Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#16--ヴァクスのサイトの評価は……ゼロ?



 
毎朝マッキントッシュをインターネットに接続して、ネットスケープを立ちあげると、おれが運営するところの The Gumshoe Site (TGS)のリンク・ページが現われることになっている。それから、表紙というべきホームページに行って、前日のアクセス数を調べる。最近はおかげさまで、一日平均30人ぐらいがアクセスしてくれる。ちなみに、今年の一日最高アクセス数は56である。  
そのあと、この前も話した The Crime Ring というミステリ・サイト同盟の新顔をチェックすることにしている。ある日、そこに Joe's Detective Pages というのがあったので、訪れてみた。そこのウェブマスターのジョー・ロフグリーンはサンタ・バーバラに住む作家らしい。ロフグリーンは As Easy As Speed という自分の未発表の小説の第12章と、ほかの章の要約を載せているが、このサイトの目玉は新刊ペイパーバックとほかのミステリ・サイトを紹介するだけではなく、なんと評価もするのだ。それも6つの弾丸を満点として評価する。  
6つ玉満点をもらっているのは、ClueLass とか、スペンサーの Bullets and Beer があるが、当然わがTGSの評価はどうなんだろうと思うよね。よし、見つけたぞ。TGSはほとんど ClueLass と同じだし、洞察もないので、わざわざ訪れる価値がないという評価で、2つ玉をいただいた。おれがこのコラムでほかのサイトをほめたり、けなしたりしているので、他人がおれのサイトをけなすことがないとは限らない。  
それでも、そのサイトをおれのリンク・ページで紹介することにした。ロフグリーンはTGSをけなしているので、そこからTGSを訪問する人間はいないだろう。しかし、いちおう訪問の値打ちはあると評価した。すると、数日後に、ジョー・ロフグリーンから電子メールが届いたのだ。TGSを再訪問すると、学ぶところがあったので、評価を変えたという。それで、彼の変更した評価を見てみると、今度はなんと5つ玉をくれた。  
とにかく、おれが彼に見えない圧力をかけたのでなければいいのだが、この新しい評価も一時的なものかもしれない。サイトの評価なんて、レストランの評価みたいなもんで、更新されるごとに、評価が変わって当然なのだ。ロフグリーンによると、おれのユーモアはスライらしい。「スライ」という単語には「巧妙な」という意味もあるが、「ずるい」という意味もあるんだけどな。
 
さて、アンドリュー・ヴァクスのホームページ The Zero のウェブ・アドレスが変わった。今まではグレッグ・ブエノという学生が非公式のホームページを管理していて、バークもので有名なヴァクス自身が協力していたが、ブエノが大学の勉学で忙しくなったために更新ができなくなり、ヴァクスの要請で公式ホームページになったのだ。  
バックグラウンド・カラーが黒から濃紺に変わり、レイアウトがプロらしくなった。さて、新しい情報を紹介しよう。『フラッド』(早川文庫)の映画化については、初めの脚本がボツになったので、映画会社はオプションを更新するか、見合わせることになるだろう。そして、アンドリュー・ヴァクスの偽物が現われたので、注意するようにと警告している。この偽物は両目が見えるらしい。ちなみに、《エル》ではヴァクスの写真を左右逆に載せたので、ヴァクスの眼帯は見せかけだと思っている人が多いが、あの眼帯は本物である。それに、ヴァクスが自殺したという噂がインターネット上で広がっているようだが、自殺したのはヴァクスの友人である作家仲間のユージン・イジーのほうである(他殺説や事故死説よりも自殺説のほうが有力になってきている)。  
ここでは、ヴァクスの電子メール・アドレスや法律事務所の住所も教えている。履歴書には、『赤毛のストレーガ』(早川文庫)がマルタの鷹協会日本支部からファルコン賞を受賞したことも付け加えているが、ファルコンを持った写真をまだ送ってきてくれないんだよね。チェックリストの中には、長篇やコミック・ブック、戯曲、雑誌記事のほかに、短篇も含めてくれているので役に立つ。本誌91年7月号に「ハードワールド」「出口」「人質」が訳載されたことも書いてあるが、90年10月号訳載の「狂犬」を忘れてるぞ。
 
ピーター・ロビンスン(『夢の棘』創元推理文庫)が自分で管理するホームページ Peter Robinson のウェブ・アドレスが変わったというので、ちょっと訪問してみると、彼の作家仲間ジョン・ハーヴェイのホームページ Mellotone にリンクが張ってあった。ハーヴェイはチャーリー・レズニック警部もので有名になったが、日本では『ロンリー・ハート』『ラフ・トリートメント』『カッティング・エッジ』『オフ・マイナー』(いずれも現代教養文庫)の4作しか紹介されていない。  
ノッティンガム大学よりアメリカ研究で修士号を獲得し、中学校で英語を教えたが、75年より執筆で生計を立てている。ジェイムズ・マン名義やテリー・レノックス名義(なんだって!)でも犯罪小説を書き、ジョン・J・マクラグレンやJ・D・サンドン、トム・ライダー、ジョン・バートンなどのペンネームでウェスタン小説をイギリスで書き殴っていた。それに、ルース・レンデルの『死のひそむ家』(創元推理文庫)をTVドラマ用に脚色したことがある。  
ハーヴェイの短篇のチェックリストがちゃんと載っているのも素晴らしい。しかも、レズニックもの短篇のタイトルはすべてチャーリー・パーカーの曲名なのである。ハーヴェイとレズニックがジャズ・ファンであることは理解できるが、驚いたことに、ハーヴェイはペチュラ・クラークのファンでもある。  
ちなみに、ハーヴェイは詩人でもあり、スロウ・ダンサーという詩の専門出版社を経営し、詩の専門雑誌を発行している。97年の新作 Still Water は、ミルト・ジャクソンのジャズ・コンサートが始まる寸前に、レズニックのビーパーが鳴るという書き出しで始まる。うん、これはジャズ・ファンが喜びそうだな。 //



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