Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#45--ロンドン・タイムズが やらかした、しでかした



   
1年半ぐらい前にも紹介したが、《ロンドン・タイムズ》が10月9日号の別冊でまたもや犯罪小説特集を組んだ。そして、それがウェブ・サイトでも紹介されているのである。Special Report: Crime 99 では、ヴァル・マクダーミドが新人作家を紹介したり、マーティン・エドワーズが短篇ミステリの現状を述べたりしているほか、マイクル・コナリーとエリザベス・ジョージとヴァル・マクダーミドの紹介記事も載っている。  
その前に、警告しておくことがある。じつは、この特集のサイトはなぜか読み込みが極端に遅い。もしくは、読み込んでいるのに、テクストが画面に出てこないのである。読み込みが終わったと思ったら、たとえ画面が真っ白でも、とにかくテクストを保存して、あとでテクストを開けて読んでくれ。無料なので、文句は言えないのだよ。  
イアン・ランキン(『黒と青』ハヤカワ・ミステリ)がマイクル・コナリーをインタヴューしている。コナリーによると、『ザ・ポエット』(扶桑社ミステリー)には、ボッシュが特別出演する予定だったという。ヴァル・マクダーミド(『殺しの四重奏』集英社文庫)の次作は Killing the Shadows というノンシリーズで、連続殺人犯がミステリー作家ばかりを狙うという面白そうな設定だ。今やベストセラー作家となったエリザベス・ジョージ(『消された子供』ハヤカワ・ミステリ文庫)は黄金時代の作家たちのほかに、ケム・ナンも読むそうだ。  
今回の特集で圧巻なのは、99年に作品を発表した作家たちのリストである。じつに400人以上の作家の作品を紹介しているのである。読んでいる途中で疲れたのも無理はない。マクベインやヒル、ラヴゼイ、パレツキー、グラフトンなどの大物作家のほか、半分以上は新人か、それほど有名ではない作家である。知らない作家が多すぎるので、自分の不勉強を実感することになったが、どうせ書評家稼業をやめたんだから、どうでもいいか。  
驚いたことに、98年版 もまだウェブ・サイトに残っているから、見逃した人はそちらのほうも読んでくれ。
 
いつのまにかスペンサーの有名なファン・サイト Bullets and Beer がなくなってしまった。そのかわりに見つけたのが、Shylock: An Unofficial Robert B. Parker Fan Site である。ドッド・ヴィッカーズが管理している非公式ファン・サイトで、パーカーの作品を扱っている。  
トップ・ページは最新作の女性探偵サニー・ランダルものの1作目 Family Honor の紹介であり、2000年の夏にボストンでヘレン・ハント主演で撮影が開始されるらしい。このサイトで一番驚いたのは、2000年3月に発行されるスペンサーものの次作 Hugger Mugger の紹介である。このタイトルはシェイクスピアの『ハムレット』に由来するが、「大混乱」という意味だ。スペンサーがジョージア州に行き、馬殺しの事件を調査する。そのうえ、この次作のジャケットまでも見せているところは、すごい。  
それに、今までのところスペンサーもの唯一の短篇「代理人」(本誌89年9月号訳載)をも取りあげている。ヴィッカーズは50部限定の豪華版を手に入れたようだ。その短篇の中でホークが口笛を吹く『ムード・フォア・ラヴ』を詳しく説明しているところから判断すると、この男は相当のジャズ・ファンだな。  ついでに見つけたのが Robert B. Parker's Spenser Novels という別のファン・サイトで、これは1ページにすべてを詰め込んでいるので、べらぼうに長〜い。ブルース・E・クラークという1914年生まれの男性が管理していて、99年7月11日に開設したらしい。  
スペンサー作品の短い粗筋と、長い粗筋(結末も!)のほか、主要登場人物の紹介も載せている。そのうえ、『告別』の第2章で、スーザンがスペンサーに別れを告げないような場面を創作し、『キャッツキルの鷲』の第53章と第54章のあいだにはさむ場面も創作している。これは暴挙である。一人で楽しむか、友人に見せるのならいいのだが、ウェブ・サイトというのは公けのものであるから、これは著作権違反なのだ。パーカーに訴えられないうちに、削除すべきだろう。
 
チャールズ・ウィルフォード(『危険なやつら』扶桑社ミステリー)のファン・サイト Charles Willeford: something about a writer はフィンランドの Juha Lindroos が管理していて、作品リストや最新ニュースを載せている。  
作品リストでは、ウィルフォードが本名で書いていたソフト・ポルノのジャケット写真も載せてあるが、現代の標準では猥褻物陳列にはならないね。99年にロビンソン・デヴォアという新人監督が60年刊の The Woman Chaser をパトリック・ウォーバートン(TV番組『サインフェルド』)主演で映画化したということで、特別のサイトThe Woman Chaser を開設したので、そちらのほうも訪問してほしい。最新ニュースは、ウィル・チャールズ名義で71年に発表されたウェスタン小説をデニス・マクミラン社が The Difference というタイトルで再刊するというものだ。  
デニス・マクミラン社はジェイムズ・クラムリーやマイクル・コナリーの小説の限定版を出版している会社で、99年に Charles Willeford を開設した。98年にはドン・ヘロンによる評伝 Willeford も出版しているが、このヘロンはサン・フランシスコでダシール・ハメット・ツアーを企画した男で、マルタの鷹協会サン・フランシスコ本部の創立者としても知られている。  
ウィルフォードの略歴を見ていると、60年前後に彼がフロリダで《ヒッチコック・マガジン》(AHMM)の編集助手をしていたとある。当時のAHMMの編集長はヒッチおじさんの娘パトリシアだったんじゃなかったっけ? バックナンバーをひっくり返して、調べてみるか。 //


来月号に続く

日本語版ホームページに戻る

国際版ホームページに戻る