Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#15--卑しきサイバースペースを歩こう



 
最近読み込みやすくなった The Mysterious Home Page のヤン・ステフェンセンからは、更新するごとに電子メールで連絡してもらっているのだが、The Continental Op Page という新しいウェブ・サイトができたと知らせてきたので、さっそく訪問してみた。
「ダシール・ハメットとコンティネンタル・オプに捧げたページ」と謳っているが、ホームページに映った中年男の顔に「?」マークがついていて、顔だちはわからない。これよりも、TV映画版『デイン家の呪』でオプ(便宜上、ハミルトン・ナッシュという名前がついていた)に扮したジェイムズ・コバーンの写真を使ったほうがよかったのにね。ハメットとオプの略歴のほかに、オプものの長編2作(『赤い収穫』『デイン家の呪』)の内容を載せている。初心者用のページだが、場違いなベティー・ブープがアニメーションGIFで動き、「また来てね、シュガー」という台詞が書いてあるところが印象的である。
 
Raymond Chandler's Los Angeles は、アレイン・シルヴァーの広告ページである。シルヴァーがエリザベス・ウォードと一緒に刊行した写真集 Raymond Chandler's Los Angeles (Overlook Press, 1987) が1997年1月にペイパーバックで再刊されたので、内容を紹介しているのだ。おれはハードカヴァー版を25ドルで買っているから、ペイパー版(19.95ドル)を買うつもりはないが、割安だと思うよ。ここには、有名なインターネット書店 Amazon Books と版元 Overlook Press へのリンクも張ってある。  
この写真集はチャンドラーの長篇や短篇小説に登場するロスアンジェルスの場所の白黒写真100枚以上(シルヴァーとウォードの撮影)と60箇所の引用文を併録してある。おれも15年前にチャンドラーの足取りをたどって、LAの卑しき街を歩きながら(!)写真を撮影したことがあるので(『レイモンド・チャンドラー読本』早川書房刊参照)、この写真集を見て、すぐに買ってしまったのだ。  
このサイトでは、『大いなる眠り』からバロックス百貨店とセカンド・ストリート・トンネル、『湖中の女』からブライスン・タワー、『プレイバック』からユニオン・ステーションの4枚の白黒写真と引用文が紹介されている。ハードカヴァー版では目次のページの数字がすべて間違っていたけど、ペイパー版では訂正してあるかなあ。ちなみに、シルヴァーとウォードは Film Noir (Overlook Press, 1980) も共編している。  
ついでに、前出のインターネット書店の《アマゾン・ブックス》でチャンドラー参考書を見てもらうと、アル・クラークの Raymond Chandler in Hollywood (Silman-James Press, 1996, 19.95ドル)という本も挙がっている。これはチャンドラー映画の裏話を集めた本で、LAの写真も多いが、82年刊の初版本を改訂補強した初のアメリカ版である。貴重な情報がもう一つ得られるが、それはあとで話そう。
 
Raymond Chandler Online Library はバイロン・プライス・マルチメディアの宣伝ページである。バイロン・プライスは、現代のミステリ作家にチャンドラーの贋作短篇を書かせて、『フィリップ・マーロウの事件』(早川書房)を編纂した男である。ここでは、Trouble Is My Business というCD-ROM を制作・販売している。チャンドラーの長篇『長いお別れ』から『大いなる眠り』まで(ということは、『さらば愛しき女よ』『高い窓』『湖中の女』『かわいい女』がはいるのかな?)の全篇、有名なマーロウ映画からのヴィデオ・クリップ、当時のLAの写真が収められている。19.95ドルという値段はお買い得だが、ウィンドウズ版しかないというのが腹立たしいや。マック版も制作してくれたら、すぐにでも買うのにね。  
おれと同じ悩みを持つマック・ユーザーには Philip Marlowe: Private Eye を紹介しよう。これは『かわいい女』を基にしたCD-ROM ゲームである。39.95ドルという値段で、ウィン版とマック版がある。原作どおりのプロットをたどれるか、殺されてしまうか、そこがゲームの面白さらしい。舞台は40年代のLAで、このサイトから、台詞のサンプルをダウンロードできる。「おれはフィリップ・マーロウ。許可証を持った私立探偵だ」という台詞を、おれはダウンロードしたが、買おうかどうか、まだ迷っている。でも、ここの「フィルム・ノワール」のページでは、チャンドラーが『深夜の告白』と『ブロンドの殺人者』の両方の作者と明記してあるが、半分間違っているよね。
 
Film Noir & Pulp Fiction では、フィルム・ノワールの台詞、音楽(『チャイナタウン』)の一節、ポスター画像、フィルム・クリップ、映画台本(『ブレードランナー』『ブルー・ヴェルヴェット』『パルプ・フィクション』『レザヴォワ・ドッグズ』『ワイルド・アット・ハート』)をダウンロードできるし、ほかのノワール・サイトへのリンクが張ってある。おれは『マルタの鷹』のポスターをダウンロードしたが、ハンフリー・ボガートの髪が短すぎるのがいつも気になるな。  
ダウンロードの容量を明記してくれているのが、親切だ。容量の大きいフィルム・クリップをダウンロードするときには、注意すべし。このホームページ自体の容量が大きくて、読み込みの時間が長いので、2ページに分けてほしいが、まだ「工事中」らしいから、また訪問してみよう。ここに挙げてある映画題名を見ると、フィルム・ノワール・ファンは絶対に喜ぶはずだ。『深夜の告白』『犯罪王リコ』『青いダリア』『ガラスの鍵』などなど。フィルム・ノワールについては、いずれまとめて紹介してみたい。  
そうそう、チャンドラーに関する新しい情報を話すべきだったね。トム・ハイニーというイギリス人が Raymond Chandler: A Biography (Grove Press, 1997, 22.50ドル) という伝記を刊行するのだ。新しい資料を基に書いたらしいのだが、フランク・マクシェインの『レイモンド・チャンドラーの生涯』(早川書房)を超えるのは難しいぞ。 //



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