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サイバーガムシュー


#66 -- レナードとモズリイとデュボイスの別サイト



 人気作家になると、版元が立ちあげてくれるウェブサイトもあるし、ファンが立ちあげてくれる非公式ファンサイトもある。そして、作家自身が企画する公式サイトもある。それで、以前にこのコラムで紹介したウェブサイトとはまた別のウェブサイトを持つ作家を捜してみた。

 Elmore Leonard.com では、タイプライターの音やエルモア・レナード自身の声が聞こえたり、記念写真が次々に現われたりして、楽しくなっている。

 レナードの生涯を13章に分けて、紹介している。エルモア・ジョン・レナード・ジュニアは1925年にニューオーリンズで生まれた。父親はジェネラル・モーターズの特約店開発に携わっていて、家族はオクラホマ・シティー、ダラス、メンフィスに移った。1934年にデトロイトに移り、レナードはスポーツにも興味を持つようになった。高校時代、フィリーズにエミール・“ダッチ”・レナードというピッチャーがいたので、今もダッチというニックネームがついている。

 大学卒業後、デトロイトのキャンベルイーワルド広告会社で働くようになり、シヴォレーの広告を書いた。同時に、ウェスタン小説も書き始めた。1967年にポール・ニューマン主演の『太陽の中の対決』がヒット作となり、続けて3作の映画の原作を書いた。70年代初頭にジョージ・V・ヒギンズの『エディ・コイルの友人たち』(ハヤカワNV文庫)を読んでから、初めての犯罪小説『五万二千ドルの罠』(ハヤカワ・ミステリ文庫)を発表した。

 レナードの関わった映画についた注釈がなかなか興味深い。69年公開の『悪女のたわむれ』が今のところレナード原作の最低の映画で、映画が始まって20分後にレナードは映画館を出たという。70年公開の『暗黒街の特使』(原作は『ムーンシャイン・ウォー』(扶桑社ミステリー)はレナードにとっては初めての脚本で、プロデューサーや監督が脚本をどんどん変えるのを現場で見ていると、「自分の台詞が台無しにされるのはどんな気持ちかね?」と主演のパトリック・マッグーハンが尋ねたという。

 85年刊の『グリッツ』(文春文庫)はもともとシドニー・ポワティエが『夜の大捜査線』の続編として書いてくれと依頼したものだったという。92年刊の Maximum Bob は初めにドナルド・E・ウェストレイクが4時間のミニシリーズ用の脚本を書いたのだが、その脚本は採用されずに、別の脚本をもとに6本のエピソードとして98年夏にケーブルTVで放映された。

 しかし、『五万二千ドルの罠』がロイ・シャイダー主演の『デス・ポイント/非情の罠』として映画化されたことは書いてあるが、その2年前にロバート・ミッチャム主演の『ジェノサイド・ストーム』になったことは書いていない。

 文字が小さくて読みにくいが、視覚的にも聴覚的にも楽しいサイトである。

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 URLに と打ち込むと、ウォルター・モズリイの現在の版元であるタイム・ワーナー社の宣伝サイト に自動的に飛ぶ。以前イージー・ローリンズ(『イエロードッグ・ブルース』早川書房)を刊行していたW・W・ノートン社から、モズリイの版元は1998年にタイム・ワーナー傘下のリトル・ブラウン社に移ったのだ。

 1998年にミステリではなく、初めてのSF長篇 Blue Light を発表した。そのあと、99年に前科者ソクラティーズ・フォートロウもの第2短篇集 Walkin' the Dog を、2001年6月には新しいシリーズ第1作 Fearless Jones を発表した。そして、2001年11月にはSF短篇集 Futureland を出す予定である。

 さて、この新しいシリーズは50年代のLAを舞台にしていて、古本屋のパリス・ミントンとその親友フィアレス・ジョーンズが登場する。イージーとマウスの関係とよく似ているのだが、二人とも素人探偵である。モズリイ自身の紹介文でも書いてはいないのだが、じつは1995年に Fearless というタイトルの短篇があり、「美しき歌声」(ヴィデオ『犯罪指令』収録)というタイトルでTVドラマ化されているのである。

 かつてノートン社がハードカヴァーで出版していた作品をサイモン&シュスター傘下のポケット・ブックスがペイパーバックで再刊しているのだが、サイモン&シュスターから買うようにと、このサイトはちゃんとライヴァル会社の宣伝サイトにリンクを張っているのだ。これは極めて珍しいことである。

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 人物描写とアクション場面で読ませる短篇作家は数少ないのだが、現在のところ注目しているのはクラーク・ハワードとダグ・アリンとブレンダン・デュボイス(「ネットメール」『ミステリマガジン』2000年3月号→『アメリカミステリ傑作先2001』DHC)である。

 以前にデュボイスが書いた近過去小説 Resurrection Day の宣伝サイトの紹介をしたが、今度はデュボイス自身の公式サイト The Official Website of Mystery/Suspense Author Brendan DuBois を見つけた。

 2001年6月の近況ページを見ると、近未来小説 Six Days を4月に刊行したことが書いてある。アメリカでクーデターが起こるという内容で、1934年にフランクリン・ローズヴェルト大統領の時代にクーデター計画があったので、これから現実に起こらないとは限らない。しかし、この作品は今のところイギリスでしか出版されていないのである。

 それに、元国防相研究員ルイス・コールもの4作目 Killer Waves が2002年に刊行されるらしい。現在はサスペンス小説 Betrayed を執筆中で、そのあとにコールもの Buried Dreams を書くという。

 この公式サイトで一番嬉しいのは、デュボイスが短篇作品リストを作成してくれていることだ。彼の初めて売れた短篇は〈エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン〉(EQMM)の1986年2月号に載った Dark Corridor である。EQMMのほかに、〈ヒッチコック・マガジン〉や〈プレイボーイ〉にも発表していることは知っているが、〈ボストン・ヘラルド・サンデイ・マガジン〉にも載せたことがあるなんてわかるはずがないよね。ほかにも、見逃している短篇があるけど、今度刊行される短篇集に収録してくれれば嬉しいんだけどなあ。 //


来月号に続く

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