Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#74 -- エルヴィスを撃ったらパパラッチをバラせ!



〈ミステリ・ニューズ〉2002年月号のカヴァー・インタヴュー記事では、共同編集長のリン・カチマレックがネヴァダ・バー(『極上の死』小学館文庫)を電話でインタヴューしている。オンライン版 ではサワリしか紹介していないので、活字版のほうも少し紹介してみよう。バーはキッチン・テーブルでビック・ポールペンを使って、執筆するという。どの国立公園を使い、誰がなぜ殺されるか初めにわかっているが、誰が犯人なのかは自分でもわからないそうだ。

 というわけで、2001年6月に設立されたという公式ウェブサイト Nevada Barr Home Page を訪れてみた。略歴ページによると、1952年にネヴァダ州イェリントンに生まれ、シエラ・ネヴァダの飛行場で育った。両親ともパイロットで整備士だった。ネヴァダ自身はパイロットにならなかったが、姉モリー(アンナ・ピジョンの姉モリーのモデルだろう)はパイロットになった。カリフォーニア大学で演劇学の修士号を取得して、ニューヨークやミネアポリスで俳優の仕事をした。環境問題に興味を持ち、夏に国立公園で働き始めたのがきっかけになって、パークレンジャーになる。ミシガンのアイル・ロイヤル島や、テキサスのグアダルーペ山脈、コロラドのメサ・ヴェルデ、ミシシッピのナチェス・トレース・パークウェイで働いたあと、今はミシシッピ州クリントンに住んでいる。

 バーの若い頃の写真が載っているのが興味深い。1年半ほどモータン・スタンレー社の社長の管理助手(つまり秘書)だったときは、ちゃんとビジネス・ウーマンらしい服を着ている。現在はアンナ・ピジョンもの10作目を執筆中と書いてあるが、10作目 Hunting Season は2002年2月に刊行されているので、略歴ページを更新すべきだね。

 それよりも、ファンサイト Nevada Barr Resource Page のほうが情報豊かである。というよりも、多くの関連ページへリンクを張ってあるのだ。そこからリンクしてある〈ナショナル・パークス・マガジン〉1999年五月号に掲載されたバーのエッセイ We Can Go Home Again を読むと、国立公園はわれわれの精神的故郷であるとか、国立公園はわれわれの歴史の故郷であるとバーは主張し、国立公園の重要性を強調している。

 このファンサイトで思い出したが、2001年のリレー小説 Naked Came the Phoenix では、バーが第1章を書いている。そのあと、ナンシー・ピカードやフェイ・ケラーマン、アン・ペリー、ヴァル・マクダーミドたちが書きつなぎ、ローリー・キングがなんとかヘルス・スパ殺人事件を解決させるのだ。

 バーの長編はシリーズ第4作もすでに翻訳はされているので、版元が早く刊行してくれるように願う。

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 50年代のペイパーバックに興味を持っている人は、ノース・カロライナ大学ウィルミントン校の地質学者マイクル・S・スミスが設立した The ACE Doubles (and Singles): Image Libray を訪問してほしい。

 エース・ブックスはミステリのほか、ウェスタンやSFのダブル・ペイパーバックを刊行していた。2作の長篇(ほとんどが2人の作家による)を背中合わせにくっつけたもので、ちょうどエド・マクベインとエヴァン・ハンターの早川書房版『キャンディーランド』をペイパーバックにしたような感じだ。

 ここでは、スミスの収集したペイパーバックのジャケットのイメージを公開しているのだ。スミスのコレクション・リストを見ると、いろいろなペンネームがわかってくる。ウィリアム・リー(本名ウィリアム・バロウズ)、ウォルター・エリクスン(またの名をE・V・カニンハム、本名ハワード・ファースト)、ロニー・スコット(本名ウィリアム・キャンベル・ゴールト)など、懐かしい名前が並ぶね。エース・ブックスの普通のペイパーバックには、コーネル・ウールリッチのほか、非行少年ものを書いていた頃のハーラン・エリスンの作品も載っているぞ。

 おれのほうは、これ以上本を収集するスペースがないので、他人のコレクションのイメージを見て、満足しなければならないのである。

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 ロバート・エヴァーツという作家を覚えているかな? 1996年刊の『シューティング・エルヴィス』と97年刊の『悪女の微笑』(いずれもハヤカワ文庫)が日本で紹介されている。じつは、『シューティング・エルヴィス』のヒロインであるニーナ・ゼロが5年後に仮出所し、2002年1月刊の Killing Paparazzi に再登場するのだ。

 それで、エヴァーツは『シューティング・エルヴィス』刊行時にも宣伝サイトを立ちあげたが、今回も公式ウェブサイト Nina Zero を立ちあげた。Killing Paparazzi で、ニーナはガイブリエル・バーンズというイギリス人カメラマンと結婚する。バーンズが永住権を取得するために、ニーナは二千ドルもらって、偽装結婚するのだが、ラス・ヴェガスでバーンズは何者かに刺殺される。そして、容疑者にされたニーナが犯人を捜すというお話だ。どうも誰かがスキャンダル・カメラマンたちを殺しているらしい。

 エヴァーツはカリフォーニア大学サンタ・クルス校を卒業してから、UCLA映画科を中退した。今はチェコのプラハに住んで、彼が呼ぶところの「ポップ・ノワール」を執筆している。しかし、おれはエヴァーツの名前をその前から知っていた。エヴァーツはハリウッドで脚本を書いているときに、LAの私立探偵ポール・マーストンものを2作発表しているのである。

 この Killing Paparazzi の書評を集めたページが A New Pop Noir Thriller にあるのだが、〈ロス・アンジェルス・タイムズ〉や〈ワシントン・ポスト〉など、いろいろな書評の再録許可がよくも取れたものだ。当然のことながら、書評を読んでいると、作品のだいたいの状況設定はわかるのだが、やっぱり読まないと、「ポップ・ノワール」の雰囲気は味わえないか。 //


来月号に続く

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