Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#68 -- マクベインとゴーマンのサイトがついに公開



 2001年9月11日のテロリズムのせいで、出版界にも影響が出た。毎年9月下旬に催されている New York Is Book Country がNY市警の要請で中止になった。この書籍祭りには、アメリカ探偵作家クラブや《ミステリアス・ブックショップ》などがブースを出す予定だった。9月に新刊を出した作家たちのサイン・ツアーも突然、中止になったり、延期されたりした。

 ニューヨークやワシントンに住むミステリ作家の安否を心配する人のために、無事だという返事をくれた作家たちのリストが Mystery Community Check-In で見られる。リー・チャイルド、ローレンス・ブロック、リンダ・フェアスタイン、パーネル・ホール、ウォルター・モズリイ、S・J・ローザン(キューバに休暇中)、ローラ・リップマンなどは無事だった。

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 エド・マクベインのサイン・ツアーも途中でキャンセルになった。マクベインの公式ウェブサイト Ed McBain は前回に紹介したのだが、この1カ月で見違えるほど充実したので、もう一度紹介してみよう。

 Criminals at Large(うろついている犯罪者たち)という著作チェックリストのページでは、ジョン・アボット名義で上梓した『みどりの刺青』(福武書店)が自作であると認めている。このリストをながめていると、『カリブの監視』(早川書房)とか、ハンター名義の古い未訳作品を読んだときのことを懐かしく思い出した。絶版になっていない作品の粗筋と第1章が読める。でも、Fifty from the Fifties という短篇集を出すことは明記していないな。

 Rap Sheet(前科記録)という自己紹介のページでは、誕生日や身長、体重などを明記してある。セックスの欄は「ときおり」となっていて、傷跡の欄は「数え切れないほど(大部分は批評家からのもの)」とある。そのほか、現在の奥さんドラギカとの仲睦まじい写真をくどいほど見せている。でも、ハンターの幼年時代や少年時代の写真を見るのは初めてだなあ。

 McBainiac Gang というファンクラブにはいるための入会書があるのだが、生まれた年とか学歴などの個人的な情報を書く欄もあるので、入会はやめることにした。でも、本当のことを書く必要はないんだよね。  Modus Operandi(手口)という近況情報ページによると、『サディーが死んだ時』(ハヤカワ・ミステリ文庫)のTV脚本を書き、The Kid というオリジナル映画脚本も書き終え、エヴァン・ハンター名義の普通小説 The Moment She Was Gone を執筆中で、マクベイン名義の87分署もの Fat Ollie's Book を書き始めたという。

 まだ工事中のページもあるのだが、1カ月前の準備サイトに比べたら、画像も多いし、Java Script をうまく活用しているし、ずっとよくなっている。

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 ミステリ小説の業界誌である《ミステリ・シーン》を読んでいたら、発行人兼編集責任者のエド・ゴーマンが8月26日にウェブサイトを設立すると書いてあった。しかし、その日になっても、まだ設立されていなくて、「9月2日に設立されます」と書き直されていた。そして、9月7日になって、やっと The Official Ed Gorman Homepage が開設した。これまでは、いろいろなサイトの一部だったが、やっと独立したわけだ。じつのところ、《ミステリ・シーン》のウェブサイトも兼ねているのだ。

 略歴ページによると、ゴーマンは中西部の人間で、ミネアポリスやシカゴ、デモインにも住んだことがある。今はアイオワ州シーダー・ラピッズに在住。20代のときはいろいろな広告会社で働き、そのあと数人の政治家のスピーチ・ライターを務めたこともある。彼の多作多才ぶりには感服するが、45作以上の長篇を発表している。彼がミステリのほか、ホラーやウェスタンを執筆していることは知っていたが、SFまで書いていることは知らなかった(と言っても、時代設定が未来のミステリである)。

 近況ニュースのページによると、サム・マッケインものの新作 Save the Last Dance for Me を書き終え、ウェスタン・ミステリ Ghost Town と短篇集 Such a Good Girl を発表し、今度はウェスタン冒険小説 Vendetta を書くという。

 Mystery Scene の宣伝ページには、活字版第72号からの記事がいくつか再録されている。ディック・ロクティがロバート・ミッチャムのことを書いた記事や、ジョーン・ヘスが自分のマゴティーもの新作を紹介した記事、ゴーマンが最近の推薦作品を挙げた記事が再録されているのだが、おれは活字版を購読しているから、ネット版のほうで再読していない。とにかく、《ミステリ・シーン》のほうもゴーマンから独立すべきだろう。

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 出版業界誌である《パブリッシャーズ・ウィークリー》が今年の秋もミステリ特集記事を掲載してくれた。編集部による Not the Usual Suspects では、注目株のミステリ作家を10人紹介している。

 ブライアン・ヘイグ(『極秘制裁』新潮文庫)、ジョージ・P・ペレケーノス(『曇りなき正義』ハヤカワ・ミステリ文庫)、ロバート・ウィルスン(『リスボンの小さな死』ハヤカワ・ミステリ文庫)、ジョン・コノリー、ピーター・ロビンスン(『夢の棘』創元推理文庫)、C・J・ボックス、アンディー・ストラーカ、ヴァル・マクダーミド(『シャドウ・キラー』集英社文庫)、グレッグ・ルッカ(『奪回者』講談社文庫)、スコット・フィリップス(『氷の収穫』ハヤカワ・ミステリ文庫)の10人である。

 この中で新人はボックス(主人公は狩猟区管理者ジョー・ピケット)とストラーカ(主人公は鷹匠でもある私立探偵フランク・パヴリチェック)の2人。それぞれの作家の次作のタイトルも書いてあるから、ミステリ担当編集者や評論家先生たちもぜひとも読むべし。

  最近の《パブリッシャーズ・ウィークリー》ウェブ版では、記事を読むのに無料登録をしなければならないが、いったん登録したら、活字版の内容のほとんどが読める。ただし、今のところ、近刊の匿名書評記事は読めない。 //


来月号に続く

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