Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#34--コーベンは引っ越し、ローザンは突如蒸発



   
ハーラン・コーベン(『カムバック・ヒーロー』ハヤカワ・ミステリ文庫)から電子メールが届き、 The Myron Bolitar Web Site がウェブ・アドレスを (http://www.harlancoben.com) に変更したことを伝えてきた。彼の名前がドメイン・ネームにはいっているので、前よりも覚えやすくなった。久しぶりに訪問して、びっくりした。半年前はほとんどのページが「工事中」だったのに、今ではずいぶん充実している。グラフィックをやたらに使っていないので、ページが軽いし、文字の色を変えているので、読みやすくて、賑やかである。  
まず、コーベンのマイロン・ボライター(コーベンは「ボリター」と発音)ものの五作目 One False Move (1998年刊)の第一章と三つのインタヴュー記事を掲載している。一つ目はニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにあるミステリ書店《パートナーズ&クライム》とのインタヴュー である。インタヴュワーの名前は明記されていないが、たぶんパートナーの一人マギー・グリフィンだろう。  
コーベンによると、マイロンのほうがコーベンよりも面白くて、勇敢で、うまいバスケット選手だという。しかし、二児のパパであるコーベンのほうが幸せそうだ。驚くことに、コーベンはスポーツが嫌いなのだ。TVでもスポーツを観戦しない。二つ目のインタヴュー記事は一つ目とほとんど同じ。三つ目はページ・ワンとのインタヴューで、人物描写よりもプロットのほうが大事だとコーベンは強調している。できるだけナーディーな(ダサい?)名前として「マイロン・モスコウィッツ」という名前を最初に考えたが、ユダヤ的すぎると文芸代理人が言ったので、Bolitar という名前を思い付いたという。その理由は彼自身もわからないらしい。  
不定期に電子メールで送られてくる The Coben Newsletter がほしい人はnewsletter@mystery.bayside.net に請求すればいい。しかも、メーリングリストまであり、本文に SUBSCRIBE MyronBolitar (your e-mail address) と書いて、listserv@mystery.bayside.net に送ればいいのだ。  
マイロンもの6作目 The Final Detail は99年6月に刊行される予定である。秘書のエスペランサがクライアント殺害容疑で逮捕されたので、マイロンが彼女の無実を証明しようと奔走するが、もう一人の容疑者はマイロンしかいないという魅力的な粗筋である。  
そのほか、作品の紹介や作者紹介、受賞リストをのせて、これでもか、これでもかと売り込んでいる。しつこい売り込みなのに、厚かましさを感じないところがいい。ぜひ、訪問をおすすめする。
 
January Magazine Crime Fiction は新刊書籍に関するサイトのミステリ部門で、書評やコラム、インタヴュー記事を掲載している。  
ロス・マクドナルドの『動く標的』と『ウィチャリー家の女』と『縞模様の霊柩車』がヴィンテージ・ブックスから新装ペイパーバックで再刊されたので、January Magazine の犯罪小説担当編集者J・キングストン・ピアースが1980年にマクドナルドをサンタ・バーバラに訪ねたときのことを回想している。そのとき、マクドナルド自身、自分がアルツハイマー病にかかっていることを知らなかったらしい。アーチャーものの最終作『ブルー・ハンマー』(ハヤカワ・ミステリ文庫)を76年に発表したあと、マクドナルドはアーチャーものを執筆していたが、ついに完成できなかった。そのとき、ピアースはオレゴン州ポートランドの新聞に記事を書くために、はるばるバスでサンタ・バーバラまで行った。そして、マクドナルドは64歳で、83年に他界することになる。  
シアトル在のピアースはほかに Minor Offenses という書評コラム(ピーター・ラヴゼイからローレン・エスルマンまで取りあげる作品の幅は広い)や、最近の政治スリラーを紹介する Capital Punishments というエッセイを書いている。  
リンダ・リチャーズというノンフィクション作家がアン・ペリーにインタヴューをしている。ペリー(『見知らぬ顔』創元推理文庫)は、94年のオーストラリア映画『乙女の祈り』で描かれたように、ニュージーランドに住んでいた少女時代に親しい女友だちと共謀して、その母親を撲殺したことで、日本では悪名高くなってしまったが、じつはヴィクトリア朝時代のロンドンを舞台にした二つのシリーズ(ウィリアム・モンク警部ものとトマス・ピット警部)を書くベストセラー作家として有名なのである。一年に二作ずつ発表し、99年には宗教的なファンタジー小説 Tathea を著わすという。ほとんどの小説は結末を先に考えてから、書き始めるらしい。そうそう、ペリーには The Perry Chronicle という公式ウェブサイトがあるぞ。  
それに、ジャニス・ファリンジャーという創作教室の講師がウォルター・サタスウェイト(『リジーが斧をふりおろすとき』ハヤカワ・ミステリ)にインタヴューをしている。サタスウェイトは昔からリジー・ボーデンに興味があったらしく、そのあと歴史ミステリを書くとは思ってもみなかったという。どちらかと言うと、おれは彼の私立探偵ジョシュア・クロフトもののほうに興味があり、書き続けてほしいのだが、残念ながら、96年刊の5作目 Accustomed to the Dark が最終作らしい。フーディーニやオスカー・ワイルド、コナン・ドイルなどの実在の人物が登場する歴史ミステリのほうがよく売れるというのが理由だ。ちなみに、サタスウェイトのウェブサイト Walter Satterthwait Homepage はずっと前に紹介したよね。
 
先月号で紹介したS・J・ローザンの非公式ウェブサイト The Unofficial S. J. Rozan Homepage が突然消えた。おれがウェブマスターのダン・ローザンに更新してほしいと要求したせいかもしれない。このように、ウェブサイトがいつのまにか消える場合があるが、腹を立ててはいけない。訪問者の金を盗んだわけではないのだからね。購読料を払ったあとでファンジンが廃刊になる場合よりも、ましなのである。 //


来月号に続く

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