Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#76----暗闇で一発撃ってから電脳空間で何発も撃て



 イギリスのミステリ雑誌《ショッツ》の編集長マイク・ストッターからの電子メールによると、SHOTS -- The Crime & Mystery Magazine のインターネット版が更新されたらしいので、訪問してみた。《ショッツ》の活字版は創刊号から購読していたので、現在のおれの購読状況はどうなのか尋ねてみると、《ショッツ》はもうネット版しかないという。つまり、活字版は第10号で終刊したわけだ。活字版の購読者なのに、そんなことは初めて聞いたぞ。

《ショッツ》は1994年にノッティンガムで開かれた《ショット・オン・ザ・ページ》という大会で配られた刊行物《ア・ショット・イン・ザ・ダーク》(ASITD)から始まり、数年前から《ショッツ》と誌名を改め、年3回の刊行になった。イギリス作家だけではなくアメリカ作家とのインタヴュー記事や、作家プロファイル、書評、出版情報も掲載されているので、軽視はできない。

《ショッツ》がネット版になって、第11号と第12号と第13号の3号がこのサイトに公開されている。最新号の第13号は2002年5月に「更新」され、4月16日に亡くなった俳優ロバート・ユーリック(探偵スペンサー)に捧げられている。マイクル・コナリーとリー・チャイルドとジュリア・ウォリス・マーティンのインタヴュー記事のほか、レジナルド・ヒルによるダルジールについてのエッセイ、レスリー・グラスのプロファイル、書評などを満載している。

 コナリー(『堕天使は地獄へ飛ぶ』扶桑社)は2002年刊の City of Bones のあと、ボッシュもの2作を一人称記述で執筆するそうだ。2002年10月刊の単発もの Chasing the Dime の主人公の名前はピアースというのだが、ボッシュものを書く前の未刊の小説に登場した私立探偵の名前であり、処女長篇『ナイトホークス』(扶桑社ミステリー)の第1稿での主人公の名前だったらしい。

 ヒル(『武器と女たち』ハヤカワ・ミステリ)によるダルジールについてのエッセイ Desconstructing Dalziel は、どちらかと言うと、ダルジールの父親アレグザンダーの生い立ちを説明している。

 今までは購読料を払わなければ読めなかったミステリ情報が、今では無料で読めるのだ。欠点はサイト内のリンク・アドレスが不完全であるため、しょっちゅう「エラー」が出てくること。アドレスのスペースのところに「%20」と書き込めば、うまくリンクする。

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 カナダ推理作家協会(CWC)は毎年優秀作品にアーサー・エリス賞を与えているのだが、今年はなかなか候補作リストを送ってこないので、管理者のシェリル・チェスマンに連絡をしてみた。すると、5月8日にアーサー賞候補作が選出されると同時に、ウェブサイト Crime Writers of Canada も一新するという電子メールが届いた。8日にCWCのウェブサイトを訪問すると、トップページにアーサー賞の候補作リストが掲載してあった。

 CWCの目的はカナダの犯罪小説を宣伝し、カナダ作家の存在を世間に知らしめることである。会員には作家のほか、編集者やファンでもなれるのだが、アーサー賞の対象作家は、カナダ在住の作家か、在外カナダ人作家に限る。

 CWCの刊行物は季刊ニューズレターの Fingerprints と、会員の活動情報をまとめた名簿 In Cold Blood があり、このサイトからワード形式の注文書をダウンロードでき、小切手で注文する。インターネットにアクセスできる会員には月2回のニューズレターがメールで送られるという。

 今回取りあげられた作家はピーター・セラーズだが、死亡した喜劇俳優とは混同しないように。《マイク・シェイン・ミステリ・マガジン》84年8月号に初めて短編を発表した作家であり、EQMM読者賞を受賞したこともあり、CWCのアンソロジー Cold Blood の編纂をしたこともある。それに、一部の会員の略歴を公開してあるのがありがたい。とくに、日本ではほとんど知られていないジェイムズ・パウエルとスコット・マッケイに関する情報が少し得られた。

 一新前のウェブサイトは無駄に重く、ずっと更新していなかった。一新後は軽快にナヴィゲートできる。前はニューズレター Fingerprints をウェブ上で公開していたのだが、今はまだ公開していないのが残念だ。

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 国際ミステリ愛好家クラブ(MRI)という団体のことを知る人は少ないが、そこが主催しているマキャヴィティー賞を知る読者は多いだろう。MRIの創立者であり、季刊の会報《ミステリ・リーダーズ・ジャーナル》(MRJ)の編集者であるジャネット・ルドルフがメールで、Mystery Readers International のウェブサイトを一新したことを伝えてきた。じつはジャネットとは3月下旬にオレゴン州ポートランドで催された《レフト・コースト・クライム》(LCC)の会場で初めて会ったのだ。

 とにかく、季刊誌MRJの特徴は毎号テーマを持っていることで、最新号の2002年春季号では「大平洋岸北西部ミステリ」を特集している。アラスカ州、カナダの西海岸、ワシントン州、オレゴン州が大平洋岸北西部に当たる。

 このサイトは一新する前にも一度このコラムで紹介したことがあり、一新したあとも活字版のうちの一部をネット版で紹介している。最新号の場合は、文学系サイト January Magazine のミステリ担当者J・キングストン・ピアースのエッセイ(北西部ミステリ全般の紹介)とデイナ・スタベノウのエッセイ(ケイト・シュガクの生い立ち)が紹介されている。活字版には、ほかにJ・A・ジャンスやジェニー・サイラー、ジョン・ストレイリー、ケイト・ウィルヘルムなど多くの作家がエッセイを寄せている。しかも、無償なのだ!! 

 活字版も読みたければ、このサイトから直接注文できるようになっている。MRIの年会費(季刊誌が4号分)はアメリカ国内で28ドル(それ以外は航空便で40ドル)である。最近は便利になったもので、このサイトからクレジット・カードで購読もできる。

 しかし、マキャヴィティー賞の候補作や受賞作を選出するためには、会費を払っている正会員でなければならないぞ。 //


来月号に続く

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