Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#30--レナードはタッチせずパンチをくらわす!



   
7月中旬に喜ばしい新聞記事を見た。《ニューヨーク・タイムズ》のウェブ・サイトへのアクセスがアメリカ以外でも無料になったのだ。つまり、日曜版の一部である《ブック・レヴュー》に掲載されているマリリン・スタシオのミステリ評が無料で読めるということなのだ。  
そう、The New York Times on the Web へのアクセスはこれまでアメリカ在住者しか無料でなかった。だが、ほかの有名紙(《ワシントン・ポスト》も《ボストン・グローブ》も《USAトゥデイ》も)が無料のサイトを持っているので、《タイムズ》へのアクセス数が減少したというのが理由らしい。活字版《タイムズ》は日本の大都市の有名ホテルや洋書店で買えるのだが、日本で毎日買う人は少ないだろう。《ブック・レヴュー》を購読するためには、年間65ドルを払う必要があり、しかも船便で郵送してくるので、約1か月半遅れになる。それが、無料でほとんどリアル・タイムで最新号のミステリ評が読めるわけだ。  
無料にはなったが、登録しなくてはならない。サブスクライバーID(購読者ネーム)とパスワード、メール・アドレスのほか、少し個人的な質問もあるが、このへんはいい加減に書いても法律には触れないだろう。
《ブック・レヴュー》の最新号 のホームページに行って、Crime by Marilyn Stasio をクリックする。ただ、毎号ミステリ評が掲載されているとは限らないし、かわりに、Science Fiction by Gerald Jonas (ジェラルド・ジョナスのSF評)が掲載されているときもあるので、了承していただきたい。最新号は日本時間で日曜日の午後に更新される。それに、97年1月からの「クライム評」がアーカイヴ(保管) されている。  
ちなみに、ウェブ版にはビル・チャーマッツの挿し絵風の漫画がはいっていなし、本の広告も載っていない。それに、ここからはチェーン・ストアの《バーンズ&ノーブル》にリンクされている。女性作家のミステリ作品の書評が少ないという《シスターズ・イン・クライム》の苦情に応えるために、スタシオがこの書評を書き始めたのだろう。スタシオはミステリ作家でもなく、出版社やほかの作家仲間にへつらう必要もないので、信頼性がある。もちろん、意見の相違があっても当然である。ちなみに、The Washinton Post Book World でもほとんど毎週ミステリ評が読める。
 
このあいだ、WOWOWでエルモア・レナードの『ムーンシャイン・ウォー』(扶桑社ミステリー)を原作にした『暗黒街の特使』を観た。パトリック・マッグーハンが秘密情報員ドレイクよりもずっとヤワな財務省密造酒取締官(エリオット・ネスの仲間だね)を演じていたり、アラン・アルダが密造者に扮しているところが珍しいのだが、一番の「観どころ」はアルダの使用人に扮していたジョー・ウィリアムズである。そう、カウント・ベイシー楽団の専属歌手だったあのジョー・ウィリアムズなのだ。  
性格が天の邪鬼のせいか、レナードが日本で有名になる前はよく原書で読んでいたのに、有名になってからはあまり読まなくなった。レナードの96年作の Out of Sight の映画版がアメリカで6月下旬に公開されたというので、その公式サイト を訪れてみた。監督はスティーヴン・ソダーバーグ。脚色は『ゲット・ショーティ』のスコット・フランク。主演のジャック・フォーリー役には『ER』で有名になったジョージ・クルーニー(歌手のローズマリー・クルーニーの甥)。連邦保安官のカレン・シスコー役にはジェニファー・ロペス(そう、オットー・ペンズラー編の『愛の殺人』[ハヤカワ・ミステリ文庫]に収録されているレナードの短篇「カレンが寝た男」に登場するカレンである)。マイケル・キートンがレイ・ニコレット役で特別出演するらしい。  
さすが映画サイトだけあって、金をかけていて、色彩も情報も豊かなのだが、フレームを二重に使っていて操作しにくいし、文字が小さすぎて読めないよ。  
こういうときはリンクのところでマウスをプレスして、「リンク先で新しいウィンドウを開く」を選んだあとに、ダウンロードして、まともな大きさの文字でキャスト紹介や詳しい製作情報を読むしかないね。実際にフロリダ州パーム・ビーチの刑務所で本物の囚人たちと一緒に撮影したらしい。原作者レナードの紹介ページにリンクがあり、ファン・サイトにリンクしていた。  
The Unofficial Elmore Leonard Web Site の存在は始めて知った。これもフレームを使っているので、操作しにくいのだが、ウェブマスターのロバート・ケリーがすべてのレナードの小説を読んでいないことを正直に認めているところに好感が持てるね。それに、レナード関係の最新情報を教えてくれるぞ。  
98年刊の最新作 Cuba Libra はコーエン兄弟によって映画化される。現在、レナードは『ゲット・ショーティ』(角川文庫)の続篇 Be Cool を執筆中。今度はチリ・パーマーが音楽業界に関わる話だという。91年刊の Maximum Bob が98年の秋からTVシリーズ化されるとか、『マイアミ欲望海岸』や『プロント』、『スプリット・イメージ』がTV映画化されたことを教えてくれた。  
このサイトはもう一つのファン・サイト Dutch Treat よりも情報豊かであり、The Jackie Brown Webring のメンバーだという。  
レナードの『ラム・パンチ』(角川文庫)を原作にした映画『ジャッキー・ブラウン』に関するファン・サイトがいくつもあるとは知らなかったが、その中でも The Unofficial Jackie Brown Homepage が一番充実していて、脚本やインタヴュー映像までもダウンロードでき、公式サイトよりも素晴しい。  
でも、日本公開中におれはほとんど軟禁状態だったので、この映画をまだ観ていないのだ。けっして天の邪鬼だからじゃないよ。 //


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