Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#55-- ウェストレイクのサイトも新作のうち



 毎朝、インターネットにつなぐと、おれの『ガムシュー・サイト』国際版のトップ・ページに行って、ヒット数を調べるのだが、8月中旬急激に100ヒット以上に増えた。その前は40ヒット前後だったのに何が起こったのだろうと考えてみた。そう言えば、7月中旬に A&E's Mysteries.com のキャシー・ハーマノフスキーという女性から、『ガムシュー・サイト』が今週の注目サイトに選ばれたというメッセージをもらっていたな。でも、8月22日の週の注目サイトなのに、一週間早いぞ。

 というわけで、Mysteries.com を訪問してみると、予定より一週間早く注目サイトに選ばれているではないか! The Gumshoe Site はミステリの最新ニュースやミステリ賞の詳細リストを掲載しているという説明がついている。

 このサイトはケーブルTV局のA&Eのミステリ・サイトで、呼び物はミステリ・データベースである。作家とか主人公、映画の名前を書き入れて、検索をかけると、データが出てくるのだ。ところが、これはエドガー評伝賞を受賞したウィリアム・L・ディアンドレアの Encyclopedia Mysteriosa (Prentice-Hall, 1994) をそのまま使用しているのだ(そのことはどこにも明記されていない)。だから、94年以降に有名になった作家は出てこないし、原典の間違いがそのままである。例えば、マーガレット・ミラーの没年が1944年になっているのだ。でも、原典を購入していない人には便利かもしれない。

 というわけで、一週間後には『ガムシュー・サイト』のヒット数はだんだん減少していくのであった。

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 ドナルド・E・ウェストレイクに翻訳上の疑問点を書いて、ファックスで送ると、なんと電子メールで返事が来たのには驚いた。もっと驚いたのは、彼が公式サイト Donald Westlake: Author を立ちあげたことだ。

 トップ・ページに行くと、まず、「わたしの題材は当惑であると信じている」という言葉が出てきたと思ったら、自動的にページが変わって、「でも、間違っているかもしれない」という言葉がでてくる。それから、迷路の絵を書いたコンテンツ・ページに行って、略歴ページをクリックしてみようか。
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 この略歴はウェストレイク自身が書いていて、これまでの作家事典に載っていない珍しい情報がいっぱいである。例えば、彼の母親リリアンの旧姓はバウンダで、その母親の旧姓はフィッツジェラルドなので、アイルランド系である。父親の母親の旧姓はティレルなので、父親は半分アイルランド系である。ウェストレイクには2歳半年下の妹ヴァージニアがいる。彼の7人の子供はもう酒を飲める年齢なので、自立している。

 彼はブルックリンで生まれ、ヤンカーズやオルバニーで育ち、ビンガムトンのハーパー・カレッジ(現在の州立大学ビンガムトン校)の三回生になってから、中退した。しかし、1996年にはその大学から名誉博士号をもらったらしい。現在の奥さんであるアビーはノンフィクション作家で、マンハッタンで生まれた。今は二人でニューヨーク州北部の元農家に住んでいる。

 次に新刊・近刊ページに行こう。リチャード・スターク名義の悪党パーカーもの Flashfire が2000年11月に刊行される。パーカーがフロリダ州のパーム・ビーチに行くらしい。2000年8月には1966年にタッカー・コウ名義で発表したミッチ・トビンもの第1作『刑事くずれ』(ハヤカワ・ミステリ)が再刊されたのだ。このあと、このシリーズのほかの作品も再刊されるという。そのほか、11月には1999年刊の短篇集 A Good Story のペイパーバック版が出る。

 著作リストのページはすれっからしのファンにも新鮮な驚きをもたらしてくれる。いろいろな翻訳本の巻末にあるチェックリストには載っていない作品があるのだ。2001年にはドートマンダーものの新作 Bad News が刊行されることは知っている。彼がエドウィン・ウェスト名義でモナーク・ブックスから出した4作のソフト・ポルノ(彼はトラッシュ、ゴミと読んでいる)のタイトルまで載せているのだ(おれは2冊持っているぞ)。そのうえ、1962年にはジョン・B・アラン名義で Elizabeth Taylor という伝記を書いている(捜すべきだな)。それに、映画化された彼の作品には、1996年フランス公開の『踊る黄金像』(ミステリアス・プレス文庫)と1999年ドイツ公開の『ジミー・ザ・キッド』(角川文庫)がある。でも、日本で『踊る黄金像』と『二役は大変』と『嘘じゃないんだ』がNHK-FMの「青春アドベンチャー」でラジオ・ドラマ化されたことは書いてないな。

 ウェストレイク自身が管理してはいないだろうが、情報が少ないわりに、充実していることにも驚いた。

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 バーナード・ショーペンという作家を覚えている人は少ないだろう。1989年に『大いなる沈黙』、1990年に『荒野の顔』(いずれもミステリアス・プレス文庫)を発表し、「ロス・マクドナルドの再来」と呼んだ評論家もいる。それもそのはずで、ショーペンはロス・マクドナルドの評論書を著わしている。

《ミステリアス・ホームページ》管理者ヤン・B・ステフェンセンが電子メールで送ってきた新しいウェブサイトのリストに Bernard Schopen があったので、訪問してみたが、トップページしかない。しかも、黒いバックグラウンドに白い文字は読みづらい。

 リノの私立探偵ジャック・ロスが行方不明で、娘によって失踪届けが出ているという「お遊び」の新聞記事は、何の意味があるのだろう(ロスに娘がいることは知らなかったなあ)。ロスもの第3作 The Iris Deception が出たことは書いてあるが、1996年にネヴァダ大学出版局より刊行されたことを書かなくては、宣伝にも解説にもなっていない(過小評価されているからこそ、あえて苦言を呈しているのだぞ)。

 いちおうエリック・B・オルセンという男性が管理しているらしいが、内容に関してはショーペンが著作権を所有しているので、ショーペンにも責任がある。ちなみに、ショーペンは現在、リノに住んでいて、ネヴァダ大学リノ校英文学部の講師である。 //


来月号に続く

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