Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#72-- さらば古き愛しきミステリアスなサイト



 2001年の暮れに、The Mysterious Home Page(MHP)の管理者ヤン・B・ステフェンセンがMHPの権利を売りたいといくつかのミステリ関係のニュースグループの掲示板に書き込みをしていた。ステフェンセンはデンマークの大学教授で、1994年からこのサイトを運営していた。

 おれが1995年に初めてインターネットにアクセスしたときに、真っ先に訪問したのがこのサイトだったし、1996年1月に自分のウェブサイトを立ちあげたときに、真っ先に登録したのもこのサイトだった。英語の読めるミステリ読者や作家でこのサイトに訪問しなかった人間は、たぶんいないだろう。ステフェンセン先生もウェブサイトの運営に疲れたのだろうか? それにしても、他人のサイトを買う人間なんかいないだろうと思っていたら、いたんだね。

 ClueLass HomePage のケイト・デリーがMHPの名前とファイルを買ったのだ。それで、2002年1月1日から The Mysterious Home Page はClueLass の一部になり、URLも(http://www.cluelass.com/MystHome/index.html) に変わった。

 新生MHPのキャッチ・フレーズは、Just the Links, Ma'am(リンクだけですよ、奥さん)というもので、『ドラグネット』のフライディー刑事が言う Just the facts, Ma'am(事実だけ話してください、奥さん)のモジリである。実際のところ、ミステリ一般(The Gumshoe Siteはここに含まれる)、イヴェント、組織、賞、書店、出版社、雑誌、電子雑誌、メーリングリストとニュースグループ、書評、作家の公式ページ、ファン・サイト、映画などのミステリ関連サイトがABC順に、コメントや説明もなく列挙されている。本当にリンクだけなのだ。同じカテゴリーなら、豪華なサイトも貧弱なサイトも、分け隔たりがない。悪く言えば、味も素っ気もないということになるだろうか。とにかく、訪問者は一つずつリンク先に飛んで、そこの有益性を自分で確かめなければならない。

 これだけたくさんの作家サイトがあるのに、おれが本コラムで紹介しないのには理由がある。まず、日本では紹介されていない作家(そのほとんどは新人)の公式宣伝サイトは、たとえ充実していても、日本語で紹介する意味がほとんどない。たとえ日本で紹介されている作家の公式サイトでも、貧弱すぎると、けなす文句も思いつかない。それに、有名作家の公式サイト、および非公式のファン・サイトでも、おれが不勉強で、その作家の作品をまったく読んでいなければ、公平な評価ができない。

         *

 ついでに、Cluelass の目玉ページを紹介しよう。近刊紹介ページや年度別刊行作品リスト・ページがあるので、ダウンロードしておけば、資料としては役に立つ。BloodStained BookShelf は毎月上旬に更新されるので、毎月訪問することをお勧めする。とくに、作品がシリーズものか単発ものか明記してあるところも便利だ。

 もう一つ、近刊を調べるウェブサイトがある。Overbooked: Mystery Fiction は、New Books - Forthcoming Books のページをしょっちゅう更新している。前出の BloodStained BookShelf には載っていない作品もあるので、ここもチェックしておくことをお勧めする。ヴァージニア州チェスター郡の公立図書館員アン・チェンバーズ・サイスが管理していて、登録しておくと、更新したときに電子メールで知らせてくれる。

 ちなみに、ここでも年度別のミステリ作品をハードカヴァーとペイパーバックに分けて列挙しているし、新刊も紹介している。

         *

 エリック・ガルシアの『さらば、愛しき鉤爪』(ヴィレッジブックス)のジャケットに明記してあるガルシアのウェブサイト (http://www.anonymousrex.com) にアクセスしてみて、驚いたのはおれだけではないだろう。なんと、ポルノのサイトではないか! anonymous sex(知らない相手とのセックス)と「ミスタイプ」したのではないかと思って、何度もスペリングを確かめたが、間違いではない。しかし、ガルシアの新しいウェブサイト Casual Rex を訪問して、そのあたりの経緯が判明した。

 恐竜探偵ヴィンセント・ルビオもの1作目『さらば、愛しき鉤爪』がアメリカで刊行された1999年には、実際にそのウェブ・アドレスはガルシアに所有権があった。しかし、2001年の6月にガルシアがトロントに行って、TVシリーズ制作の準備をしていたために、登録の更新を怠った。そのときに、ポルノ屋がガルシアのサイトをサイバースクワット(不法占拠)したのだ。それで、ガルシアは新しいウェブ・アドレスを登録したというわけだ。

 このサイトでは、ルビオもの2作目の宣伝をしている。ストーリーは1作目の前日談であり、1作目で死ぬ相棒アーニーも登場する。二人で恐竜社会では珍重されている人工ペニスを捜すという話なのだ。さて、作者のガルシアがコーネル大学や南カリフォーニア大学で映画学や小説創作を専攻したことは知られいるが、今はロスアンジェルスで妻サブリナと娘ベイリー、ダックスフント犬のオリヴァーと一緒に住んでいる。

 インタヴュー・ページによると、『さらば〜』のTV版は2002年1月に放映されると書いてあるが、Science Fiction Channel のウェブサイトを訪問しても、放映予定のことは書いていない。ガルシアの好きな現役ミステリ作家はリチャード・スタークやロバート・クレイス、好きなSF作家はフィリップ・ディック、レイ・ブラッドベリ、アイザック・アシモフだという。

 1作目のアイディアは、恐竜絶滅の原因について多くの科学者がいろいろな説を唱えているので、自分でも自分の説を唱えてやろうと思ったときに浮かんだらしい。つまり、恐竜は絶滅していないという独創的な説だ。2作目のオーディオ版はトム・ハンクスの弟ジム・ハンクスが朗読し、ガルシアが作詞作曲した唄が2曲はいっている。

 そして、2002年には3作目 Hot and Sweaty Rex が刊行される予定だ。もちろん、hot and sweaty sex(濃厚な汗だくのセックス)のモジリである。 //


来月号に続く

日本語版ホームページに戻る

国際版ホームページに戻る