されるらしいが、ハリウッドのことだから、当てにしないほうがいいぞ。
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