Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#38--ルース・バーミンハムの正体はなんと!



   
エドガー賞候補作のリストが2月4日に発表されて、いくつかのミステリ・ウェブサイトがその情報をアップロードした。おれの管理する『ガムシュー・サイト』は翌日にアップロードした。その中で、ペイパーバック部門でノミネートされた Atlanta Graves の作者ルース・バーミンハム(アメリカ発音)は誰だろうと思っている人もいるはずだ。  
誰あろう、ウォルター・ソレルスである。そう、『八百万ドルを探せ』(ハヤカワ・ミステリ文庫)の作者である。ソレルスは The Mystery Zone というウェブサイトを95年頃から開設していて、昔からミステリ作家にウェブサイトの効用を説いていた。おれが『ガムシュー・サイト』を96年1月に開設したときに、リンクを張ってほしいと頼んだいくつかのサイトの一つである。ソレルスがバーミンハムという女性的分身をこしらえてから、このサイトを訪問するのは初めてだが、かなり「改装」されている。  
以前はインターネット初の電子ミステリ雑誌として、ミステリ作家とのインタビュー記事や、書評、古いパルプ・マガジンや50年代のペイパーバックの表紙をアップロードしていた。今では、ほとんど自分の宣伝サイトになっているのだ。しかも、サイト名が Walter Sorrells' Mystery Zone に変わっている。  
このサイトでは、ルース・バーミンハムのためのサブサイトを開設している。というわけで、バーミンハムの紹介をしてみよう。ソレルスはバーミンハム名義で新しいシリーズを書き始めた。新しい主人公はサニー・チャイルズという女性私立探偵だということしかわからない。それで、Amazon.com で調べてみて、サニーがジョージア州アトランタの《ピーチトリー探偵社》の主任探偵であることがわかった。  
ペンネームに関しては、ルースは姉妹の名前で、バーミンハムは南部的な響きがあるという(バーミンハムはアラバマ州の工業都市。ちなみに、ソレルスはアトランタに住んでいる)。それに、バーミンハムの「B」は書店の本棚でちょうど目の高さに来る確率が大きいらしい。  
ここではエドガー賞候補作と次作からの抜粋を読める。次作のタイトルは未定となっているが、この次作は99年1月に Fulton County Blues というタイトルで刊行されている。つまり、このサイトは今年更新されていないということだ。宣伝サイトとしては、まずいことである。新作が刊行されれば、すぐに新作紹介をしつこく、かつ親切に宣伝するべきである。それに、主人公の紹介をもっとすべきだ。エドガー賞にノミネートされたことも宣伝すべきなのだ。
 
ジェイムズ・W・ホールの個人サイト James W. Hall が開設されたというので、訪問してみた。エルモア・レナードに影響されたフロリダのハードボイルド作家と見なしてたのに、こちらの不勉強から最近読んでいないので、近況を知りたくなったのだ。  
ホール自身が自分の長篇作品について紹介している。87年刊の処女小説『まぶしい陽の下で』(ハヤカワ・ミステリ文庫)の主人公ソーンはシリーズ・キャラクターになるはずではなかったという。ホールはジョン・D・マクドナルドやレイモンド・チャンドラー、ダシール・ハメット、ロス・マクドナルド、ロバート・B・パーカー、エルモア・レナードに大きく影響を受けた。主人公のソーンはハウスボートのないトラヴィス・マギーとして創造したらしい。  
ソーンもの第3作『大潮流』(講談社文庫)では、ホールの生徒だった作家のデニス・リヘインが資料を集めてくれたという。96年刊のソーンもの Buzz Cut のプロットは映画『スピード2』に似ているが、映画の脚本が書かれる半年前にその小説はハリウッドで読まれていたらしい。ただ、ホールによると、小説のプロットを充分に盗まなかったので、『スピード2』は失敗したのだそうだ。98年刊の Body Language はソーンものではなく、アレクサンドラ・ラファティーというマイアミ警察の女性写真係が活躍する。しかし、ホールは近刊でアレクサンドラとソーンを共演させるらしい。  
ホールは月に一度《サン・センティネル紙》日曜版にコラムを書いているのだが、その中で98年8月に書いたコラムが面白い。サイン・ツアーの失敗談なのだが、ミネソタ州セント・ポールのある大型書店のサイン会には、案の定、誰も来なかった。がっかりして帰ろうとしたときに、一人の男がやってきた。車で2時間かけて、やってきたという。しかし、その男はホールのファンではなかった。その男の名前もジェイムズ・W・ホールといい、自分の名前がはいった本がほしかったのだ。それ以来、サイン会に行くときに、ホールはその地域のジェイムズ・ホールという名前の男たちに連絡するという。
 
インターネットにアクセスできたら、この連載コラムを読む前にミステリ業界とか、ミステリ映画の最新情報を知りたいよねっ、ねっ、ねっ? おれの情報源のいくつかを暴露してしまおう。まず、Book Buzz では、出版業界の最新情報をほぼ毎日更新していて、去年の情報も保管してある。最近では、アカデミー作品賞およびオリジナル脚本賞を獲得した『恋するシェイクスピア』が自作の『慈悲のこころ』(創元推理文庫)の盗作だと、あのフェイ・ケラーマンがユニヴァーサル映画とミラマックスと二人の脚本家(マーク・ノーマンとトム・ストッパード)を訴えた。  
毎月一度は Mystery Movie News を訪問すれば、ロバート・B・パーカーが今度 Count the Raindrops というノン・スペンサー小説を発表することがわかる。サニー・ランダル(またサニーだ!)というボストンの女性探偵が活躍し、ヘレン・ハント主演で映画化されるという。そして、リチャード・スタークの『逃亡の顔』や『殺戮の月』、『標的はイーグル』(いずれもハヤカワ・ミステリ)、98年刊の Backflash の映画化権が取得されたこともわかる。  
最近ではケーブルTVでも多くのミステリ作品が映像化されている。TV News を訪問すると、ケーブルTVのA&Eがネロ・ウルフものを制作・放映することがわかる。TVニュースにはここ1年間の情報を保管してあるから、そちらのほうも読むことをおすすめする。 //


来月号に続く

日本語版ホームページに戻る

国際版ホームページに戻る