Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#46--メアリが真の作者? アガサは記憶喪失?



   
ずっと前に Miningco.com のミステリー・ページを紹介したが、そこのページが週ごとに更新をしなくなり、名前が about.com に変わり、そこのガイドだったマリ・ソトがいつのまにかいなくなった。しばらくして、おれのところにそこのガイドをしてみないかという誘いがEメールで届いたのだが、訪問者が広告をクリックした分だけの報酬しかいただけないというので、「考えさせてほしい」と暗に断わった。  
そして、99年10月にキャシー・ギャラガーという新しいガイドから自己紹介のニューズレターが届いた。新生 About.com Guide to Mysteries はなかなか役に立つ。ほとんど毎日追加される In the Healines では、ほかのウェブ・サイト(ほとんどが新聞や雑誌)に載ったインタヴュー記事や書評、コラムを教えてくれるので、いちおう毎日チェックするようにしている。それに、毎週ニューズレターをEメールで送ってくるので、登録することをおすすめする。  
Mystery Author Directory で、パーネル・ホールの新しい個人ウェブ・サイト を見つけたし、スペンサーのファン・サイトである Bullets and Beer がいつのまにか消えていると前回書いたが、じつは新しいウェブ・アドレス に移っていたこともわかった。  
ほかにも、ミステリ関係のリンクをたくさん挙げてある。The Gumshoe Site については、「ミステリ関係の最新ニュースを掘り起こしている楽しいサイト」とほめてくれているので、こちとらも相手をほめ倒さないといけないやね。  
この about.com のミステリ・ページで、ディック・フランシスの小説はじつは奥さんのメアリが書いているという噂についての討論があった。この噂は日本でも流れているほど古いのだが、フランシス夫妻の元友人グレアム・ロードが99年12月に Dick Francis: A Racing Life をイギリスで刊行し、《ガーディアン紙》に抜粋版が掲載されたために、またもやその噂が蒸し返されたのだ。そこで、フランシス夫妻の息子フェリックス・フランシスがディック・フランシスの創作の実情について《サンデイ・タイムズ紙》 に書いている。内容を一口で言うと、フランシスの作品はディックとメアリの共同作業であり、息子たちも協力する場合もあるということだ。
 
もう一つの話題は、アガサ・クリスティー失踪事件のことだろうか。じつのところ、ジャレッド・ケイド著の『なぜアガサ・クリスティーは失踪したのか?』(早川書房)はイギリスで98年に刊行されたのに、アメリカやイギリスではそれほど話題になっていなかったようだ。この伝記の宣伝サイト Agatha Christie を訪問すると、なかなか興味深い。  
クリスティーの孫であり、クリスティー協会会長のマシュー・プリチャードがこの伝記を嫌っていて、買うなと言っているのだが、『アガサ・クリスチィの秘密』(東京創元社)の著者グエン・ロビンズがこのあたりの事情について書いている。ロビンズのほかに、スー・グラフトンや、また別の伝記の著者チャールズ・オズボーンが推薦している。この宣伝サイトでは、『アガサ・クリスティーの生涯』(早川書房)の著者ジャネット・モーガンは遺族の許可を得たものの、クリスティーの作品を読んでいないし、労働党支持者なので、伝記作家としては不適当だとまで言っている。
 
忘れないうちに書いておこう。ドナルド・E・ウェストレイクの作品がまた映像化されたのだ。A Slight Case of Murder の原作は中編「トラヴェスティ」で、本誌の78年1月号から10月号に連載され、あとで『殺人はお好き?』(早川書房)に収録された。  
放映したのはターナー・ネットワーク・テレヴィジョン(TNT)というケーブルTV局で、99年9月19日に放映された。主役の映画評論家テリー・ソープに扮するのはウィリアム・H・メイシーで、『ファーゴ』に出演したというよりも、『ER』のモーゲンスターン先生というほうがわかりやすいかな? メイシーは監督のスティーヴン・シャクターと一緒に共同脚色をしていて、女房のフェリシティー・ハフマンも共演している。このヴィデオ版はまだ販売されていないし、販売されても日本には郵送してくれないかもしれない。
 
出版業界誌として有名な《パブリッシャーズ・ウィークリー誌》は、一年に一度ミステリ特集を組む。99年の10月25日号には It's Not Whodunit, but How-Do-You-Do-It? というルシンダ・ダイアーの記事が載っている。ミステリの宣伝方法についての記事である。それがオンラインでも読めるのである。ミステリを宣伝、販売するための方法を出版人やミステリ編集者、ミステリ専門店主が述べている。  
売れ行きで群を抜いている作者には、二つの共通点があるらしい。一つは、自己宣伝をしていること。自分でウェブ・サイトを立ちあげたり、ニューズレターを発行する。それに、手紙やEメールで知らせる。ローレンス・ブロックはインターネットが普及する前からニューズレターを発行していたぞ。そう言えば、おれのところによく新人作家から宣伝サイトにリンクしてほしいと依頼がくるよ。もう一つは、読者が共感する主人公を創造していること。  
もちろん、口コミや、賞のノミネーション、好意的な書評も役に立つし、作家のサイン・ツアーは売り上げを何倍にも増やす。新人はとにかくミステリ専門店にいい印象を持ってもらうために、ゲラを送ることが大切である。専門店の店主や店員は気に入った作品を得意客にどんどんすすめてくれるからだ。それに、ジャズマンを主人公にしたシリーズ(『脅迫者のブルース』文春文庫)を書いているビル・ムーディは、ジャズ・クラブでも本を売ってもらっているという。業界の編集者や営業部員にとっても貴重なアドヴァイスが満載である。 //


来月号に続く

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