Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#31--犯罪時刻の変更で安楽椅子探偵は休憩中



   
厳密に言うと、この噂はこのコラムで書くべきではないのだが、ほかに誰も書かないようなので、インターネットに関連づけて書いてみよう。  
The Armchair Detective はもちろん《ジ・アームチェア・ディテクティヴ》(TAD)のウェブ・サイトである。結論から言うと、TADは98年初めに97年夏季号(第30巻第3号。マーガレット・マロンの表紙)を刊行したきり、ずっと休刊中である。このサイトによると、新しい配給者を捜しているとのことだ。  
97年春季号までの数年間はケイト・スタインが編集長だったが、発行人がオットー・ペンズラーからジュディー・ヴァウズに変わり、発行人住所もニューヨークからハドスン川の向こうのニュージャージー州に変更したので、ニューヨーク好きのケイトは編集長をやめて、今は《メアリ・ヒギンズ・クラーク・ミステリ・マガジン》のノンフィクション担当編集者や、アメリカ・アガサ・クリスティー協会の主宰を努めている。新編集長のエリザベス・フォックスウェルは《マリス・ドメスティック》の共同創立者として有名で、Murder They Wrote などのオリジナル・アンソロジーの共同編集者でもある。  
発行元には電話でも電子メールでも連絡が取れないので、バックナンバーを注文しても無駄らしい。スコット・トゥロー(『推定無罪』文春文庫)やメアリー・ウィリス・ウォーカー(『処刑前夜』講談社文庫)、戸川昌子とのインタヴュー記事が掲載される予定だというのに、残念である。ぜひとも初心に戻り、「聖書」と呼ばれなくてもいいから、地道に続刊してほしいものだ。
 
ついでに、ほかのミステリ雑誌のことも書こう。SHOTS はかつて A Shot in the Dark と呼ばれていて、94年6月より発行されていたイギリスの季刊誌だった。ところが、14号分をA5サイズで発行したあと、98年春季号から突然A4サイズのスリック誌に変身したのである。変わったのは外観だけではない。短篇小説も掲載するようになったのだ。変身後第1号では、フィル・ラヴゼイやポーラ・ゴズリングたちが短篇を寄稿している。1号分は2.95ポンドだが、1年4号分は15ポンド、あるいは40ドル。イギリスのミステリ専門書店に注文してもいいが、直接取り寄せる場合は SHOTS, 56 Alfred Street, Ripley, Derbys DE5 3LD, ENGLAND に連絡すること。編集人のマイク・ストッターはイギリス人作家で、ミステリのほか、なんとウェスタンも書くのだ。  
Crime Time はこれに対して、今までA4サイズだったが、98年の15号目(第2巻第1号)から大判ペイパーバック・サイズになった。しかも、書評やインタヴュー記事、小論のほか、短篇小説を掲載するようになったのだ。2.1号にはエド・ゴーマンやスティーヴン・セイラーなどが短篇を寄稿している。
《クライム・タイム》(CT)の活字版は95年に創刊されているが、このウェブ・サイトには新しい情報や売り切れた号からの再録記事が掲示されている。  
作家のページでは、キャロル・アン・デイヴィスとエド・ゴーマンとグウェンドリン・バトラーとのインタヴュー記事を掲載している。書評のページが圧巻である。これまでに活字版で掲載したほとんどのミステリ小説の書評が作家別に再録されているのだ。新しい判型の値段は4.99ポンドで、日本からは直接に定期購読しにくいので、イギリスのミステリ専門書店に問い合わせるほうが楽かもしれない。
 
大西洋を渡って、アメリカの雑誌の様子を見てみよう。MysteryPages.Com は《ミステリ・シーン》(MS)と《エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン》(EQMM)と《ヒッチコック・マガジン》(AHMM)のウェブ・サイトである。EQMMのページには、作家でもある書評子ジョン・L・ブリーンの2か月遅れの〈陪審席〉コラム(全文)とか、ビル・プロンジーニやエドワード・D・ホックの短篇の抜粋版が掲載されている。AHMMのページにも2か月前の号に掲載された3つの短篇の抜粋版が再録されていて、あとは活字版を買って読んでくださいというわけだ。AHMMの次号予告はウェブ版にしかない。  
活字版はEQMMもAHMMも表紙の高さが1インチほど長くなり、以前のB6サイズからA5サイズに変わった。ほかのB6サイズよりも目立とうという考えらしい。両誌とも一年に11号発行していて、そのうち1号は増大号である。EQMMの現編集長はジャネット・ハッチングズで、AHMMの現編集長はキャスリーン・ジョーダン。  
MS活字版の現編集責任者はエド・ゴーマンで、編集人は息子のジョー・ゴーマン、出版人はマーティン・H・グリーンバーグ。ウェブ・サイトのほうには、活字版からの記事をたくさん再録しているのだが、ホームページの目次には筆者の名前や初出号が明記されていない。  
たとえば、「アメリカ・ニュース」はジャン・グレイプ、「国際ニュース」はジェレマイア・ヒーリイ、「コージー・コーナー」はエリザベス・フォックスウェルとディーン・ジェイムズ、「独立書店」は《ポイズンド・ペン書店》の店主バーバラ・ピーターズが書いているのだ(ほとんどが新しい第59号と第60号からの再録)。
「ダーク・サスペンス」はホラー作家リチャード・レイモンとのインタヴュー記事だし、「ハードボイルド」はジョン・A・ジャクスンとのインタヴュー記事である。ジャクスンは77年刊『デトロイト刑事』と78年刊『もぐり酒場』(いずれもハヤカワ・ポケット)を書いたあと、90年刊の Grootka まで作品を発表しなかったのは、奥さんが飛行機事故で死亡して、残された子供を育てなければならなかったかららしい。  
そのほか、ミステリ作家でもあるレヴ・レイフィエルが《デトロイト・フリー・プレス紙》に寄稿したミステリ書評の再録とか、多作家ロン・グラートの回想録なども読める。  
活字版MSの海外購読料(船便)は6号分で65ドルと高いので(アメリカ国内では35ドル)、ウェブ版で我慢してもいいかな。でも、もっと情報を頻繁に更新してほしいね。 //


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