Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#59--クリッペンを吊せ! ランドルーを殺せ!



 95年に購入した古い Mac LC630 の残り容量が50MB あたりでふらついているので、ついに念願 のPowerMac G4Cube を購入した。メモリーも増えたし、ハードディスクの容量も20GBに増えたし、モデムの転送速度も速くなった。それに、MacOSも7.5から9.0になり、Netscape Navigator も4.0から4.7にアップグレードし、やっとRealPlayer8をマック専門誌付録のCD-ROMからインストールすることができた。

 というのも、ミステリ専門出版社の Crippen & Landru, Publishers で作家の声を聞きたいからだ。クリッペン&ランドルー(C&L)は主にミステリ短篇集を出版している。『ジョン・ディクスン・カー<奇蹟を解く男>』(国書刊行会)を著わしたダグ・グリーンが編集を、妻のサンディーが経理を担当している。クリッペンとランドルーとはグリーン夫妻のニックネームではなく、19世紀の有名な殺人犯で二人とも処刑された。

 C&Lで短篇集を出している作家には、ビル・プロンジーニ(名無しの探偵もの)、マーシャ・マラー(マコーンもの)、ジェレマイア・ヒーリイ(カディもの)、マイクル・コリンズ(フォーチューンもの)、ダグ・アリン、クラーク・ハワード、ローレンス・ブロック、パトリシア・モイーズなど数多くいる。日本語に翻訳された作品にはピーター・ラヴゼイの『服用量に注意のこと』(ハヤカワ・ミステリ文庫)とエドワード・D・ホックの『サム・ホーソーンの事件簿I』(創元推理文庫)がある。ジェイムズ・ヤッフェの『ママは何でも知っている』(ハヤカワ・ミステリ)は日本のほうがC&Lよりも先に刊行した。

 最近は毎月約1点刊行している。最新刊はジョー・ゴアズのDKAもの短篇集 Stakeout on Page Street(新潮文庫刊の『ダン・カーニー探偵事務所』より1篇多い)と、キャロリン・ホイートの Tales Out of School と、ヒュー・B・カケイヴの Long Live the Dead で、それぞれの作家が短篇集を紹介する声が RealPlayer で聞けるのだ。

 ケイヴという名前は馴染みが薄いかもしれないが、<ブラック・マスク>などのパルプ・マガジンにも寄稿していた大ヴェテラン作家である。2000年で90歳になり、<ブラック・マスク>寄稿作家の中でまだ健在なのはケイヴだけかもしれない。この短篇集は、C&Lが<ブラック・マスク>の全権利所有者キース・ドイッチと提携して出版したものだ。このあとも、ラウール・ホイットフィールドのジョー・ガーもの短篇集を提携刊行する予定だという。

 2001年以後の主な刊行作品を紹介してみよう。ロス・マクドナルドの未発表中篇集(2篇はアーチャーもの、1篇はその前身ジョー・ロジャーズもの)、エラリイ・クイーンのラジオ台本集、クリスチャナ・ブランドのコックリルもの短篇集のほか、マイクル・Z・リューインやウィリアム・L・ディアンドリアなどの作品集が控えている。

 C&Lでは、サイン入りのハードカヴァー限定版(200部から250部)とソフトカヴァー普及版を同時に刊行しているが、限定版にはほとんどいつも小冊子の付録がつくので、コレクターはぜひとも購読予約することをお勧めする。

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 C&Lのリンク・ページでは、 おれが管理する The Gumshoe Site が一番目に挙がっているのだが、そのずっと下に Black Mask Magazine へのリンクがあったので、驚いたね。前出の<ブラック・マスク>権利所有者キース・ドイッチが管理・編集するサイトで、右腕は The Thrilling Detective Web Site の管理者ケヴィン・バートン・スミスである。ドイッチは70年代に<ブラック・マスク>の復刻版を出したことがあるのだが、販売方法が悪くて1号で廃刊になった(おれはわざわざ編集事務所へ行って、数部買い求めたのだ)。そのあと、80年代にマシュー・ブルッコリが<ニュー・ブラック・マスク>という季刊ミステリ誌を創刊したときに、ドイッチが無断誌名使用で訴えたので、ブルッコリは誌名を<ア・マター・オヴ・クライム>に変更することになったのだ。

 そのドイッチがハードボイルドのメーリング・リスト Rara-Avis に突然登場して、<ブラック・マスク>のウェブサイトを立ちあげるという書き込みをしていたのだが、すでに立ちあげていたとは知らなかった。トップページには、Black Mask Magazine -- An American Classic とあり、ほかに<ダイム・ディテクティヴ>や<アドヴェンチャー>などの懐かしいパルプ・マガジンの権利も所有しているという。まだ立ちあげたばかりらしく、今後はかつての古典作品を再録したり、映画会社とも交渉していくらしい。

 Black Mask Store のページでは、前出のヒュー・B・ケイヴが<ブラック・マスク>に発表した作品を集めた Long Live the Dead を売っているのだが、買う場所はアマゾン・コムになっている。おいおい、どうせなら提携しているC&Lから直接購入できるように取り計らうべきじゃないのかい? それに、このサイトで見られるパルプ・マガジンの表紙ポスターを17ドル(プラス郵送料4ドル)で売っているのだが、注文方法を書いていないので、ほしくても注文できないじゃないかよ。

 とにかく、ドイッチはこれからパルプ・リヴァイヴァルの時代が来ると信じているらしい。幸運を祈りたい。

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 ClueLass HomePage の管理者ケイト・デリーが The Deadly Directory 2001 (Deadly Serious Press, 2000; $24.95) を出版した。2000年版を紹介したときにも書いたように、世界のミステリ小説に関わる専門店、イヴェント、ファンクラブ、専門誌、ウェブサイトなどの連絡先を列挙したガイドブックなのだ。もちろん、The Gumshoe Site や本誌の項目も載っている。だが、EQの後身『ジャーロ』の項目は載っていない。今回はおれに協力を求めなかったからだろう。

 じつは、このガイドブックの内容はすべて ClueLass HomePage に載っているのだ。ちなみに、The Gumshoe Site と ClueLass にサーチをかけてみたが、なぜか文字化けした無意味な答えしか出てこなかった。
 やはり、文字化けしない活字版を購入しておいて、よかったよかった。 //


来月号に続く

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