Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#36--作家たちを、応援する、覚悟を、しておけ!



   
ドナルド・E・ウェストレイクこと、リチャード・スタークの『悪党パーカー/人狩り』(ハヤカワ文庫)がメル・ギブソン主演で再映画化されるということで、宣伝ウェブ・サイトを捜してみた。まず、サーチ・エンジンの Yahoo! へ行って、Mel Gibson でサーチをかけてみる。すると、ギブソンのファン・サイトがいくつか見つかるので、その中の一つに飛んで、公開時などの最新状況を調べてみる。  
そうやって、Payback(邦題『ペイバック』)の宣伝サイトを98年暮にやっと見つけたのだが、映画は2月に公開されると説明したギブソンの写真つきのトップページしかない(日本公開4月)。それが、1月下旬にちゃんとしたサイトを立ちあげたのだ。トップページにはギブソンの写真がついていたが、写真の下に、SHOCKED とNON-SHOCKED という二つの選択肢がある。ショックウェーヴがブラウザーにプラグインされているかどうかを質問しているのだが、おれはショックウェーヴの最新版をプラグインしていないので、NON-SHOCKED のほうを選んだ。すると、『悪党を、応援する、覚悟を、しておけ』という単語が一つずつ現われて、内容を紹介したページに自動的に変わる。監督は『LAコンフィデンシャル』の共同脚本家ブライアン・ヘルゲランド。ギブソンが演じるのはパーカーではなく、ポーター。舞台をシカゴに設定した理由は、厳しい都会の雰囲気があるからだ。撮影する建物は40年以前に建てられたもので、使っている車も89年以前のもの。  
噂では、ヘルゲランド版の映画を共同プロデューサーでもあるギブソンが気に入らず、撮り直しがはいったので、公開が大幅に遅くなったというが、そんなことはこのサイトに書いてないよね。とにかく、映画の宣伝サイトのほとんどは公開中にしか存在しないので、このコラムを読んだら、すぐに訪問することをお勧めする。
 
日本で独自に編纂したヘンリイ・スレッサー短篇集『伯爵夫人の宝石』(光文社文庫)の解説を書いたあとに、Henry Slesar を発見した。スレッサーについてはいろいろ調べたりしていたが、ここで初めて知った情報もあった。たとえば、スレッサーはユダヤ系ロシア人移民だとか。初めてのミステリ短篇は The List で、それがあとでEQMM56年6月号に掲載されるときに「人を呪わば」(HMM59年9月号)と改題されたとか。  
広告文案業者としての有名なキャンペーンは、南米のコーヒー促進協会のために考えた「コーヒー・ブレーク」というキャッチフレーズらしい。それまで、コーヒーを飲む休憩はあったが、名前はついていなかったのだ。  
今は三つの広告会社の副社長兼クリエーティヴ・ディレクターであり、ほかの二つの広告会社の所有者だとか。最近名前を見ないと思っていたら、舞台用の戯曲やラジオ台本を書いているらしい。日本のTVのために『怪盗ルビイ』の脚本も書いたことがあるというが、和田誠監督の映画版のことを言ってるのかな? でも、スレッサーが映画版の脚本を書いたわけじゃないよね。ときどき重複した情報はあるが、とても充実している。
 
ゲイル・リンズ(『マスカレード』早川書房)がマイクル・コリンズこと、ジョン・クロウこと、ウィリアム・アーデンこと、マーク・サドラーこと、デニス・リンズの奥さんであることは、読者の皆さんはよくご存じだろう。彼女が自分のウェブ・サイト Gayle Lynds, National Bestselling Author を立ちあげた。  
おれが86年にサンタ・バーバラでデニス・リンズと会ったときに、彼女はフィアンセだった。そのときは、ゲイル・ストーンという名前を使っていたし、ニック・カーターものの男性スパイ小説を書き飛ばしていた。このニック・カーターものは、トマス・チャステインとか、マーティン・クルス・スミスとか、ローレンス・ブロックまでもがハウス・ネームの陰で書いていたのだ。  
彼女が『マスカレード』をある出版社に見せたときに、女性にこんなものが書けないとハネられ、女性である証拠を見せるように女性編集者に要求されたという。おいおい、オリンピックじゃないんだぜ。しかし、ダブルデイ社の男性出版人が買ってくれたという。そのあと、ポケット・ブックスからペイバーバックで出たときに、ベストセラーになった。  
98年秋に2作目 Mosaic がポケット・ブックスから出たので、これは宣伝サイトである。本当の2作目は Marionette という作品なのだが、出版社のハーパーコリンズ(あのルーパート・マードックが所有)が急に出版を中止したのだ。  
ここにはおれの知らなかった彼女の側面がある。80年代に弁護士の夫と離婚訴訟中で、二人の子供をかかえて、仕事を捜していた。そのとき、男性もののアクション小説を書けるかと言われて、書けると嘘をついた。それで、小説の書き方を勉強したのだという。そして、80年代末に、女性を主人公にした国際サスペンス小説を書こうと決心したのだ。  
The Official FOMAC Website はマックス・アラン・コリンズのサイトであり、息子のネイトが管理している。F.O.M.A.C. とは Friends/Family/ Fans Of Max Allan Collins (コリンズの友人/家族/ファン)のこと。現在のコリンズはベストセラー『プライベート・ライアン』(新潮文庫)のノヴェライザーとして一般的にも有名になった。  
多作家コリンズのチェックリストは役に立つが、シリーズ・キャラクターを明記していないのが不親切だ。やはり、94年刊の『アイ・ラブ・トラブル』をノヴェライズした「ピーター・ブラケット」の正体は、コリンズだった。奥さんは、「不死身のタルバート」(『inハリウッド猫の事件簿』二見文庫)などを書いているバーバラ・コリンズである。  
そのほか、コリンズはネイト・ヘラーもの(『シカゴ探偵物語』扶桑社ミステリー)の長篇も短篇もまだ書き続けているのだ。99年にはヘラーもの新刊 Majic Man が出るのだが、今度はUFO事件に挑戦している。インタヴュー記事は、コリンズ監督の映画 Mommy について専門的な話をしていて、少々退屈だが、そのほかはかなり充実している。コリンズの個人誌も読めるのがありがたい。 //


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