Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#40--ダシール・ハメットの眠る墓地に電脳墓参り



   
ハンター・ゴートリーというソフトウェア・エンジニアから電子メールが届いた。自分の管理しているウェブサイトにリンクを張ってほしいと頼んできたのだ。97年1月に開設したのだが、あまり宣伝していないという。  
George C. Chesbro Bibliography にはタイトルどおり、チェスブロのチェックリストが挙げられている。日本で紹介されている長篇は、小人探偵ロバート・“モンゴ”・フレデリクスンもの2作の『消えた男』と『囁く石の都』(パシフィカ)のほか、ノンシリーズの『ボーン・マン』(文春文庫)や映画『ゴールデン・チャイルド』のノヴェライゼーション(角川文庫)がある。  
アメリカでは、モンゴものの長篇が13作と短篇集が1作、元CIA諜報員ヴェイル・ケンドリーものが2作、デイヴィッド・クロス名義で書いた悪党チャントものが3作がある。  
モンゴものの長篇は私立探偵ものには珍しく、超自然現象の要素も取り入れていて、その特異性に魅せられた熱烈なファンも多い。日本で紹介されたモンゴものの短篇はアメリカ私立探偵作家アンソロジー第3集『探偵たちの誇り』(ハヤカワ・ミステリ文庫)に収録された「ガンダラ」しかないが、それももう廃刊だろうな。  
おれはチェスブロが77年にモンゴもの第1作『消えた男』を書く前から、《ヒッチコック・マガジン》でモンゴものの短篇を読んでいたので、親しみがあるわけだ。チェスブロのミステリ雑誌での作品は知っているが、《ファンタジー&サイエンス・フィクション》や《イフ》のSF雑誌にも投稿したことは知らなかった。「聖職者たち」(本誌92年2月号)がブレンダン・フュリーズものの1編であることも記してほしかった。  
3月30日にチェスブロ自身が送ってきたメッセージが紹介されている。モンゴものの長篇は96年刊の Dream of a Falling Eagle のあと刊行されていないが、モンゴは引退したわけではないという。チェスブロはフランスで人気が高くて、『ボーン・マン』はよく売れているらしい。それで、フランス映画 Crying Freeman をノヴェライズしている。  
長篇作品それぞれの概要や主要登場人物の紹介をしたら、もっと充実したサイトになるだろう。ウェブマスターのゴートリーはこのほかに、ロバート・R・マキャモン(『少年時代』文春文庫)やスティーヴン・ハンター(『ダーティホワイト・ボーイズ』扶桑社ミステリー)のファン・サイトも管理している。
 
The Continental Detective Agency の存在を知ったのは、たぶん The Mysterious Home Page から送られてくる新しいウェブサイト・リストを見たときだろう。ドメイン・アドレス(uk) とかスペリングから察するところ、ウェブマスターはイギリス人だろう。  
これはサミュエル・ダシール・ハメットの作品と生涯を探究するウェブサイトである。ハメットの生涯については、ウィリアム・F・ノーランとダイアン・ジョンスンとリチャード・レイマンのハメット伝を参照にして、簡潔にうまくまとめてある。ハメットの長篇第1作『赤い収穫』は、エラリイ・クイーンの『ローマ帽子の秘密』と同じく1929年の刊行で、今年で出版70周年ということになる。つまり、2000年はもう1つの名作『マルタの鷹』出版70周年ということになる。しかし、ハメットが1961年1月13日に死んだというのは間違い。10日が正しい。13日はアーリントン墓地に埋葬された日である。  
ここでは、ハメットが勤めていたピンカートン探偵社のサイトとか、ハメットが関わったファッティー・アーバックル事件のページへのリンクのほか、アーリントン墓地のサイトへのリンクもある。アーリントン墓地のハメット軍曹のページでは、ハメットの墓石の写真も見られるので、いたく感激した。  
グレッグ・ルッカ(『守護者』講談社文庫)という比較的新しい作家のウェブサイト Greg's Bear Cave の存在はどこで知ったのか覚えていない。 1999年10月刊の新作 Shooting at Midnight (Chasing the Dragon から変更)の前宣伝から始まり、アティカス・コディアックものの主要登場人物の紹介がある。それぞれの登場人物に関係する趣味や団体のサイトへのリンクも張ってある。  
たとえば、主人公のコディアックの場合、愛用銃ヘックラー&コッホ、警護業界、ジャズ・シーン、好きな作家(ポール・オースター、マーク・トウェイン、イタロ・カルヴィーノ)のサイトへのリンクが張ってあるのだ。ブリジット・ローガンに関しては、好きな読者と嫌いな読者がいて、中立的な読者はごく少ないという。ブリジットのページからは、ポルシェやシン・フェーン党(アイルランド独立推進政党)、好きな作家(ナディーン・ゴーディマー、ウィリアム・バロウズ、ジム・キャロル)のサイトにリンクが張られている。  
デイル・マツイは日系の大男だが、ゲイだとは気がつかなかった。スミス&ウェッスンやニューヨークのゲイ団体のサイトにリンクされている。ナタリー・トレントのページからは、愛用銃グロックのサイトにリンクしている。スコット・ファウラーのページからは、もちろん、FBIや司法省、インターポルのサイトにリンクが張ってある。ファウラーのように、イアリングをしている男性捜査官は現実にも存在するそうらしい。  
ノンフィクションのページはルッカの自己紹介である。内容は講談社文庫版の巻末解説にあるとおりなのだが、ルッカが卒業したヴァッサー・カレッジというのは女子大じゃなかったかなと思っていたら、69年に共学になったんだってさ。  
トップページに戻ってみると、『バットマン』に関するニュースがあって、マット・ブレイディーによるインタヴュー記事 にリンクしている。そこには、ルッカが漫画『バットマン』のライターになった経緯が述べられている。実際に最近の『バットマン』のクレジットを見ると、確かにルッカの名前が記してある。これからは、コミックス・ライターとして有名になりそうだ。 //


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