Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#33--うまい犯罪の王たちといきな殺人の女王たち



   
休刊になった《ジ・アームチェア・ディテクティヴ》の前編集長であり、アメリカのアガサ・クリスティー協会の現会長ケイト・スタインが MysteryNet.com の上級編集長になってから、まず変わったことは Testimony (証言)というコラムが加わったことだ。毎週、ミステリ作家が短いエッセイを書いている。今までの寄稿作家はアン・ペリー、ロバート・バーナード、ローレンス・ブロック、ピーター・ラヴゼイ、マーシャ・マラー、ブレンダン・デュボイスなど。  
もう一つの目玉は、短編の名手ヘンリイ・スレッサー(『ママに捧げる犯罪』ハヤカワ・ポケット)が担当するインタラクティヴ・オンライン・ミステリ・ソープである。スレッサーはミステリの要素が濃い長寿昼メロ番組 The Edge of Night の主任作家だったが、今はヨーロッパの昼メロ番組の台本を書いているらしい。そのスレッサーが毎日2分のミステリを20回連載するのだ(つまり、週に5回分だから一ヵ月続くわけだね)。読者は四つあるストーリー展開のうちから一つを選択して、一番投票の多かった展開でスレッサーが翌日のストーリーを続けるというものだ。興味のある方は Love Kills を訪問してくれ。
 
ローレンス・ブロックがパーソナルジン(個人誌)を不定期に発行していて、希望者に無料で郵送してくれることは、『殺し屋』(二見文庫)のあとがきで訳者の田口俊樹氏が書いているとおりなのだが、このパーソナルジンをインターネット上で読めるのだ。以前はブロックのアメリカの版元の一つ、エイヴォン社のウェブサイトにあったのだが、いつのまにか消えてしまった。今は Tangled-Web UK (ここのホームページはあまりにも重くなりすぎたね)の作家ページの中にあるのだ。  
Lawrence Block で最新号とバックナンバーが見つかる。最新号は98年9月に発行され、98年にはケラーものの『殺し屋』と、不眠症スパイのタナーものの Tanner on Ice と、マット・スカダーものの Everybody Dies の3作も発表して、若いときよりも忙しくなってきたと冗談まじりに打ち明けている。99年には泥棒バーニイものの新作 The Burglar in the Rye (あえて直訳すると、「ライ麦畑で忍び込んで」かなあ?)が刊行されるらしい。ブロック収集家にとっては、限定版に関する情報が貴重である。
 
それに、Tangle-Web UK の一部である英国推理作家協会 The Crime Writers' Association のウェブサイト に興味深いページが加えられた。CWAの会報《レッド・ヘリング》が部分的に「一般公開」されたのだ。歴史ミステリを書くエドワード・マーストン(『吠える男』ハヤカワ・ポケット)こと、キース.・マイルズ(『全英オープン殺人事件』徳間文庫)が意外にもフィルム・ノワールのヴィデオ・コレクターだとわかった。  
それに、「犯罪の王たちと女王たち」のページでは、現役の犯罪作家がほかの犯罪作家を称えている。たとえば、レジナルド・ヒルが犯罪小説を書いていたかもしれない詩人バイロンを(ヒルらしい型破りな発想だね)、キース・マイルズがジョン・クリーシーを(ペンネームのJ・J・マリックはジョン、当時の奥さんジーン、二人の息子マーティンとリチャードの名前をくっつけたものだと初めて知った)、ヴァル・マクダーミドがルース・レンデルを(「ミステリの女王」と呼ばれたくないと言っているのに)、それぞれ称賛しているのだ。
 
デイナ・スタベノウのことを調べる必要があったので、Dana Stabenow's Home Page を訪問してみると、ウェブ・アドレスがいつのまにか (http://www.stabenow.com/) に変更されていた。バックナンバーをチェックしてみると、2年前にスタベノウ(『燃えつきた森』ハヤカワ・ミステリ文庫)の古いウェブサイトのことを書いたのだが、どうせ誰も覚えていないだろうから(おれ自身もうろ覚えだったのだ)、新しくなったところを紹介しよう。  
98年10月に、スタベノウはダットン社よりケイト・シュガックものとは別のシリーズの1作目 Fire and Ice を発表した。ライアム・キャンベルは優秀なアラスカ州警官だったが、酔っ払いドライヴァーに息子を轢き殺され、妻は植物人間になってしまう。そのうえ、勤務中に過ちを犯して、ブリストル湾のニューエンハムに転属される。そこで、かつての恋人ワイアット・シュイナールに再会するのだが、ワイアットは殺人容疑者として逮捕されている。スタベノウによると、キャンベルはメル・ギブソンに少し似ているらしい。このシリーズはシュガックものよりも暗くてセクシーであり、シュガックは土地者だが、キャンベルはよそ者である。このサイトでは99年刊の2作目 So Sure of Death の抜粋文も公開している。それに、アラスカの地図も載せてあって、それぞれの小説の舞台を矢印で示しているのがありがたい。  
スタベノウはかなり几帳面な作家に見えるが、ケイトものの短篇の存在を伝えていない。トニイ・ヒラーマン編の The Mysterious West に寄稿された「密売人」が『現代ミステリーの収穫4/馬に乗ったケラー』(扶桑社ミステリー)に収録されていることを、おれも最近気がついたのだ。
 
最近見つけた作家ウェブ・サイトに The Unofficial S. J. Rozan Homepage というのがある。S・J・ローザン(『チャイナタウン』創元推理文庫)の非公式ホームページだが、ウェブマスターの名前がダン・ローザン(Dan Rosan)だし、「S・J・ローザンという名前は本名とは違うが、かなり近い」と書いてあるので、親類(兄弟か甥)かもしれない。ダンのほうに質問の電子メールを出したが、返事が来ないので、今度はS・Jのほうに尋ねてみるしかないな。最近見つけたホームページなのだが、最後に更新されたのは97年1月29日だから、1年半以上も更新されていないだ。情報は古いし、不完全である。書評や短篇、4作目紹介のページはまだ「工事中」なのだ。そういうわけで、4作目の No Colder Place がアンソニー賞を受賞したことも、 98年の新刊のタイトルが A Bitter Feast であることも書いていない。 //


来月号に続く

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