Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#47-- 知る人ぞ知る作家を見つけてきたぞ!



   ジョン・A・ジャクスンという作家を知っている読者がどれだけいるだろうか? 1977年刊の『デトロイト刑事』と78年刊の『もぐり酒場』(いずれもハヤカワ・ポケット・ミステリ)でデトロイト市警殺人課のムルヒーセン部長刑事を登場させた作家である。その刑事の名前は Mulheisen と綴るので、「ムルハイゼン」と発音するのかもしれない。とにかく、その2作を発表したあと、90年に3作目の Grootka を発表するまで12年のブランクがあるので、忘れ去られているかもしれない。
 The Official Web Site of Author Jon A. Jackson を訪問してみると、彼の略歴が書いてあるので、そのブランクの理由がわかる。以前にこのコラムで《ミステリ・シーン誌》がジョン・A・ジャクスンにインタヴューした記事を紹介したことがあるので(このサイトにも転載されている)、おれはだいたいの事情は知っていたが、とにかく Auto-Biography を読んでみよう。
 彼の最初の車は54年型シヴォレー・セダンだったが、土手にぶつけて壊した。それで、55年型フォードをガールフレンドの親父さんが見つけてくれた。空軍を除隊したあと、モンタナ大学で野性生物学を勉強して、モンタナ州ミズーラでルース・バウムと結婚し、娘のサラができた。フォルクス・ワーゲンのビートルを買って、アイオワ大学の小説作法ワークショップで修士号を獲得したが、ルースと離婚して、古いシェヴィーの軽トラックを買った。78年にシンダ・パーディーと再婚して、息子デヴィンができた。しかし、シンダが飛行機事故で亡くなり、81年型の新車トヨタ・コロナを買った。そのあと、ずっと小説の買い手が見つからない。つまり、12年間のブランクが始めるわけだ。
 同居していたジャネット・マクミランと別れたあと、90年にやっと Grootka が刊行されたが、家が全焼し、89年型のトヨタ軽トラックを買った。しかし、92年にその軽トラックを壊し、73年型のダットサン軽トラックを買った。そして、今はミズーラでジーンと同居している。
 でも、どうして略歴に自動車のことまで書く必要があるんだと思うよね。デトロイト地域で生まれた男は、乗っている車で判断されるからである。それに、タイトルは autobiography(自伝)ではなく、auto-biography(自動車−伝記)なのだ。それに、よく昔のガールフレンドや妻たちのことを書けたものだと感心するね。
 2000年にはムルハイゼン(ドイツ語読み)ものの8作目 La Donna Detroit が刊行される。

 デイヴィッド・ハウスライトという作家を覚えている読者はどれほどいるだろうか? 95年刊の『ツイン・シティに死す』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)でアメリカ探偵クラブよりエドガー処女長編賞を受賞した。この作品はミネソタ州ミネアポリスの私立探偵ホランド・テイラーが活躍するシリーズの1作目である。96年に彼がエドガー賞を受賞したときにニューヨークで会ったし、99年にセント・ルイスで催された《アイコン》でも会った。でも、彼の経歴についてはあまり知らなかったな。
 David Housewright を訪問してみると、彼の略歴が載っていた。13歳のときに両親に印刷機を買ってもらい、《ネイバーフッド・ニューズ》という自分の新聞を発行して、隣近所に10セントで売っていた。そして、高校新聞で編集長になったが、ヴィエトナム戦争反対を訴える論説を活字にしたために、カトリック系軍事学校より編集長を解雇されてしまった。セント・トマス大学でジャーナリズム学を勉強しながら、《ミネアポリス・トリビュー紙》でスポーツ記事を書いていたが、《トリビューン紙》が《スター紙》と合併したために、人員整理されてしまった。
 大学を卒業したあとに、ミネソタ南部の《アルバート・リア・イーヴニング・トリビユーン紙》で記者をしているときに、ホランド・ラークという保安官に出会った。そう、ハウスライトの探偵のファースト・ネームはその保安官にちなんでつけられたのだが、性格は全然似ていないという。そのあと、ジャーナリズムを離れて、広告業を始め、セント・ポールで広告会社を設立した。そのときに、テイラーもの1作目を執筆したのだ。今は広告会社をパートナーに売り、フリーランス・ライターとして働きながら、ミネソタ大学で創作講座を教えている。
 ハウスライトはオギルヴィーという兎と一緒にローズヴィルに住んでいる。小説にもこの兎が登場したらしいが、覚えてないな。
 99年にはテイラーものの3作目 Dearly Departed が刊行された。

 ブレンダン・デュボイスという作家を知っている読者はどれほどいるのかなあ? どちらかと言うと、短篇小説で有名である。「兄弟の絆」(『EQ』95年11月号)でシャイマス賞を受賞しているし、『赤ずきんの手には拳銃』(原書房)には「ラプンツェルの復讐」を寄稿しているし、本誌には「血をわけた兄弟ならば」(91年3月号)など3篇が訳載されている。短篇は《エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン》や《ヒッチコック・マガジン》のほか、《プレイボーイ》にも寄稿している。EQMM読者投票ではいつも上位を占めていて、その読者賞授賞式でデュボイスと二度ほど会ったことがある。それに、国防省のある機密部署に勤務していた雑誌記者ルイス・コールものの長篇を3作発表した。
 Resurrection Day はデュボイスが99年に発表して話題になった歴史サスペンス小説 Resurrection Day (某出版社より刊行予定)の宣伝サイトである。62年にCIAが失敗したキューバ侵略作戦(ピッグ湾作戦)のあと、キューバ危機でアメリカとソヴィエト連邦がもし核戦争をしていたら、どうなっていただろうという設定だ。この小説の時代設定のほうはこのキューバ戦争の10年後にあたる1972年で、ソヴィエト連邦は破壊されたし、アメリカはヴィエトナム戦争に関わらなかったし、ワシントンDCもニューヨークも破壊されている。
 デュボイスの短篇を好むファンとしては、短篇のリストを詳しく挙げてほしかったが、これは Resurrection Day の宣伝サイトだから、仕方ないか。
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