Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#22--PCって政治的に正しい極上犯罪?



   
本誌97年12月号でCWA賞受賞作特集を組んでいたが、CWAとは Crime Writers' Association のことで、早川書房では「英国推理作家協会」と訳されている。「アメリカ探偵作家クラブ」こと Mystery Writers of America も、その北カリフォーニア支部もウェブ・サイトを持っているし、「カナダ犯罪作家協会」こと Crime Writers of Canada も持っているので、CWAもそろそろ持っていいと思っていたが、やっとウェブ・サイト を設立した。  
ホームページでは本年度の会長キース・マイルズ(『全英オープン殺人事件』徳間文庫。またの名をエドワード・マーストン)がCWAの目的を述べている。犯罪小説の名声を高めること、会員の利益を代弁すること、会員の情報交換や行事参加を促進することが目的であり、現在の会員数は約400人。このサイトを作成したのは Tangle Web UK だという。  
歴史ページを見ると、CWAは1953年にJ・J・マリック(『ギデオンの一日』早川ポケミス)として有名なジョン・クリーシーが創立した。それを記念して、CWA処女長篇賞はジョン・クリーシー賞とも呼ばれている。会員には正会員(作家)、準会員(編集者、書評家、代理人など)、海外会員、名誉会員(上記のいずれにも含まれず、委員会によって選ばれた12人)という四つの種類があって、その中でも、ロンドン近郊に住む会員(月例会あり)とそれ以外の会員の会費は異なる。そのほか、会員の近刊リストも役に立つし、会員のプロファイルは Tangled Web にリンクしている。探偵と作家の表では、物故作家や非会員の名前もあるが、モース警部のファースト・ネームもちゃんと明記してあるぞ(ファンならもうとっくに知ってるよね)。
 
ずっと前に、The Deadly Directory 1997-1998 (Deadly Serious Press, 1997) というミステリ住所録のことを書いたよね。そのときは、The Archives of Detective Fiction の一部だったが、独立したウェブ・サイト を発行人兼編集人シャロン・ヴィラインズが開設した。たぶん(これはおれの推測にすぎないが、かなり確率は高い)ヴィラインズがドメイン・ネームのESC(つまり、エンパイア・ステート・カレッジ)をやめるための準備段階だろう。  
ここでは1997年版を閲覧することはできないが、一部25ドルを20ドルで販売している。そして、訂正や追加の項目を載せている。この前は、表紙に本誌の項目が載っていることを話したっけ? でも、表紙をこのサイトで見られるはずだが、容量が多きすぎるためか、ダウンロードできない。本誌編集長が「竹内祐一」から「村上和久」に変わったこと、『深夜プラス1』がミステリ専門書店ではなくなったこと、マルタの鷹協会と日本推理作家協会の電話番号が間違っていることをおれが指摘したので、ここで訂正されている。
 
最近のアメリカ出版界の話題の一つは、ペンギンUSA(ヴァイキング、ダットン、シグネットを有する)とパトナム・グループ(バークリーを含む)の合併だろう。これで、ペンギン・パトナム・インクになった。かつてはパトナムのペイパーバック部門だったバークリーがハードカヴァーも刊行するようになり、プライム・クライム路線を打ち出した。Prime Crime はパトナム・バークリー出版グループの月刊ミステリー・ニューズレターである。  
12月にはマリリン・ウォレス(『嘆きの雨』ハヤカワ文庫)編の The Best of Sisters in Crime がハードカヴァーで刊行されるが、これは1990年前後にペイパーバックで刊行された5巻のアンソロジー(『シスターズ・イン・クライム』ハヤカワ文庫)から作品をさらに厳選したアンソロジーである。おれみたいに、5巻とも持っている人は別に「不完全な」ハードカヴァー版は買う必要はないよな。  
11月号にはそのウォレスと、リチャード・バリー(『無垢なる骨』ミステリアス・プレス文庫)のインタヴュー記事が載っている。ウォレスはアメリカにおける現代女性ミステリの先駆者として意外な女性作家の名前を挙げている----マーシャ・マラーである。こういうアンソロジーのアンソロジーよりも、新しい女性作家アンソロジーを刊行してほしいね。しかし、シスターズ・イン・クライムには男性作家も入会しているから、SinC後援の女性作家アンソロジーは編纂しにくいだろうな。バリーのほうはウィル・ハーデスティーものの1作目でシェイマス新人賞を受賞したあと、どんどん続篇を執筆している。受賞作の初版は今では現代稀覯本になっているという。  
このオンライン・ニューズレターは97年4月から刊行されていて、バックナンバーも読める。女性弁護士キャス・ジェイムスンもので有名なキャロリン・ウィートのインタヴュー記事が6月号に載っている。ウィートの経歴はなかなかわからないのだが、オハイオ州トレドで育ちって、ニューヨークで弁護士をしていた。そして、1994年にニューヨークを離れ、オクラホマ州エドモンド(ゴルフ・トーナメントで有名)まで来て、そこの中部オクラホマ大学で創作講座を教えている(おれがかつてオクラホマ・シティーにいたとき、その大学の名前はセントラル・ステート・カレッジだった)。そういう懐かしさもあって、ウィートには気になる作家なのだ。これからハヤカワ文庫でも新作が紹介されるので、解説を書く人はこのインタヴュー記事を読むか、ウィート自身のウェブ・サイト をぜひ訪れるべきだろうな。ちなみに、ウィートは30年来のトレッキーであるらしい。  
恥ずかしながら、この Prime Crime の存在を知ったのは最近なのだが、毎月このサイトを訪れるのが面倒くさい人には電子メールで送ってくれる。ほかに、パトナム・バークリー全体の刊行物、ロマンス小説、SF、トム・クランシーの専門ニューズレターもあり、何種類でも購読できる。しつこいようだが、宣伝なので無料である。 //


来月号に続く

日本語版ホームページに戻る

国際版ホームページに戻る