Notscape: The CyberGumshoe


サイバーガムシュー


#80----さらば愛しき 野郎どもと女たちよ



 探偵ベン・パーキンズもの(『過去からの影』扶桑社ミステリー)のロブ・カントナーが公式ウェブサイトを立ちあげたというので、Rob Kantner: Crime and Suspence Fiction を訪れてみた。

 じつのところ、1994年刊のパーキンズもの長篇第9作 Concrete Hero を発表して以来、少しの短篇しか書いていないので、どうしているのだろうと心配していたのだ。15年ほど前にパーキンズものの短篇「ラット・ライン」が収録されたアメリカ私立探偵作家クラブ傑作選『探偵は眠らない』(ハヤカワ・ミステリ文庫)の作家紹介を書くときに、彼に手紙で問い合わせたことがあったのだ。

 略歴ページから見ていこう。1952年にオハイオ州で生まれた。10代をジョージア州北部で過ごし、1972年にデトロイトに引っ越す。海軍を除隊したあと、イースタン・ミシガン大学を卒業した。英文学専攻だったが、ビジネスマンになり、広告会社で中間管理職に就き、80年代にコンサルティング事業に関わり、95年に自分の小さいコンサルティング会社を創業した。現在はアメリカじゅうを飛びまわっている。《アルフレッド・ヒッチコックス・ミステリ・マガジン》(AHMM)82年9月号に、パーキンズもの短篇第1篇 C Is for Cookie を発表したあと、長篇を9作と中短篇を10篇以上執筆した。2001年にディアナと再婚し、ミシガン州ブランチャードに住んでいる。

 なるほど、この15年でカントナーの生活はずいぶん変わった。ちなみに、彼の品質管理コンサルティング会社の名前は 9000 Solutions Group といい、彼自身も品質管理に関する本を著わしている。

 著作ページでは、作品名が長篇と中短篇の区別なくアルファベット順に挙げてある。長篇の海外版もジャケットの写真つきで載っているのが興味深い。彼がノンシリーズも書いていたり、《マイク・シェイン・ミステリ・マガジン》や《ウーマンズ・ワールド》に発表したりしていたことは知らなかった。

 カントナーが現在執筆中だというサスペンス小説 The Long Way Home の新しい章が数週間ごとにアップロードされるらしいのだが、e-Book ファイルなので開かないのが残念だ。カントナーの作品数が増えることを期待する。

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 ビル・クライダー(『死ぬには遅すぎる』ハヤカワ・ミステリ)のウェブサイトを前にも紹介したが、今度は個人ウェブサイトを開設したというので、Bill Crider's Homemade Homepage を訪問してみた。この前にも書いたように、クライダーの名前は彼がいくつかのファンジンに記事を載せていた30年ほど前から知っている。つまり、クライダーは熱烈なミステリ・ファンから始まり、ミステリ作家になったのだ。

 そのあたりのことは、ファンダムのページに詳しく載っている。60年代にクライダーはアンソニー・バウチャーの書評コラムで《JDMビブリオファイル》というファンジンの存在を知って購読し、自分のほかにもクレイジーなミステリ読者がいることを知った。そのあと、《アームチェア・ディテクティヴ》や《ミステリ・ファンシアー》、《ポイズンド・ペン》、《ノット・ソー・プライヴェット・アイ》というファンジンの存在とほかのクレイジーなファンの存在を知ったのだ。

 略歴ページによると、クライダーはテキサス州マヘイアで生まれ、育った。テキサス大学オースティン校ではハードボイルド探偵小説について博士論文を書いて、博士号を取得したのだ。そして、テキサス州アルヴィン短期大学で英文学部長を務めながら、小説を書き続けた。2002年8月に退職したので、これからは作家業に専念できるという。

 書誌ページが役に立つ。長短篇小説のほぼ完全な著作リストを載せてくれている。ダン・ローズ保安官もの(『処刑のショットガン』ハヤカワ・ミステリ)のほかに、私立探偵トルーマン・スミスもの、大学教授カール・バーンズもの、気象予報官スタンリー・ウォーターズもの(気象予報官ウィラード・スコットと共作)、女性教授サリー・グッドもの、ウェスタンもの、ノンシリーズもの(『鮮血の刻印』新潮文庫)、ホラーもの(ジャック・マクレイン名義)、児童ものも書くという多才な作家である。

 ちなみに、クライダーのメール・アドレス(abc@billcrider.com) のABCの謎が解けた。彼の本名はアレン・ビリー・クライダーなのだ。

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 トマス・ペリー(『蒸発請負人』講談社文庫)の公式ウェブサイト Thomas Perry は版元のランダム・ハウスが管理している。トップページでは、銃声と共に薬莢が中央に現われる。じつは2002年12月に刊行されるノンシリーズの近作 Dead Aim の宣伝サイトである。

 歓迎ページでは、ペリー自身があいさつ文を書いている。ペリーはなるべく公の場に出ることを避けていて、ウェブサイトを開設するなどとは考えてもみなかった。しかし、サイン・ツアーで読者が簡単な質問を投げかけることに気づき、読者とのコミュニケーションを図る便利で簡単な方法として、ウェブサイトを開設したという。

 エドガー賞を受賞した1982年作『逃げる殺し屋』と83年作『メツガーの犬』(いずれも文春文庫)はランダム・ハウスのトレード・ペイパーバック版で久しぶりに再版される。蒸発請負人ジェイン・ホワイトフィールドものは、今のところ5作発表されているが、いずれペリーは第6作を書くつもりだという。

 ランダム・ハウスの宣伝サイトであるので、ほかの版元から出た『殺し屋の息子』(福武書店)と『アイランド』(文春文庫)については何も書いていない。情報が不充分なので、ペリーにはぜひとも版元の影響を受けない自分の公式ウェブサイトを公開してほしいものだ。

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 突然だが、このコラムは今回で終了する。この6年半のあいだに、コンピューターは急激に発達し、インターネットは急速に普及し、情報は手に負えないほど氾濫している。しかし、インターネットの情報は不完全であり、不正確なものも多いので注意すべきである。

 これからは若いネット・サーファーに新鮮な視点でミステリ系ウェブサイトを紹介してもらいたい。 //


来月号には続かないのだ

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