ドイツの自動車雑誌 Auto Motor und Sport(アウト・モトア・ウント・シュポルト)より抜粋

良いチャイルドシートを正しく着けましょう。

 平成12年春より法制化されたチャイルドシートの着用義務について、賛否両論の意見があります。
外科系ではない私の小児科医院でも、急ブレーキや軽い衝突が原因でケガをした子供の手当てをすることがあります。これらの殆どがチャイルドシート(単にシートとも書きます)を着用していれば避けられた外傷で、部位は頭部か顔面が多く、なかには外科や脳外科に紹介して傷跡や後遺症の心配をしなければならない場合もあります。
 シート着用の法制化とは無関係に、幼い子供達を事故から守るためにチャイルドシートは着用すべきと考えます。
正しく着用していればチャイルドシートはある限度以下の衝撃から子供を守れるはずですが、それでも着用中の死亡事故の報道があると「何故?」と首をかしげたくなります。シートを装着しているにもかかわらず起こる死傷事故は、米国でも85%もあると云われる着用ミスが原因のほとんどと思われますが、シートの性能や品質が死傷事故の原因でないかどうかを調べ、数値化したデータは日本では現在のところ公表されていません。日本にあるのは「優」、「良」、「普通」、「推奨せず」の4段階に分けた評価だけです。
 客観的な報道をすることで定評あるドイツの自動車雑誌 Auto Motor und Sport(アウト・モトア・ウント・シュポルト、AMS誌)が衝突試験を自社で行い、ドイツで販売されている多くのチャイルドシートに対して厳しい評価を下した記事を連載しています。中身の濃い記事ですので衝突試験の結果と個々のシートに対する評価を、なるべく原文に忠実に翻訳するよう心掛けてこのページを作りました。日本でも早期にこのようなテストが行われ、その結果を私達が知る事ができることを願っています。
 シートが必要な理由はいまさら言うまでもありませんので省略します。年令・体格によって異なるシートの種類は各国で分類のしかたが異なりますので簡単に説明します。「
チャイルドシートの取り付けかた」は重要で、新しいイソフィックス方式UCSSS方式は非常に確実で取り付け方法で安全性につながりますので重要です。しかし、メインのページは第3章の「チャイルドシートの安全性テスト」です。
なお、
このページを作成するに当たって、予めデータや記事の転載をする了承をAuto Motor und Sport誌から得ています。


-目次-

1. チャイルドシートの種類

2.チャイルドシートの取り付けかた
    -特に着用ミスの少ないイソフィックス方式とUCSSS方式について-

3. チャイルドシートの安全性テスト

4.後評



1. チャイルドシートの種類

 身長や体重に適合したチャイルイドシートを正しく着用しないと、事故の際に子供を守る事は出来ません。下の表は年令や体格(体重)に合ったシートの種類をドイツとアメリカの分類で示します。

年令

ドイツ分類

アメリカ分類

シートの向き

0〜18ヵ月
(体重3〜13Kg)

クラス0、0+

ベビーシート

後向きが主流、
一部が前向き

9ヵ月〜4才
(体重9〜18Kg)

クラス1

チャイルドシート

前向き

3〜7才
(体重15〜25Kg)

クラス2

前向き

6〜12才
(体重15〜36Kg)

クラス3

ジュニア用
ブースターシート

前向き

 ドイツでは4つのクラスに分類されていますが、実際には4種類全部を購入する必要はなく、ベビーシートとチャイルドシートの2種で乳児から体重36Kg,あるいは12才まで対応できます。BMW社の一例で示します

BMW ベビーシート クラス0、0+

 後部座席の3点式ベルトで進行方向に後向きに装着し、衝突時にはバックレスト全体で乳児にかかる衝撃を緩和する。
バックレスト角度は調節可能。サポートフレームから取り外せばベビー・キャリアとしても使用できる。クラス0は0〜12ヵ月(体重3〜10Kg)に、クラス0+は0〜18ヵ月(体重3〜13Kg)に適合する。

BMW チャイルドシート クラス1

シート・クッション、かこみ机(セフテイ・テーブル)、高さ調節可能なバックレスト、支持脚(サポート・フット)で構成。3点式ベルトで後部座席か、エアバックの作動を停止させた助手席に装着する。
9ヵ月〜4才(体重9〜18Kg)に適合。9ヵ月からはクラス0+よりもクラス1の方がより適合する。セフテイ・テーブルを取り外せば、クラス2として使用できる。

BMW チャイルドシート クラス2

シート・クッション、12cmまで高さ調節可能なバックレスト、サポート・フットで構成。
3点式ベルトで後部座席か、エアバックの作動を停止させた助手席に装着する。3〜7才(体重15〜25Kg)に適合する。バックレスト、サポート・フレームを外せばクラス3として使用できる。

BMW ジュニア用シート クラス3

クラス2の座面クッションに内蔵されているフツクを起こして使用する。 体重が規定値をこえても車の3点式ベルトが首にかからなくなるまで(身長150cmていど)着用するほうが良い。
ブースター・シートとも呼ばれる。

 BMWのチャイルドシートの写真と取り扱い説明は、BMWジャパンとEPMコーポレーション(石川県)のご厚意により、転載させていただきました。


チャイルドシートの取りつけかた

 いかに優れたチャイルドシートでもきちんと取り付けないと、その性能を発揮し子供を保護することはできません。以下に注意すべき点を記します。

1.チャイルドシートを装着する車で購入に出かけることが重要です。。
2.通常、メーカーの取り扱い説明書は難解なため購入する店で説明を受け、できるだけ取付けるところを見てもらいます。
3.取り付ける場所は特に安全な後席が望ましいが、サイドバッグや頭部バッグは柔らかい枕ではないことを銘記してください。
4.子供に合わせてシートの調節します。このさい問題があればメーカーが附属品(オプションのクッション、または枕)を用意しているかを問い合わせます。
5.時おり子供たちを車で連れていく両親、親戚、知り合いがシートを取り付けることもありますので、基本的には単純な取り付けを考慮すべきです。取付けに熟知したらその方達に貴方がたの経験を伝えてください。
6.最近になってようやく取りつけが簡単で、ミスのない
イソフィックス方式のシートが各社から発売されるようになりました。次項で説明します。

参考のために: チャイルドシートは幾らしっかりしたものでも、きちんと着用しなければ万一の事故のときに大きな加速度(50Km/hの衝突で30Gの力=体重とシートの合計重量の30倍の重力)がかかります。たとえば、体重15Kgの子供が6Kgのシートに固定されているとすると、約630Kgの重量物がフロントグラスを突き破って飛び出し、シートを着用しないより更に悪い結果をもたらすことになります。



着用ミスを無くするISOFIX(イソフィックス)方式とUCSSS方式のチャイルドシート


チャイルドシートの装着を単純化することにより、装着ミスによる事故を減らそうとする新しいシステムです。

1. 後部座席のお尻の後ろに設置された2個の強固なアンカー(下部アンカー)にチャイルドシート側の2個のコネクターを差し込むだけ。
差し込みは極めて簡単で強固に固定され、取りつけミスはありません。

2. 右図のようなチャイルドシートの取付け方法をISOFIX(イソフィックス方式)と云います。
さらに、シートの機能と相俟って衝突の際のダミーの衝突減速度と負荷値を相応に小さく、均衡がとれたものにしています。

3. これに対応している自動車メーカーは現在のところ下の表の通りで、ここに載っていないメーカーは対応していないか、そのつもりがないかどちらかです(2002年7月現在)。

 BMWイソフィックス
チャイルドシートクラス1〜2


自動車メーカー

ソフィックス方式のシート名
ホンダ、ニッサン、スバル、マツダ、スズキ、ダイムラー・クライスラー、VW、ジャガー ISOFIX-Kindersitz Duo(クラス1、前向き装着 )
(イソフィックス・デュオ)
BMW BMW Baby Seat ISOFIX 0+(クラス0+、後向き装着)
BMW Junior Seat ISOFIX クラス1-2(前向き装着 )
トヨタ、VW、セアト、シュコダ Votex Bobsy G1 ISOFIX-System(クラス1、前向き装着 )
(ボテックス・ボブシィ・G1 ・イソフィックス)
アウディ Huckepack G1 ISOFIX(クラス1、前向き装着 )
(ヒュッヶパックG1 イソフィックス)
シトロエン、プジョー,ニッサン Kiddy ISOFIX-Kindersitz(クラス0+=後向き装着,
クラス1=前向き装着 )(キディ・イソフィックス)
ルノー Easyfix(クラス0+=後向き装着,クラス1=前向き装着 )
Bebe Confort Elios(クラス0=後向き装着)
ボルボ ISOFIX-Reboard-Kindersitz(クラス0、1とも後向き装着)
(イソフィックス・リボード)




イソフィックス方式の問題:

 1980年代後半にスウエーデンからチャイルドシートを強固に、複雑で煩雑なシートベルトによる取り付けなしに車に取り付けるアイデアがやって来た。イソフィックスである。独創的着想で数年以内に世界中に普及するはずであった。
 しかし、実際にはイソフィックスは今日までそれにふさわしい拡がりをしていない。その
原因は国家の、ヨーロッパの立法機関にある。彼らはそれぞれのチャイルドシートと自動車とのタイプ別の試験を要求している。それに伴う浪費は莫大でイソフィックスシートを不要に高価なものにしている。自動車メーカーの支援のないチャイルドシートメーカーはイソフィックスの開発をためらうのは当然である。それ故、汎用的イソフィックスシートはこれまで実現不能であった。
 auto motor und sportは2000年に初めてこのマーケットに馴染みのないルノーのイソフィックスシートと一台の車(VWの)が適合し、しかも従来からのチャイルドシートより優れていることが明らかにした(後述)。また、技術的にはVWのイソフィックスシートをBMWやニッサン、ルノー、あるいはボルボに取り付けることは結合点が以前から共通であるので可能である。イソフィックスという名前はいわれなくInternational Standardisation Organization「 ISO 」の略語ではない。
 無意味な法的状況にもかかわらず、徐々に多くの製造業者がこのシステムに係わるようになった。例えばボルボは2000年3月に右図のような完璧なイソフィックスシートセットを発表した。

右図コメントの説明:
ボルボ社は全ての次期モデルに、小児の成長に対応したイソフィックスシステムを発売する。ベビーシートと後向き取りつけのクラス1チャイルドシートとは同一の支持金具を介して交換可能である。


 



 チャイルドシートの装着を統一して単純化することにより、装着ミスによる事故を減らそうとする新しいシステムが米国で採用されます。
UCSSS ( Universal Child Safety Seat System 、統一チャイルドシートシステム)と呼ばれる方式です。このシステムの導入により、米国で年間50人の生命が救われ、負傷者が3000人減少すると試算されています。

具体的には:

1. イソフィックス方式で2個の下部アンカーにチャイルドシートを固定する。
2. リアウインドーシェルフ(後席後ろの棚)の1個アンカー(上部アンカー)にチャイルドシート上部のテザー・ストラップと呼ばれるつなぎ綱を取付ける。これにより衝突のさい、チャイルドシート上部が前方へ飛び出さないようにする。
3. すなわち、イソフィックス方式とテザー・ストラップとでチャイルドシートを強固に装着する方法をUCSSS と呼びます。
4. 後部座席には少なくとも2組のUCSSSが設置されます。
5. UCSSS 方式のクルマにも、現在の3点式シートベルトで固定するチャイルドシートはそのまま使用できます。



3. チャイルドシートの安全性テスト
(前面衝突試験)

 1992年以来、Auto Motor und Sportは100以上のチャイルドシートの衝突試験を行ってきた。これらはいづれもヨーロッパ安全規準ECE-R44/ 03をクリアーしている商品であったが、大抵は不満足な結果であった。メーカーは安全なチャイルドシートとは何かを理解できたのであろうか?
 ドイツで販売されているチャイルドシートの衝突試験結果のうちクラス0+(0〜18ヵ月、体重3〜13Kg用、すべて後向き装着)10品目を2001年2月に、クラス0+8品目(前向き・後向き装着混合)を2000年2月に、クラス1(9ヵ月〜4才、体重9〜18Kg用)10品目を1998年7月に、クラス2(3〜7才、体重15〜25Kg用)10品目を1999年5月に発表した。これらのうち、かなりの品目は日本でも販売されている。衝突試験の前には全てのチャイルドシートは強固に見えたが、がっかりしたことに合格して
「推奨できる」の称号をつけられるのは38品目のうち13品目だけで、10品目は「推奨できない」商品であった。ただし、年を経るほど「推奨できない」商品が少なくなっているのは喜ばしいことである。


-試験方法-

 auto motor und sportがハイデルベルグ大学法医、交通医学施設の事故研究所の支援のもと、ミュンヘン近郊のGarchingにあるドイツ技術検査協会(TUEV, Technischer Ueberwachungs-Verein)に依頼して行った。

1. フォルクスワーゲン・ゴルフ4型の骨組みだけの粗車台後席にチャイルイドシートを3点式シートベルト、もしくはイソフィックス方式で固定し50km/hで障害物に衝突させた。(右図)

2. チャイルイドシートに装着されたダミー(人形)はクラス0では18カ月児に、クラス1では3才児に、クラス2では6才児に相当するハイブリッド第3世代のバイオ人形であり、衝撃に対する脊柱の反応がそれぞれの年令相当であった。

3. われわれのテストの衝撃強度は、ヨーロッパ衝突安全規準ECE-R44/03の20〜28gよりも高い33gであった。

4. ダミーとチャイルイドシートに起きた衝突の経過を高速カメラで撮影した。

5. ダミーには応力と加速度センサーが装置され、衝突時のデータを記録した。

6. 衝突のさいに測定された頭部傷害度(head injury criterion=HIC)、頭部加速度、首にかかる力、胸部加速度、頭部の前方への突出度、および高速カメラで撮影したダミーの動きを総合して負傷危険性を色分けして低い中程度高いと示した。負傷危険性にはそれぞれの限界値を設定した。

衝突試験限界値  (測定値 :HIC=頭部傷害度, 1g=9.81m/s2、 N=ニュートン)

HIC

頭部加速度

首にかかる力

胸部加速度

頭部突出度

<825

<80 g

<2000 N

<55 g

<55 cm

825〜1800

80〜95 g

2000〜2500 N

55〜66 g

55〜65 cm

>1800

>95 g

>2500 N

>66 g

>65cm

7. これらの結果を下の表にまとめた。左端の青の商品名をクリックするとシートのイラストと特徴、衝突写真のイラスト、個々のシートを評価したページに移行する (リンクする)。


(側面衝突から来られた方に) その2:側面衝突試験へ戻る


ベビーシート・クラス0+の衝突試験(すべて後向き取りつけ):2001年2月7日号

チャイルドシート クラス1 測定値項目下のの値は制限値=許容限度値を示す。これ以下なら負傷危険度は低い。

品目

判定
負傷危険度 測定値 :HIC=頭部傷害度, 1g=9.81m/s2、 N=ニュートン
HIC 頭部加速度 首にかかる力 胸部加速度
全体 < 825 < 80g

< 2000N
< 55g

Bobob Easybob Maxi
ボボブ・イージーボブ・マキシ

推奨 355 48.9 800 50.9

Chicco Synthesis Lux
シッコ・ジンテージス・ルックス

推奨 524 57.7 800 54.4

Maxi-Cosi Citi
マキシコージ・シティ

推奨 348 45.7 700 47.4

Saab Child Seat
サーブ・チャイルドシート

推奨 736 64.2 900 48.0

Bebe Confort Ellios
ベベ・コンフォート・エリオス

条件つき推奨 306 47.8 900 58.4

Concord Baboo
コンコード・バブー

条件つき推奨 694 70.2 900 58.8

Renault Easyfix
ルノー・イージーフィックス

条件つき推奨 602 64.7 800 59.0

Roemer Baby Star
レマー・ベビースター

条件つき推奨 672 67.5 1300 58.4

Storchenmuehle Maximum
シュトルヘンミューレ・マキシマム

条件つき推奨 363 49.2 400 57.3

Osann Carry One
オザン・キャリーワン

推奨できない 352 48.9 1000 45.2


 後ろ向け取り付けのクラス0+チャイルドシート10品目の潜在能力を詳細にしらべた。8個のベビーシート(Babyschale, 乳児用ポータブル・チャイルドシートのこと)と2個の後向き取りつけチャイルドシート(Reboardsitz)のいずれもが全ての点でとうてい納得できるものではなかった。

auto motor und sportが行ってきた8年間のチャイルドシート衝突試験の後でも劇的に粗悪なチャイルドシートが売られている。このテストのなかで身の毛もよだつような商品はOsann Carry One であり、全てのチャイルドシートが受ける最大減速度33gではOsannはシステム不全に至った。VWのシートベルトはCarry Oneの座面から大きな部品をもぎ取り、シートは衝突の際かろうじて車内に残っているだけであった。判定は全ての負荷値が小さいにもかかわらず、「推奨できない」である。負荷値が小さいのは壊れたシートが大きく前方へ突出したことによるものである。

座面が破損したOsann Carry One


テストされたチャイルドシートのうち、Bebe Confort Elios, Concord Baboo, Renault Easyfix, Roemer Baby StarとStorchenmuehle Maximumの5つが少なくとも「条件つき推奨」の判定を受けたのは番狂わせであった。それらは後ろ向け取り付けのチャイルドシートに期待されるように頭部、首を良く保護したが、胸部領域に問題があった。
Renault Easyfixはイソフィックスコネクターを備えている。イソフィックスコネクターはイソフィックスアンカーを備える自動車への搭載を少なくとも理論的には大変簡単にしている。理論的という意味は異なるメーカーの車に使用することを許されていないからである。しかし、今回のテストはRenault EasyfixがVWゴルフの車内で機能するかどうかを証明することにあり、「条件つき推奨」ではあったが機能した。より良い結果の「推奨価値あり」を邪魔したのは固定方法ではなく、シートの大きさであった。
Saab Child Seatは体重25Kgまで載せられる。後ろ向け取り付けのみで搭載され、取り付けが難しい。大きいため小さな車には全く適合しない。取りつけの難しさを衝突の際の負荷値が非常に低いことで代償している。
完全にグリーン領域にあったのはBobob Easybob Maxi,Chicco Synthesis LuxとMaxi-Cosi Citi である。けれど、これら「推奨価値あり」にランクつけされたシートにも幾つかの改良すべき点がある。Bobobはクラス0+として許された大きさを満たしているとはいえ、テストしたシートのなかでは座面が最も小さく、ダミーは窮屈であり、更にシートは後席でぐらついていた。
Chicco Synthesis Luxは全体としては下肢に十分なスペースを提供しているのに、足の運動自由度がベルト導溝で制限されている。
Maxi-Cosi Citi もダミーをベルト導溝で圧迫し、クッションが薄いので批判がなかった訳ではない。
一般的にクラス0+のベビーシートは欠点がある。クラス0+のベビーシートの殆ど全部は体重11Kgのダミーによって完全に占拠された。他の言葉で云うと:小さすぎる。体重9Kgまでの古いクラス0からの飛躍では明らかに小さすぎる。
更なる短所は通気性が欠如していることである。ベビー達はまさに自分たちの液体(オシッコや汗による湿気)の中に寝ている。Storchenmuehleはこれを排出するためMaximumで座面に大規模に穴をあけることに努めた。他社のシートでは小さな穴をあける試みがチョッピリされただけである。年長児のシートにあるようなぜいたくな解決法はクラス0+にはない。
このテストで10個シートのうち少なくとも4個が「推奨価値あり」の称号を受け、1個だけが落第したことは光明である。しかしながら、チャイルドシート着装義務が発効してから8年後の今、この結果を喜ぶ訳にはいかない。多くの生産者がこの8年を彼らの製品をさらに発展させるためではなく、コスト削減に費やしたことは残念である。

このテストの説明の原文は長いので、一部だけをここに載せた。別に全文を用意しましたので下のアイコンをクリックするとジャンプします。



チャイルドシート・クラス0+(後向き、前向き取りつけ混合)の衝突試験:
2000年2月9日号


チャイルドシート クラス0+ 測定値項目下のの値は制限値=許容限度値を示す。これ以下なら負傷危険度は低い。

品目
チャイルド
シートの向き

判定
負傷危険度 測定値 :HIC=頭部傷害度, 1g=9.81m/s2、 N=ニュートン
HIC 頭部加速度 首にかかる力 胸部加速度 頭部突出度
全体 < 825 < 80g

< 2000N
< 55g < 55cm

BMW Junior Seat
BMWジュニアシート
 
++

前向き
推奨 596 58.1 1300 41.5 48

HTS Besafe Kid
HTS ベザーフェ・キッド
 
+

後向き
推奨 451 51.5 600 50.2 測定できない

Kiddy 2000 Reboard
キディ2000リボード  
+

後向き
推奨 521 57.7 800 52.8 測定できない

VW Bobsy Isofix
VWボブシィ・イソフィックス
 
++

前向き
推奨 629 58.9 1300 39.2 45

Knauf Kids Club
クナウフ・キッズクラブ
 
++

前向き
条件つき推奨 807 70.9 1800 53.0 38

Chicco Shuttle Reboard
シッコ・シャトル・リボード
 +

後向き
推奨できない 256 59.4 900 66.1 測定できない

Maxi Cosi Priori
マキシコージ・プリオーリ
 
+++

前向き
推奨できない 1086 87.8 1800 50.8 41

Roemer King
レマー・キング
 
+++

前向き
推奨できない 1262 89.6 2000 58.8 52

 クラス0+のチャイルドシート8台をテストした。これらはシステムの違いによって3種に区分される。すなわち、1)ベビーシートのように後向きにとりつけられるReboard-Sitz(+)2)前向きに取り付けられる安全テーブル(机のように子供を囲むもの)付きのシート(++)、3)自動車のシートベルトでチャイルドシートを固定し、子供はチャイルドシートの5点式ベルトで固定されるもの(+++)
 1)
(+)は取り付けが難しく場所を取る。しかし傾斜角が大きいので、乳児を寝かすのに向いている。また前面衝突のさい、子供はシートの背もたれに圧迫されるため、脊柱の過伸展は起こりにくい。
HTS Besafe Kidの首にかかる力は 600ニュートンとこれまでAuto Motor und Sportが測定した値のなかで2番目に低い値であったし、他の測定値も緑色の範囲であった。改良を要望したい項目は取り扱い説明書を分かりやすくすること、支持脚をもっと広範囲に調節可能なものとすることである。Kiddy 2000 Reboardもダミーへの負荷値は小さく「推奨価値あり」の判定であったが、取り扱い説明書と支持脚の改良を要望したい。3番目のReboard-SitzであるChicco Shuttle Reboardは再び期待を裏切った。安いプラスチック製のバックルの小さな部品が壊れたからである。小事が大事を招くが如くChicco Shuttleは後席でよろめき、評価を下げた。胸部加速度が異様に大きいことがそれを証明している。

上:Knauf Kids Clubのセフティテーブルの発泡スチロールの亀裂
右:Chicco Shuttleのベルト導溝破壊によるシステム不全


 2)(++)セフティテーブル(かこみ机)付きのシートは良い結果であった。ぜいたくな作りのBMW Junior Seatは9Kgから36Kgの子供を運搬できることではKiddy 2000と双璧をなし、まず取り付けが簡単なことで次いで結果でテストチームを納得させた。特に胸部加速度はVW Bobsy Isofixよりほんの少し大きいだけであったことは称賛に値する。VW Bobsy Isofixは負荷値が小さいことだけで得点が良かったのではなく、イソフィックス方式による容易な取り付けがほめられるべきである。すべてのVW 系列の車に数秒で、何よりもミスなく搭載できる。イソフィックス方式アンカーのない車にはシートベルトで後席に固定される。唯一の欠点は背もたれ角度が急なため睡眠に適さないことである。Knauf Kids Clubは特売品であり、VW Bobsyに似ている。両者ともにRoemer社のRoemer Peggyの構造が原型であるが、VW Bobsyは明らかに進化したのにKids Clubは安物のコピーにすぎない。 安全性については批判する気にもなれないが、快適性もひどいものである。クッションの快適性や通気性は望むべくもなく、暑い日には小さな同乗者にとって責め苦の椅子となり、ぐずる子供のせいでドライバーの注意がそらされることになる。
3)
(+++)5点式ベルトも持つチャイルドシートも満足できるものではなかった。Maxi Cosi PrioriとRoemer Kingの両者とも体重9Kgから使える筈だがクラス0+としてののテスト結果は良くなかった。両者ともに衝突のさい、ダミーはポケットナイフのように折り畳まれ、前席の背もたれに頭部をぶっつけた。他のテストされたチャイルドシートでは決してなかったことである。二者の硬くて急な動きは頭部が腹部に激突すること、頭部加速度と首にかかる力が相対的に高いことの証拠である。このようなシートでは脊柱への負荷は他のチャイルドシートよりもかなり強い。過去の3才児に相当するダミーを用いてのテストではPrioriもKingも評価ははるかに良かったが、クラス0+ではReboard-Sitzとセフティテーブル付きのシートが適合しているようである。ともあれ、Auto Motor und Sportが衝突試験を行ってきた8年間で両親が選べ抜ける、より安全なチャイルドシートがクラス0+グループに増加したことは喜ばしい。

このテストの原文を別に用意しましたので下のアイコンをクリックするとジャンプします。



チャイルドシート・クラス1の衝突試験:1998年7月15日号

測定値の項目の下の数字は制限値(許容限度値)を示す。負傷危険度を青=低い黄=中程度赤=高度で示す。

チャイルドシート クラス1 測定値項目下のの値は制限値=許容限度値を示す。これ以下なら負傷危険度は低い。

品目

判定
負傷危険度 測定値 :HIC=頭部傷害度, 1g=9.81m/s2、 N=ニュートン
HIC 頭部加速度 首にかかる力 胸部加速度 頭部突出度
全体 < 825 < 80g

< 2000N
< 55g < 55cm

BMW・
ジュニアシート1

推奨 566 61.3 1600 37.3 53

レカロ・スタート

推奨 812 63.0 1700 54.2 34

ボテックス・ボブシィ・
G1 ・イソフィックス

推奨 467 56.2 1500 33.8 54

HTS ・ベザーフェ・
プラス

条件つき推奨 685 72.9 1900 52.7 63

イケア・ビルテックス・
オートキンダージッツ

条件つき推奨 1018 80.0 1800 64.7 37

プリオリ・マキシ・
コーシ

条件つき推奨 918 74.4 1900 46.2 59

シカルテックス・
キディ-2000-R

条件つき推奨 789 66.0 2200 46.7 41

ドレメファ・ボボブ

条件つき推奨 408 52.5 1400 47.8 57

クリッパン・クラシック

条件つき推奨 706 69.3 1800 61.1 57

ベベ・コンフォート・
コスモス

推奨できない 564 77.0 2000 52.5 67

 1992年からAMSは60以上のチャイルドシート(シートとも略す)をテストしてきたが、大抵は不満足な結果であった。さしあたり製造者達は良いシートの本質を把握しているのだろうか?

BMWジュニア・シートは「推奨できる」と証明された。ここではダミーは車の3点ベルトで保持される。特徴として、テスト結果が証明しているシートの前方への突出を有効に阻止する支持脚を備えている。

ボテックス・ボブシィGIはイソフィックス固定方式以外にどのような購買理由があるかを証明しなければならなかった。セフティーテーブルでシートに保護されたダミーはテーブルで顔を打ったが、接触は強いものではなかった。つまり、ダミーは低い負傷危険性にさらされただけであった。したがってAMSの「推奨できる」の最も良いテスト評価を与えられた。

そして「推奨できる」評価の第三のシートはレカロ製である。クッションと通気性は平均的に良く、「総合的に負傷危険が低い結果」であると証明された。

HTSは「条件付き推奨」と格つけされたにすぎない。ダミーの後頭は全くクッションのない背もたれに打ち付けられたため、頭部の反跳は非常に大きい頭部突出度とそれに伴う負傷危険性に至った。

このテストで最も安価なイケア・ビルテックスは最悪の評価を危ないところで逃れることができた。原因はわずか37cmの頭部突出と、それに結びついた硬い減速度に伴う非常に高い胸部加速度が原因である。

これに反しプリオリでは頭が前方へ59cm飛び跳ねた。しかしながら、大きい頭部突出度にもかかわらず、予想と異なり頭部加速度あるいは首にかかる力は特別低い値ではなかった。

シカルテックス・キディにも同じジレンマがあった。この場合、たった41cmの少ない頭部突出度は硬い(激しい)減速度であがなわれる、このテストで最も高い首にかかる力をダミーに負荷した。

ドレメファ・ボボブには全く別の問題があった。2分割式のベビーシートは2つのヒンジとボルトで結合されている。一つが負荷に耐え切れず外れ、シートは負荷限界に達した。

クリッパン・クラシックでは複数の部品が強く変形した。しかしシートは分解せず、ダミーに2つの試験基準で中程度の負傷危険度を要求した。

ベベ・コンフォートコスモスだけがダミーをさらに冷遇した。シート自身の2本の、余りにも弱く設計されたプラスチック製のベルト張り器がズタズタに裂けた。50km/h以上の速度で何が起こるかは想像に難くない。それは機能不全のシートとちぎれたダミーとである。

AMSがチャイルドシートの衝突試験を始めて6年後の今も、とうてい全ての生産者がチャイルドシート製作に何が重要かを理解していない。


このテストの説明の原文は長いので、一部だけをここに載せた。別に全文を用意しましたので下のアイコンをクリックするとジャンプします。

チャイルドシート・クラス2の衝突試験:1999年5月19日号

チャイルドシート クラス2 測定値項目下のの値は制限値=許容限度値を示す。これ以下なら負傷危険度は低い。

品目


判定
負傷危険度 測定値 :HIC=頭部傷害度, 1g=9.81m/s2、 N=ニュートン
HIC 頭部加速度 首にかかる力 胸部加速度 頭部突出度
全体 < 825 < 80g

< 2000N
< 55g < 55cm

レカロ・スタート

推奨 417 52.8 1600 51.4 51

レマー・ズーム

推奨 339 57.5 1700 44.2 50

コンコード・リフト

条件つき推奨 547 58.4 2100 59.7 44

キディ・メガ 2+3

条件つき推奨 746 62.2 2000 57.4 37

クリッパン・
シュプレマ 1/2/3

条件つき推奨 767 66.4 2100 56.4 42

BMW・ジュニアシート2

推奨できない 1143 77.2 3300 57.4 40

ベベ・コンフォート
・アブソーバー

推奨できない 1213 72.7 2400 68.7 32

HTS ・ベザーフェ 
1-2-3

推奨できない 1142 70.7 1900 64.8 41

イケア・ビルテックス・
ブルバー

推奨できない 326 52.7 1700 51.1 42

シュトルヘンミューレ・
エアシート・1+2+3

推奨できない 1309 84.6 2700 58.1 42

昨年のクラス1のテストと同じくRecaro Startは今年も「推奨の価値あり」と評価された。その設計は細部にわたり検討されていた。ただ、背もたれがあと数cm 高ければ背の高い子供に対する保護は完璧であろう。

Roemer Zoomは「推奨の価値あり」に格付けされた。しかし改良点はある。支柱の高さ調節が落ち着きなく、ベルト導溝はダミーが強く捻転するのを抑えられない。

Concord Liftもクッションが悪かった。首と胸部負荷が高かったため、試験評価は「条件つき推奨」であった。

Kiddy Mega 2+3のクッションは十分で、ヘッドレストの幅も背もたれと同じように調節できる。「推奨の価値あり」を逸したのは単に首にかかる力と、胸部負荷値が大きすぎたからに過ぎない。

Klippan Supremaも全くの新商品であるが、同じように「推奨の価値あり」を逸した。更にクッションが悪かった。

BMW Junior2は昨年のテストでは3才相当の小さなダミーを装備して「推奨の価値あり」の称号を取った。今回の衝突試験では最初のフィルムの観察結果は良かった。ただ衝突終盤の反動相で細部が困惑させるものであった。ダミーはシートの中で上方へ滑り、バックレストの高さが足りないため首を過伸展した。過伸展はダミーの首に対する大きな危険につながる。今回は気の滅入るような「推奨できない」という結果となった。2002年よりBMW チャイルドシートにイソフックス方式が導入された。AMSの試験結果を早く知りたいものである。

Bebe Confort Absorberは3年前のテストではクラス1のシートとして良い評価であった。しかし、より大きなダミーで背もたれが無い今回のようなテストには落第した。

HTS Besafe1-2-3は座面の2つのベルト導溝が十分に強く鋳造されていないため、ベルトが容易に脱け出し易い。取り扱い説明書に明言しているベルトの最適位置は実現できない。頭部・胸部加速度が高すぎる。

Ikeaのブースターシートはテストチームを全く異なる様式と方法で驚かせた。上体は完全に斜めベルトの下に抜け出し、腰ベルトは腹部を極端に締めつけた。実際の事故では内蔵挫滅の恐れがあり、テスト判定は「推奨できない」である。

Storchenmuehle Air-Seat もクラス1では「推奨の価値あり」モデルに数えられた。これに反しクラス2では、高い測定値が示すように全く適合(調和)しない。


このテストの説明の原文は長いので、一部だけをここに載せた。別に全文を用意しましたので下のアイコンをクリックするとジャンプします。


4.まとめと後評

1. チャイルドシートを着用したダミーをフォルクスワーゲン・ゴルフの後席に装着し、時速50Km/sで衝突試験を行った。対象はドイツで販売されているクラス0+のベビーシート10品目、クラス0+のチャイルドシート8品目、クラス1のチャイルドシート10品目、クラス2のチャイルドシート10品目、合計38品目であった。

2. 高速カメラで衝突経過中のダミーの動きと、頭部の前方突出距離とを撮影した。また、ダミーに設置したセンサーで頭部傷害度、頭部加速度、首にかかる力、胸部加速度を測定した。

3. 測定された数値にそれぞれ安全許容限度値を設定し、この値を大幅に超えたものを負傷危険度が高い、少し超えたものを中等度、以下のものを低いと判定した。

4. 衝突の際に部品が変形、あるいは破損したものはクラス0+のベビーシートでは1品目、クラス0+のチャイルドシートでも1品目、クラス1のチャイルドシートでは3品目あった。

5. クラス2ではシートベルトに対するチャイルドシートの導溝が悪いため、衝突の際にシートベルトが首や腹部を締めつける恐れのあるものが5品目あった。

6. 試験したチャイルドシートはヨーロッパ衝突安全規準(Crash-Norm ECE-R44/03)を満たしているにもかかわらず、負傷する危険度が低く「推奨できる」ものは13品目しかなく、10品目は「推奨できない」15品目は「条件つき推奨」であった。

7. 衝突試験の前には全てのチャイルドシートは強固に見えた。しかし、装着ミスがなくとも、製品によっては衝突時に保護作用を期待できないものがかなり多い。

8. 日本で販売されているチャイルドシートのうち、このような厳正な試験で「推奨できる」評価を受けられるものは幾つあるだろうか?

9. 日本でも2000年1月にようやく国土交通省の国内安全基準が定められた。下の表に国土交通省とAuto Motor und Sport誌との制限値を比較した。頭部加速度と頭部突出度とは同等だが、国土交通省の胸部加速度は甘く、HICと首にかかる力は日本では測定していない。本誌が1998年にすでに「古い」ときめつけた欧州の基準(ECE R44/03)が日本での最新の基準同等としてまかり通っているのが残念である。

日本国土交通省の安全基準ととの制限値との比較

測定項目

日本

HIC

測定せず

< 825

頭部加速度

< 80g

< 80g

首にかかる力

測定せず

< 2000N

胸部加速度

< 60g

< 55g

頭部突出度

< 55cm
< 55cm

さらに、本誌は2002年20巻(10月16日号)で世界で初めて側面衝突試験の結果を報告した。「その2」で解説する。

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