Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#14--暗い迷路に迷い込んだガムシューと犯罪同盟



   
このあいだ ClueLass HomePage の管理者ケイト・デリーから電子メールが来て、ミステリ・サイトの集団 The Crime Ring (「犯罪同盟」とでも訳せばいいのだろうか)を結成しようと誘われた。それで、The Mysterious Home Page のヤン・ステフェンセンとか、The Mystery Zone のウォルター・ソレルズとか、Tangled-Web のリズ・リーズなどに連絡しているらしいが、おれはすぐに一味に加わることにした。わが The Gumshoe Site のホームページの下部にある手錠のイメージをクリックしていただければ、いろいろなミステリ・サイトに飛べるというわけだ。今のところ(97年2月下旬現在)はデリーとおれだけの同盟だが、本号が本屋に並ぶころには、もっと仲間がふえていることだろう。
 
有名な作家になると、ファンが開設するウェブ・サイトが2つ以上になる。パトリシア・コーンウェル(『死因』講談社文庫)のチェックリストを並べたサイト Patricia Cornwell Bibliography をずっと前にこのコラムで紹介したが、最近のパッツィー(パトリシアの通称)のゴシップに関する情報にリンクしてくれているサイトを見つけたぞ。The Patricia Cornwell Web Site では、パッツィーの作品のほかに私生活のこともわかる。  
97年刊の新作 HORNET'S NEST は女性検屍官ケイ・スカーペッタものではないノンシリーズで、いろいろなところでけなされているが、刊行直後からベストセラーになっている。そして、皮肉なことに、差別的だと、ゲイ・レズビアンの団体が抗議している。  
パッツィーの私生活についての話題のほうに興味があるのは、このサイバーガムシューだけだろうか? 秘書の起こしたセクハラ訴訟が取り下げられたとか、女優のジョディー・フォスターがパッツィーと会うことを拒んだとかいう噂が飛びかっている。最近の有名な噂は、パッツィーのレズビアン問題だろう。べつにレズビアンやゲイのミステリ作家は少なくないので、驚くことではないし、どうでもいいことだが、そのために犯罪に巻き込まれたのである。  
96年6月に、元FBI捜査官ユージーン・ベネットがヴァージニア州の教会で牧師を縛りあげて、別居中の妻マーゲリート(通称マーゴ)を呼び出したが、FBI捜査官でもあるマーゴが罠に勘づいて、ベネットに発砲したという事件である。ベネットは逃げたが、結局は殺人未遂容疑で逮捕された。ベネットによると、マーゴがコーンウェルとレズビアン関係を持ったために夫婦仲が悪くなり、一時的精神錯乱で例の犯行に及んだということだ。  
97年2月にベネットは殺人未遂容疑で有罪になった。法廷でコーンウェルは証言しなかったが、マーゴはコーンウェルとの親密な関係を認めた。このサイトはパッツィーの承認を得ていないリンク・ページというやつで、この殺人未遂事件に関する記事を書いた《ワシントン・ポスト紙》や《リッチモンド・ディスパッチ・レポート紙》のページにリンクしている。好き嫌いにかかわらず、コーンウェルはゴシップ好きの注目に値する作家である。
 
ジャネット・イヴァノヴィッチ自身がウェブ・サイトを開設したというので、Janet Evanovich Online を訪問してみた。  
女性賞金稼ぎステファニー・プラムもの1作目『私が愛したリボルバー』(扶桑社文庫)は英国推理作家協会(CWA)からジョン・クリーシー(最優秀処女長編)賞を受賞したのだが、イヴァノヴィッチがその前に十作以上のロマンス小説を書いていたことがあとから判明して、本当の処女長編とは見なされなかった。しかし、CWAは彼女の受賞の栄誉を剥奪せずに、ほかの候補作だったローリー・キングの本当の処女長編『捜査官ケイト』(集英社文庫)にもクリーシー賞を与えた。[これはほかからの情報]  
このサイトの情報によると、ステフはイヴァノヴィッチの娘アレックスがモデルらしくて、ステフもアレックスもニューヨーク・レンジャーズを応援している。97年刊の新作 THREE TO GET DEADLY でステフと共演する元売春婦のルーラ(1作目にも登場)が「架空インタヴュー」に応じている。それに、ロバート・クレイス(『ぬきさしならない依頼』扶桑社文庫)が面白い推薦文を書いている。クレイスの創造した探偵エルヴィス・コールが先に楽しそうに読んでいるので、クレイスはまだ読んでいない。次はジョー・パイクが読みたがっている、というような内容だ。
 
有名なミステリ・リンクにまだ紹介されていないサイトを見つけたぞ。Dark Maze は、トマス・アドコックのウェブ・サイトだが、アドコックの承認を得て、マット・コラッシュというファンが管理しているようだ。このサイト名はエドガー受賞作『死を告げる絵』(ミステリアス・プレス文庫)の原題であり、短篇版「暗い迷路」(『EQ』89年5月号訳載)の原題でもある。アドコックはEQMMやAHMMに十数篇の作品を寄稿していて、どきどきニューヨーク市警SCUM(防犯課)刑事ニール・ホッカデイ(通称ホック)ものの長篇に仕立てている。  
アドコック自身の声で、「わたしはトム・アドコックです。ニューヨークのヘルズ・キッチンから話しています」というあいさつから始まる(音声ファイルをダウンロードしなくてはならない)。  
そのほか、アドコックの長篇作品の抜粋は読めるのだが、「バック・サンダーズ」などのハウスネームで書いていた作品リストを載せていないのが残念だ。本名のアドコック名義で書いた84年刊の処女長篇 PRECINCT 19 は小説ではなく、ノンフィクションだと思っていたが、彼の紹介文によると、「ノンフィクション小説」だという。おいおい、どっちなんだよ? 『スリーパーズ』(徳間書店)のロレンツォ・カルカテラと同じく、ヘルズ・キッチン作家はミステリ解説屋を困らせるのが好きだね。 //



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