Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#51 -- 夏には熱いシャフト旋風が吹き荒れるかな



 4月16日の夜中に〈ニューヨーク・タイムズ〉の死亡欄を見ると、エドワード・ゴーリーが15日にマサチューセッツ州ハイアニスの病院で死亡したと書いてあった。ゴーリーと言えば、不気味なイラストレイションで有名だが、日本ではほとんど紹介されていない。アメリカではTV番組 Mystery! のタイトル・アニメーションのイラストレイターとして有名である。この番組は『モース警部』などのイギリス産ミステリ・ドラマを放映していて、今はダイアナ・リッグがホステスを務めているんじゃなかったっけ? とにかく、ここのウェブサイトにも追悼インタヴュー が載っている。

 ゴーリーは数作のアルファベット・ブックを著わしていて、その中でも、「階段から落ちたエイミーのA……ジンをたくさん飲みすぎたジラのZ」という説明文のはいった「絵本」The Gashlycrimb Tinies(死んだ子供たちのABC)はスー・グラフトンのキンジー・ミルホーン小説のタイトルにも影響を与えている。そして、サラ・コードウェルの作品のデル・ペイパーバック版のジャケット・イラストレイションを担当するなど、ミステリに関係は深く、78年にニューヨークで催された第二回国際犯罪作家会議のポスターを担当した。それで、その写真集を自費出版するときに、ゴーリーにそのポスターを表紙に使わせてほしいとおれは電話で頼んだことがある。そのときに送った小切手はまだ換金されていない。

 とにかく、百聞は一見にしかず、The Edward Gorey Bibiliography Web Site を訪問すると、ゴーリーが関わった書籍がすべて挙げられている。100冊以上の本を著わし、60冊以上のジャケットを描いたゴーリーの完全チェックリストなので、情報量の多さは覚悟すべきである。裏表紙の書籍コードまで自分の手で書くほど、レタリングが好きだったし、ドッグイアー・ライドとか、オグドレッド・ウィアリーなど、自分の名前のアナグラムをペンネームにしたこともある面白い人物だった。

 ついでに、もう一つのファン・サイト The West Wing -- The Works of Edward Gorey を紹介しよう。ここにも膨大な著作目録が挙げられている。ここのプロファイルは〈アメリカン・ブック・コレクター〉1971年5月号に掲載されたもので、筆者のトマス・M・マクデイドは元FBI捜査官のノンフィクション作家。どちらかと言うと、ゴーリー収集家のためのサイトである。ゴーリーの作品やキャラクター商品はニューヨークの47丁目にある〈ゴサム・ブック・マート〉で展示販売しているらしいから、今度寄ってみよう。

 ここからリンクしている Salon.com にゴーリーのプロファイル が載っているので、それを参考に彼の生涯を簡潔に紹介してみよう。ゴーリーは1925年にイリノイ州シカゴで生まれた。父親はカソリック派の新聞記者だった。母親は監督教会派。彼が11歳のときに両親は離婚し、彼が27歳のときに再婚するのだが、そのあいだ、父親はコリーナ・ムーラという女性と結婚した。映画『カサブランカ』でフランス国歌を歌った歌手である。

 ゴーリーはシカゴ・アート・インスティテュートに一学期だけ在籍したが、すぐに徴兵で陸軍に入隊し、ユタ州の武器実験場で兵役に就いた。除隊後、ハーヴァード大学でフランス文学を専攻した。50年に卒業後、ダブルデイ出版の美術部で働いたあと、フリーランスになった。

 バレエが大好きで、名振付師バランチンが83年に死んだあと、ニューヨークに住む理由がなくなったので、マサチューセッツのケイプ・コッドに引っ越した。200年前に建てられた家に住んでいて、壁の割れ目からツタウルシが伸びていたという。

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 アーネスト・タイディマン原作の『黒いジャガー』(早川書房)のリメイクが6月にアメリカで公開されるという噂があるので、黒人探偵シャフト関係のウェブサイトを調べてみた。映画のシャフト・シリーズのファン・サイトはいくつかあるが、Shaft's ShaftPage が一番親しみやすい。管理者はシャフィロフという姓の白人の高校生で、シャフトというニックネームを持つ。

 シャフト映画は71年公開の『黒いジャガー』、72年公開の『シャフト旋風』と73年公開の『アフリカ作戦』の3作があり、そのあと、映画と同じくリチャード・ラウンドトリー主演でTV番組が制作されたが、セックスとヴァイオレンスが控え目だったせいか、すぐに打ち切りになった。小説のほうは『黒いジャガー』と『シャフト旋風』(ハヤカワNV文庫)を含めて7作あるが、『アフリカ作戦』はスターリング・シリファントのオリジナル脚本を基に製作され、監督は前2作のゴードン・パークスではなく、ジョン・ギラーミン。このあと、ラウンドトリー出演の Diamond Shaft (あとで Diamonds と改題された。邦題は『MR.ダイヤモンド』)という映画があるが、シャフトものではない。

 ということで、今年6月に公開されるという映画 Shaft についての情報が Coming Attraction に載っている。新作は『黒いジャガー』のリメイクではなく、『クロッカーズ』の原作者・脚色家リチャード・プライスがオリジナル脚本を書いた。リチャード・ラウンドトリーはジョン・シャフト役で出演するが、主演のサミュエル・L・ジャクソンはその甥で同じ名前のジョン・シャフトを演じる。共演はヴァネッサ・ウィリアムズ。監督はジョン・シングルトン。このページの情報はゴシップも含まれているので、100パーセント信用するわけにはいかないが、シングルトンがエクストラの女性とトレーラーの中に長くいて遅刻したので、ジャクソンが腹を立てたとか、スニーク・プレヴュー(試験上映)では評判が悪かったとか、もう4月なのにフィラデルフィアでまだ追加場面を撮影しているとか書いてあるのだ。ちなみに、公式サイト Shaft が立ちあげられた。トップページには、頭髪を剃って凄味のあるジャクソンの顔が載っていて、予告篇が見られる。 //


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