Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#61--レヘインよ、致命的快楽に祝福を与えたまえ



 1月下旬に、《メアリ・ヒギンズ・クラーク・ミステリ・マガジン》が2000年夏季号(たぶん第6号)で廃刊になるというニュースが報じられた。家庭雑誌の《ファミリー・サークル》の特別号として刊行されて、マーシャ・マラーやサラ・パレツキー、ジョゼフ・ハンセン、スチュアート・カミンスキーなどの有名作家が寄稿していた。クラークは編集責任者ではなかったが、編集にかなり関わっていたことがうかがえるので、このニュースはまことに残念である。

 そして、セミプロ雑誌の《マーダラス・インテント》もいつのまにか廃刊になっていた。マーゴ・パワーが編集・発行していた季刊誌で、短篇のほかに、インタヴュー記事も載せていた。寄稿作家のほとんどは無名だが、ジャン・バークやシーモア・シュービンの短篇が載っていた。購読者に直接連絡しないで、編集者個人のウェブサイトで知らせるのは、引き際が悪いね。

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 そういうわけで、オーストラリアの新しいミステリ雑誌を紹介しよう。2001年2月に創刊された Crime Factory という季刊誌で、編集者のデイヴィッド・ハニーボーンよると、1996年以来オーストラリアには犯罪小説雑誌がなく、オーストラリアのミステリ小説や作家を世界に紹介するために、この雑誌を創刊したという。ハニーボーンは書いていないが、1996年まで続いた犯罪小説雑誌とは Mean Streets のことである。これも知らないうちに廃刊になってしまったな。

 無料の創刊号にはタミー・ホーグやエドナ・ブキャナン、エドワード・バンカーとのインタヴュー記事とか、短篇小説やコラムが載っている。とくに、The Thrilling Detective Web の管理者ケヴィン・バートン・スミスが書いた黒人私立探偵に関するコラムが興味深い。これはスミスが January Magazine に寄稿したコラムを基にしている。史上初の私立探偵はキャロル・ジョン・デイリーのレイス・ウィリアムズでもテリー・マックでもなく、ジョン・E・ブルースのサダイプ・オクケヌだというのだ。サダイプは〈インターナショナル探偵社〉の雇われ探偵で、黒人である。1907年に《マッガーツ・リーダー》でデビューしたというが、その雑誌も知らないし、この作家の名前も初耳だな。ウェブ版ではコナル・ライアンの『もうセレナーデは弾けない』(ハヤカワ・ミステリ文庫)に登場する探偵ナイツブリッジも黒人だと言っていたので、おれは疑問を投げかけるメールをスミスに送った。そのため、この活字版にはナイツブリッジの名前がないのである。

 日本からの購読料は1年分(4号分)で48オーストラリア・ドルで、クレジット・カードで支払える。

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 Mystery News は、80年代前半にハリエット&ラリー・ステイが創刊したタブロイド版の隔月刊ミステリ書評誌で、おれも本誌で紹介したことがある。1997年にリン・カチマレックとクリス・オルドリッチという二人の女性ミステリ・ファンが発行・編集を譲り受けて、今日に至っている。書評のほかに載っているインタヴュー記事やコラム、近刊リストがずいぶん役に立っている。

 このウェブ版は今まで、購読の方法を知らせる宣伝サイトで、雑誌の紹介やバックナンバーの内容を載せていただけだったが、オルブリッジの義弟ゲイリー・バビッチがウェブ版を一新して、インタヴュー記事の抜粋版も載せ始めた。マーガレット・コールやスジャータ・マッシー(『雪殺人事件』講談社文庫)、ドン・ハースタッド、ハワード・スウィンドルといった日本では無名の作家を紹介している。新しく更新されたトップ・ページには、2月号に載るウィリアム・ケント・クルーガー(アンソニー新人賞受賞者)のインタヴュー記事を抜粋しているのだが、この2月号はまだ購読者の手元に届いていないのだ。おいおい、ウェブ版に無料で載せる記事は古いやつだけにしてくれよ。

 日本からだと1年分(6号分)の購読料は40ドルで、このウェブサイトからクレジット・カードで支払える。

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 かつて本誌と提携していた《ジ・アームチェア・ディテクティヴ》が廃刊になったあと、Deadly Pleasures がその空白を埋めている。90年代半ばにジョージ・イースターが創刊したこのアンソニー賞受賞の季刊誌は、インタヴュー記事や書評、(イギリス作品も含めた)近刊リストを載せていて、常連書評家たちがバリー賞を選出している。

 2年ぐらい前からこのドメインを取得していたのだが、トップ・ページしかなかった。2001年になって、副編集長のラス・イザベラがウェブ版を全面的に更新して、最新ニュースや書評、活字版の記事の再録を載せ始めた。まだ活字版をウェブのほうに再録し始めたばかりなので、充実するのはこれからだろう。

 日本からの購読料は1年分(4号分)で32ドルだが、残念ながら、クレジット・カードはまだ使えない。

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 この《デッドリー・プレジャーズ》がデニス・レヘインのインタヴュー記事を載せているのだが、Dennis Lehane Books.com から図々しくも盗んできたと断わってある。ということは、デニス・レヘイン(『穢れしものに祝福を』角川文庫)のウェブサイトがあるというわけだ。

 Shockwave を使ったトップ・ページでは、レヘインの顔のあとに、スティーヴン・キングやエルモア・レナード、マイクル・コナリーなどの推薦文が次々に現われる演出には感激すらしてしまう。レヘインの2001年の新刊 Mystic River はケンジー&ジェナーロものではなく、単発もの(スタンドアローンと呼ぶ)である。1月に発売されて、レヘインの作品では初めてベストセラーになった。インタヴュー記事ではたいして目新しい情報を述べていないが、次作がシリーズものか単発ものかわからない、とレヘインは答えている。

 おいおい、ちょっと待ってくれよ。インタヴュー記事の前の作家紹介では、ただ今、脚本と小説を執筆中と書いてあるじゃないかよ! //


来月号に続く

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