Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#62 -- 最悪の事態はMGMの 獅子にくわれること?



 コンピューターをPowerMacG4Cubeに変えてから、ケーブルTVでインターネットにアクセスすることにしたら、これが快適なんだよね。写真の多いページを訪ねたり、映画の予告編を観ることもできる。おれのコンピューターでは、映画の予告編は RealPlayer よりも QuickMovie で観るほうが快適だった。

 いろいろな予告編を観たが、このコラムにはミステリ映画のことしか書けないので、ちょうど予告編ができあがった What's The Worst That Could Happen? のことを書いてみよう。そう、ドナルド・E・ウェストレイクの『最高の悪運』(ミステリアス・プレス文庫)の映画版である。2001年の4月にアメリカで公開される予定だったのが、6月に延期された。

 ドートマンダー(映画ではケヴィン・キャファリー)を演じるのは、アメリカでエディー.マーフィーより人気があるという黒人俳優のマーティン・ローレンス(『ビッグ・ママズ・ハウス』)である。指輪を盗んだマックス・フェアバンクス役はダニー・デヴィート。そのほかの俳優はほとんど無名である。監督はサム・ワイスマン。脚色はマシュー・チャップマンとバリー・ファナーロ。

 トップページには《ナショナル・エンクワイアラー》のようなタブロイド新聞の形式で、『億万長者の慈善家、破産宣告』とか『泥棒、盗難に遭ったと主張』という見出しが並ぶ。デヴィートの写真の上にポインターを置くと、デヴィートが逮捕されたときの顔写真に変わる。そして、デヴィートが上院委員会で証言している写真をクリックすると、予告編が観られる。デヴィートが四文字言葉を交えながら証言している一場面で、本当の予告編とは呼べないか。ローレンスの写真をクリックすると、指輪取りのゲームができる。スクリーンの真ん中に置かれた指輪に集まってくる出演者たちをクリックして消していくというもので、昔のインヴェーダー・ゲームに似ているね。

 これからキャストやスタッフのインタヴューがテクストか映像でアップロードされるらしいから、また訪れてみよう。

          *

 サラ・パレツキーのもう一つの公式サイト Sara Paretsky's home page at PreviewPort ができた。とくに目新しい情報はないが、作品リストにエッセイの項があり、ダシール・ハメットの1999年刊フォリオ・ソサエティー版『マルタの鷹』に寄せた序文も挙がっている。これは《ガーディアン紙》2000年5月6日号に再録されているから、パレツキーかハメットに興味がある方は The Long Shadow of the Falcon を読んでおこうね。

 この PreviewPort に登録しているもう一人のミステリ作家は、ジョン・ダニング(『死の蔵書』ハヤカワ・ミステリ文庫)であり、2001年刊の Two O'Clock, Eastern Wartime を宣伝している。ダニングが古書店を経営していたことは知っていたが、ガラス職人や馬の調教師、政治家の報道官、ジャーナリズム科教授、ラジオ番組のホストなどの経験があるとは知らなかったなあ。それに、彼の古書店 The Old Algonquin Bookstore は今でもインターネットで商売をしているらしい。

          *

 PWA、アメリカ私立探偵作家クラブの会報にジェイムズ・リーズナーとL・J・ウォッシュバーンがお互いを紹介している。二人は夫婦なのだが、彼らのウェブサイト James & Livia Reasoner のアドレスが書いてあったので、訪問した。

 ジェイムズ・リーズナーは1953年のテキサス州フォート・ワース生まれ。70年代から80年代まで《マイク・シェイン・ミステリ・マガジン》に「ブレット・ハリデイ」というハウスネームでシェインもの中篇を毎月のように書いていた。そのあいだにも本名で私立探偵小説も書いていたのだ。1980年に私立探偵長篇小説 Texas Wind をマナー・ブックスから発表した途端、版元がつぶれてしまったので、このペーパーバックはコレクターズ・アイテムになっている。

 そのほか、本名のほか、デイナ・フラー・ロスとか、ジェイク・フォスター、ハンク・ミッチャム、ジャスティン・ラッド、テレンス・ダンカン、マシュー・S・ハート、ジム・オースティン、アダム・ラトレッジなどのペンネームで、ウェスタン小説や南北戦争サガ、第二次世界大戦サガを書いている。

 日本で紹介されている短篇は、Texas Wind にも登場した探偵コーディーもの「決死のサヴァイヴァル」(『探偵たちの誇り』ハヤカワ・ミステリ文庫)と、リヴィアとの共作「第二の天性」(『inハリウッド猫の事件簿』二見文庫)だけだろう。後者には、リヴィアのシリーズ探偵ルーカス・ハラムとその娘エリザベスが登場する。

 リヴィアとは「ブレット・ハリデイ」名義でシェインものの中篇を書いたこともあるし、J・L・リーズナー名義で歴史小説や開拓小説を書いたこともある。

 リヴィア・ジェイン・ウォッシュバーンは1957年のテキサス州レイク・ワ−ス生まれ。スタントマン探偵ルーカス・ハラムの登場する短篇「ハラム」(『探偵は眠らない(上)』ハヤカワ・ミステリ文庫)の作家紹介を書くために、15年前に手紙を書いたことがある(あのときは電子メールというものがなかったからね)。そのほか、ハラムもの短篇「ハリウッドの無法者」(『探偵たちの誇り』収録)と「ラジオ・ブラフ」(EQ99年7月号)が紹介されている。

 1987年刊のハラムもの長篇第1作 Wild Night でシェイマス賞を受賞したあと、ハラムもの長篇をあと2作発表し、ウェスタン小説も著わした。そして、リヴィア・ジェイムズやリヴィア・リーズナー、エリザベス・ハラム名義でロマンス小説も書いている。そう、探偵ルーカス・ハラムの娘の名前をペンネームにしたのだ。2000年には、夫婦合作で Tie a Black Ribbon という私立探偵小説を書いたが、それに登場する女性探偵スキーター・バーロウは夜にバーの用心棒をしていて、昼間は探偵社で働いている。この探偵社の経営者が、なんと、エリザベス・ハラムなのだ。

 さて、作家紹介でかなりのスペースを割いてしまったが、このサイトの欠点は写真がピンボケだということだ。  //


来月号に続く

日本語版ホームページに戻る

国際版ホームページに戻る