12. 皮膚の外用療法(スキンケアを含む)

外用療法がアトピー性皮膚炎治療の主力です 

はじめに:
 
小児アトピー性皮膚炎の治療の原則は自然治癒を待つことです。皮膚症状がひどい時期があっても、大部分の小児は自然治癒することが多く、そのためのチャンスが二度訪れます。第一のチャンスは消化管の機能が強くなり、それまで腸粘膜が未熟なために通過、吸収させていた卵白のような食物性抗原を通過させなくなる1〜2才ごろにやってきます。食物性抗原が原因のアトピー性皮膚炎はこれ以降は少なくなりますが、それまでの皮膚症状がひどいと、例えばダニのような接触性抗原が皮疹部位から侵入し、接触性抗原が原因のアトピー性皮膚炎に様変わりすることになります。第二のチャンスは男性ホルモンの作用で皮脂腺から皮脂が分泌され、それまでのカサカサから、むしろ脂ぎった皮膚となり、皮膚のバリアー機能が自然と高まり、ドライスキンが解消される思春期です。年令にすれば10〜13才に相当し、量の違いはあっても男女とも男性ホルモンを分泌しますので、性別の差異なく第二の治癒機会が訪れます。このチャンスを捕え、アトピー性皮膚炎を治癒させるためには皮膚の症状を出来るだけ良くして、アレルギー反応を起こす抗原の侵入を許さない状態に保っておくことが必要です。

      第一のチャンス                第二のチャンス

 そのためにはステロイド外用剤(単にステロイドと記します)をはじめとする皮膚の多彩で、きめ細かい外用療法がアトピー性皮膚炎の治療の根幹となります。
 ステロイドの乱用は確かに喧伝されているような副作用をもたらしますが、小児にステロイドを外用する場合、使用方法さえ間違えなければ1週間に5〜10グラムの量では副作用はありません。いたずらにステロイドの副作用を恐れてばかりいては、せっかくの治癒する機会を逃してしまうことになります。日常の診療経験から、ステロイドの副作用による皮膚障害よりも、ステロイドの副作用を恐れるあまり、ステロイドの使用を拒絶して皮膚症状を悪化させてしまい、2度の治癒、または軽快するチャンスを逃した患者さんがはるかに多いことを知っています。治療中にはいろいろな原因で皮膚症状が一時的に悪化することが何度もあります。それでも患者さんそれぞれの症状を診て治療スケジュールをたてている主治医を信頼し、気長に治療することが必要です。

 アトピー性皮膚炎の外用療法には1)急性期の療法と、2)維持期の療法とがあります。急性期とは抗原が侵入してアレルギー反応を起こし、皮膚症状が熱感や痒みを伴って増悪した状態です。維持期とは治療により急性期の症状が軽快し、再び悪化しないために良い状態を維持すべき時期です。

1 急性期の療法(ステロイド療法)

 単に痒い(かゆい)だけではなく炎症による痒みのため夜泣きしたり、身体を床などにこすり付け、傷つくような場合や、紅斑、丘疹、湿潤、苔癬化傾向が強く、皮膚の亀裂のために疼痛が強いようなときにはステロイドを使わないと良くなりません。
* 皮膚症状の種類と程度、部位、年令などによって効果の強さの異なるステロイドが選択されます。効果の強さは「最強」、「強い」、「中くらい」、「弱い」、「最弱」の5ランクに分けられます。普通は上位4ランクのステロイドが用いられます。 医薬品として市販されているチューブ入りのステロイドの「効果の強さ」によるランクを右の写真に示します。クリックすると写真がでます。(ダウンロード時間  1分10秒/28.8kbps)
 一般に急性で軽い症状(湿潤した状態)では薬の吸収が良いため「弱い」から「中くらい」のステロイドを、慢性で苔癬化したり痒みのためにひっかき硬いシコリになった痒疹には「強い」ステロイドを中心に、場合によっては「最強」のものを用いることもあります。
 ステロイドの吸収の度合いは図に示すように身体の部位によって異なります。原則として皮膚が厚い手足には吸収されにくいために強めのステロイドを、皮膚が薄い顔、首、外陰部などには弱めのステロイドを選びます。ただし、この原則は絶対ではなく、症状によっては顔面に「強い」ステロイドを使わなければならない場合もあります。
* 年令に関しては乳児、お年寄りは副作用を防ぐため、弱めのステロイドを選ぶようにしています。ステロイドの副作用は後ほど詳細に述べます。

皮膚外用剤の具体的な使いかた

A.単純塗布

塗布回数: 皮膚の状態によって1日1〜3回塗布します。1回塗布のときは入浴後に、2回のときは夜の入浴後と朝起床時に着替える時に、3回のときは更に午後に幼稚園や学校からの帰宅時に塗布します。
入浴後に塗ります: 入浴後に清潔になった身体に塗布するのが最も効果的です。一日に何回も入浴することは無理でも、最低一回は入浴してください。目立つ汚れは落としてから塗布します。汗は皮膚表面の細菌の栄養となり、アトピー性皮膚炎を増悪させますので、シャワーで簡単に洗い流してから塗布します。
塗りかた: 指定されたステロイドを指先で患部の中心につけ、小さい範囲ならそのまま指先で、大きい範囲なら手のひらで薄く延ばしていきます。このとき強くこすって擦り込まないようにします。塗った後の状態が外用剤で皮膚面が光って見えている程度で十分です。
 軽症ならば
非ステロイド外用剤を用いますが、非ステロイドだから絶対安全ということはなく、ときに非ステロイド薬剤による接触性皮膚炎を起こすこともあり、効果のない場合には長期間使ってはいけません。塗布方法はステロイドと同様です。



  

症状改善時の対応:

 症状に合った適切なステロイドが指示通りにきちんと使われればアトピー性皮膚炎は2週間以内に軽快します。注意すべきは良くなったからと言ってステロイドを止めずに、その後の外用療法の指示を受けることです。この状態で塗布回数を減らしたり、1ランク効果の弱いステロイドに変更するか、ステロイドを塗った上にワセリン、アズノール、亜鉛華軟膏、ヒルドイド、オリーブ油などの保湿剤を重ね塗りしたり、或いは保湿剤と混合して効果も副作用も弱めたステロイドを使ったりします。このようにして最終的にステロイドを止め、アトピー性皮膚炎に特有のドライスキンに有効な保湿剤を用いて、できるだけ炎症が再発しないように良い状態を維持して自然治癒を待ちます。ステロイドは重要で有用なクスリですが、急性の炎症を直す一時しのぎのクスリであって、良い状態を維持するための基礎薬とはなり得ません。基礎薬となり得るのは症状に適合した保湿剤です。
 アトピー性皮膚炎の治療には状態に合った、きめ細かい対応が必要で、そのために何度も受診していただく必要があります。病気の性質からアトピー性皮膚炎は軽快、増悪をくり返すのが特徴であり、簡単に治るものではありません。簡単に治るのはただの湿疹です。治癒するまでには忍耐が要求されます。

B.重層塗布(重ね塗り)

 重症の皮膚病変に先ずステロイドを塗布し、その上から古典的外用剤である亜鉛化軟膏を塗布します。湿潤、あるいは苔癬化した病変に非常に効果的で、さらにステロイドの使用量を節約できる大きなメリットがあります。亜鉛化軟膏は古典的外用剤であり、安全性は高く、滲出液(ジクジク)の吸収、収斂(炎症を収める)作用、保護作用があり、ステロイドをあまり使いたくない顔面に単独で塗布しても効果を発揮することもあります。欠点としてはゴテゴテしていること、塗布にかなりの手間がかかること、後始末が大変なこと、見映えが良くないことが挙げられます。外出するときには見映えのために代わりにワセリン、アズノール、ヒルドイドなどの保湿剤を重層しますが、亜鉛化軟膏ほどの効果は期待できません。右の画像をクリックすれば、詳細な説明ページが出ます。

C.閉鎖密封療法(ODT)

 治療に抵抗する痒疹型アトピー性皮膚炎に対してステロイドをやや厚めに塗り、その上をサランラップで覆い、周りを絆創膏で密封します。簡便法としてステロイド含有テープを貼る方法もあります。ステロイドの吸収が非常に良くなりますが、半面毛包炎や皮膚カンジダ症を誘発したり、皮膚萎縮を生じやすいので、小児には殆ど使いません。

D.免疫抑制剤(タクロリムス=プロトピック軟膏)の外用薬への応用(アトピー性皮膚炎に対するステロイド以外の選択肢)

 ステロイド外用剤はアトピー性皮膚炎治療の主力ですが、長い間使うと皮膚の萎縮、紅潮、色素異常、にきび、感染に対する抵抗力の低下などの副作用が心配されます。このためステロイドに代わる副作用のない治療法が長いあいだ模索されてきました。
 新しい治療法として臓器移植後の拒絶反応を予防するための免疫抑制剤のシクロスポリンAを内服する方法が先ず試されました。有効ではあるが腎臓、肝臓に対する毒性や高血圧、悪性腫瘍が発生する恐れがあるため、内服は問題外とされました。シクロスポリンAの塗布が試みられましたが皮膚への浸透性が悪く、満足すべき結果は得られませんでした。
 最近、我が国のF製薬が開発した免疫抑制剤タクロリムス(プロトピック)軟膏が発売されました。それによると塗布3日目から効果が現われ始め、3週間後には70%の人に著明な改善が認められました。副作用として塗布部位の灼熱感が最も多かったが、アトピー性皮膚炎の改善と共に灼熱感もおさまり、内服時に見られる副作用はなく有効でした。アトピー性皮膚炎の治療にステロイド以外の選択肢が増えたことになります。
 顔面の難治性紅斑やステロイドの副作用病変部位に有効ですが、免疫抑制剤の副作用である感染に罹りやすさ、腎障害に注意しなければならないこと、小児(15才以下)への使用がみとめられていないことなど問題もあります。

2 維持期の療法スキンケア

 目的: 皮膚表面の角質細胞をつなぐセラミドという皮脂(あぶら)が不足することにより、皮膚が乾燥し、水分保持能が低下して皮膚のバリアー機能が障害され、様々な外界の刺激(発汗、乾燥、紫外線、外用剤、付着した食べ物、ひっかき)による非アレルギー性の湿疹反応を起こします。さらに湿疹反応の部位からダニ、ハウスダストなどのアレルギー反応を起こす抗原が侵入しやすくなり、生来あるアトピー素因も手伝ってアトピー性皮膚炎が成立すると推測されています。抗原が侵入しやすい状態を是正し、アトピー性皮膚炎が起きにくくすることが維持期の療法でスキンケアとも呼ばれます。スキンケアには皮膚の汚れを落とし、清潔に保つスキンケア皮膚のバリアー機能を維持するスキンケアとがあります。清潔を保つスキンケアは脱脂行為であり、皮脂を落として皮膚のバリアー機能を失わせることになりますので、この2つの相反するケアを両立させるには石けんやシャンプーで洗って清潔にしたのち、皮膚のバリアー機能を補強することが必要です。それが乾燥に対するスキンケアで、この目的に沿うものは保湿剤とよばれます。保湿剤にはワセリンのように皮脂膜の代用となり、水分の蒸散を防ぐものと、ヒルドイドや尿素のように角層の水分保有力増強作用を有するもの、あるいはセラミド補充効果があるといわれる合成セラミド製品とがあります。(医薬部外品で健康保険は使えません)。いずれにせよ、保湿剤は入浴後角層が完全に乾燥する前に用いるのが最も効果的です。

A. 皮膚を清潔に保つスキンケア

 
入浴は毎日。お湯の温度は高くないように、温まりすぎると痒くなる。40度が適温。
 石けんが皮膚に残らないように十分濯ぐ。ドライヤーはなるべく使わない。
 普通の石けんで良いが、重症の場合には低刺激性の石けん、シャンプーを使っても良い。薬用石けんは不適。香料は無用。
 シャンプーは洗浄力が強いので、最初に洗髪してから体を石けんで洗うと体にシャンプーが残りにくい。
 通常の暖まるタイプの入浴剤は皮膚の温度が上がり痒くなるので良くないが、合成セラミドや米糠油を含む入浴剤は保湿効果がある。
 硬い材質のタオルでこすらない。
 寝具には目の詰まったシーツを用いる。肌着には柔らかい材質の木綿を使用する。
 夏は汗をかかず、冷えすぎない程度にクーラーを使う。
 ペットと同居しない。
 爪は短くする。

いくつかの低刺激性石けん

製品名
コラージュD乾燥肌用石鹸
コラージュ液体石鹸D
ミノンD シャンラブフロイデ キュレル全身洗浄料
メーカー 持田製薬 山之内製薬 武田薬品 花王

成分
トコフェロール(ビタミンE)、
セタノール、
トリエタノールアミン
N-アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、アラントイン、
グリチルリチン酸塩
ニンニクB1エキス末、ベータグリチルレチン酸、ポリエチレングリコール4000、グリセリン ラウロイルカルボキシエチルグリシン

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成分の説明

トコフェロール(ビタミンE)抗酸化作用があり、過酸化脂質の生成を抑制し、皮膚の老化防止が期待される。

セタノール:固形アルコールの混合物で親水性が強く、保湿効果がある。

トリエタノールアミン:界面活性作用があり、皮膚洗浄剤、乳化剤の成分や溶剤などに使用される。

N-アシル-L-グルタミン酸ナトリウム:アミノ酸系洗浄成分。

アラントイン:食物および体組織中の核蛋白質の最終代謝産物である尿酸が酸化されて排泄される。皮膚保護作用がある。

ベータグリチルレチン酸、グリチルリチン酸:カンゾウの成分の一種、ステロイド類似の炎症作用がある。

ポリエチレングリコール4000:酸化エチレンと水との重合物でパラフィン様の水溶性物質。軟膏基剤などに使われる。

グリセリン:脂肪酸とエステル結合を作り油脂、脂質などの型で天然に存在する。軟膏や塗布薬の基剤、座剤や浣腸薬などに用いられる。

ラウロイルカルボキシエチルグリシン界面活性剤。弱酸性。

保湿効果のある入浴剤

製品名

メンソレータムAD薬用入浴液

バスキーナ

シャンラブ薬用入浴剤

メーカー

ロート製薬

持田製薬

武田薬品

成分

米発酵エキス
米胚芽油、グリチルリチン酸ジカリウム、コレステロール、スクアレン ニンニクB1エキス末

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B.乾燥に対するスキンケア
 保湿剤を1日数回塗布します。お風呂上がりに必ず塗布してください。

保湿剤の種類
1) 医薬品
・・・健康保健を使えます
a 白色ワセリン
 最もポピュラーな保湿剤。石油から得た炭化水素類の混合物を精製、脱臭、脱色したもの。中性で刺激性がなく皮脂膜の代用となる被膜を形成し、皮膚保護作用に優れる。乾燥して痒い程度ならワセリン単独でもかなり有効。
しかし、吸水性がなく皮膚への浸透性が乏しく、作用は表在性で粘着性が強くてベトつきやすいのが欠点。他の保湿剤や軟膏、ステロイドと混合して、あるいは重層して使われることが多い。

b 白色軟膏
 白色ワセリン93%に吸水性を増すためにセスキオレイン酸ソルビタン2%、適度の堅さを与えるためにサラシミツロウ5%を加えた軟膏。白色ワセリンよりも吸水性があり、稠度(粘り気)と吸収性が高く、ベトつきにくい。
セスキオレイン酸ソルビタン:界面活性剤、乳化剤として用いられる。
 サラシミツロウ:ミツバチの巣から得たロウを精製してさらしたもの=白蝋>

c 親水ワセリン
 白色ワセリン86%に吸水性を増すためにセタノール3%、コレステロール3%、適度の堅さを与えるためにサラシミツロウ8%を加えた軟膏。白色ワセリン単独よりも浸透性が強く、皮膚を湿潤に保つ効果がある。白色軟膏よりもやや硬い。
セタノール:固体アルコール。親水軟膏の基剤として用いる。
 コレステロール:脂質の一つ。脳、神経組織、副腎などに含まれ、胆汁酸やステロイドホルモン の原料となる。界面活性剤としての作用をもち、軟膏基剤に加えると水分の吸収力を高める。>

d プラスチベース
 分子量21,000のポリエチレン5%、流動パラフィン95%を加熱し、ゲル化したしたもの。皮膚に対して滑らかな感じを与え、撥水性基剤であるにもかかわらず脂肪感がなく、シットリ感に優れ、乾燥感を与えない。感作を生ずることが少なく、気温の変化にたいして粘稠度が一定である。
流動パラフィン:石油から高度に精製した炭化水素油。軟膏基剤、浣腸剤などに用いる。>

e アズノール軟膏
 ワセリンに抗炎症、抗アレルギー作用を有するアズレノイドと精製ラノリンを混合したもの。使い方はワセリンに準ずる。ワセリンほどベトつかない。分厚く塗布すれば有効。
精製ラノリン:ヒツジの毛に付着する分泌物を精製して得たものでコレステロール、高級アルコ ール、および高級脂肪酸のエステルから成る。角質表皮面への浸透性、付着性にすぐれ皮膚を滑 らかにする。ただし、ラノリンは人によりアレルギーを起こすこともある。>

f 10%亜鉛化単軟膏
 酸化亜鉛10%、サラシミツロウ33%、植物油(大豆油、ゴマ油など)47%から成る。
酸化亜鉛は刺激を緩和し、分泌物の吸収作用を増し、防腐・乾燥などの収斂作用があるので、丘疹・小水泡・膿庖・びらん・潰瘍・結痂いずれの皮疹にも有効で、湿潤面・乾燥面いずれにも使用できる植物油脂系軟膏である。

g ヒルドイド軟膏
 ヒアルロン酸に似たムコ多糖体製剤で、水分子を吸着し保湿効果が強力で持続的。他の保湿剤やステロイドと混合して、あるいは重層して使われることが多い。出血、あるいはびらん面への塗布は避ける。

h 尿素軟膏
 角層の天然保湿因子の1つである尿素は角層の水分保持能を高め、角質表面を柔らかくする作用のほか、抗菌作用、止痒作用を有し、ドライスキンに対して優れた効果を発揮する。ひっかき傷があると滲みることがあり、小児科ではあまり使われない。

i ザーネ軟膏、ユベラ軟膏
 
皮膚の代謝機能亢進と表皮におけるケラチン形成抑制をもたらすビタミンA油を有効成分とする軟膏。ベトつかず使いやすいが、少々物足りない。ユベラ軟膏はビタミンA、E含有軟膏。他の保湿剤と混合して用いることが多い。

j オリーブ油
 
顔面、頭部に用いて有効なことあり。重層療法の亜鉛化単軟膏を除去する効果と、保湿効果を期待する。小児科では保湿剤としては余り使わない。

保湿剤の混合

亜鉛化単軟膏の治療効果を期待し、単独であるいは重層療法に用いる。

白色ワセリンの表皮保護作用とヒルドイドの水分子吸着作用。

10%亜鉛化単軟膏
+白色ワセリン

10%亜鉛化単軟膏
+親水ワセリン

10%亜鉛化単軟膏
+ヒルドイド

白色ワセリン
+ヒルドイド




2) 医薬部外品・・・医薬品ではないため、健康保険は使えません。大部分の商品は角質の水分保持能を補う天然保湿因子、またはそれに近い成分が混合されています。比較的油分の少ない商品が多く、まずこれらの保湿剤を塗り、その上にワセリンのような油分の多い、皮膚保護作用に優れる保湿剤を重ね塗りするのが効果的です。価格や使用感はそれぞれ異なりますので、各自に合った商品を選んでください。薬局、薬店、あるいは通信販売で求めます。アレルギー反応を起こすかもしれない物質、防腐剤が添加されているものもありますので、主治医とよく相談して使ってください。


商品名

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主要成分の説明
キュレル薬用クリーム
発売元:花王
価格:1500円/80g
主要成分:8%合成セラミド類似物質

合成セラミド類似物質
アトピー性皮膚炎においては角質細胞間脂質であるセラミドが減少し、水分保持能力の低下と同時に環境中のさまざまな刺激物の侵入を防ぐ皮膚のバリアー機能が低下したドライスキンの状態であると云われている。合成セラミド類似物質はドライスキンの改善に有用であるという。
薬用AKマイルドクリーム
発売元:ロゼット
価格:4400円/100g
主要成分:0.5%グリコセラミド

0.85%ローションもある。
すべすべみるるローション
発売元:明治乳業
価格:750円/120ml
主要成分:
     乳清ミネラルMWS、
     アミノ酸 

乳清ミネラルMWS(modified whey solid):
 牛乳からチーズ、蛋白質、脂肪を分離した
乳清にはミネラル、ペプチド、乳酸、アミノ酸などのヒトの皮膚に存在する天然保湿因子とよく似た成分が豊富に含まれている。乳清ミネラルMWSはこれから更にアレルギー反応をおこすかも知れない牛乳蛋白を除いた、優れた天然素材の保湿剤である。
コラージュ・デルム
発売元:持田製薬
価格:1600円/35g
主要成分:水溶性コラーゲン、
     スクアレン、
     グリチルレチン酸誘導体、
     ガンマオリザノール

コラーゲン
 硬タンパク質の一つ。哺乳類の皮膚、腱、骨、軟骨、および結合組織の主成分を占める。組織を柔軟にして活動的にする成分。
コラージュクリーム・ゴールド
発売元:持田製薬
価格:6800円/35g
主要成分:
     水溶性コラーゲン、
     スクアレン、
     グリチルレチン酸誘導体、
     ビタミンE

スクアレン
 深海サメの肝油に多量含まれるコレステロール生合成の中間体。油ぎった感じがなく、使用感がよいので化粧用油性基剤として使われる。
グリチルレチン酸
 カンゾウの成分、ステロイド様の抗炎症作用を持つ。
コラージュ乳液・ゴールド
発売元:持田製薬
価格:5500円/100ml
主要成分:水溶性コラーゲン、
     グリチルレチン酸誘導体、
     ホホバ油、
     ビタミンE

ホホバ油(jojoba oil):
 アメリカ南西部に産するホホバの種子から得られる液体ロウ。一般の植物油に比べて油ぎった感触がなく、皮膚になじみやすいのでクリーム、乳液、ボディオイルなどに用いる。
ピュアトピ ベビーミルキーローションA
発売元:ピジョン
価格:900円/60ml
主要成分:スフィンゴリン脂質、
   ピロリドンカルボン酸(PCA)塩、
   ヒアルロン酸、
   ホホバ油

スフィンゴリン脂質
 セラミドまたはその同族体を骨格とするリン脂質の総称。生体内に広く分布する細胞間脂質。
ヒアルロン酸
 体内のあらゆる部位に存在するムコ多糖体で、皮膚では真皮の細胞間隙の水分を保持し、弾力性を与え、細菌感染の防止に寄与している。製品は発酵法で作られ、優れた保湿剤である。
アトピコ・オイルローション
発売元:大島椿
価格:1500円/120ml
主要成分:
     ツバキ油

ツバキ油
 オレイン酸を主成分とする良質の不乾性油。
食用、薬用、香粧品に使われる。
ブランネージュ ATジェル
発売元:ユキコスメテック
価格:5000円/100g
主要成分:コクト(黒糖)オリゴ、
     ヒアルロン酸、
     シソエキス

コクトオリゴ
 黒砂糖から抽出した分子量の小さい糖。
消炎、抗アレルギー作用があるといわれるが詳細不明。
アットンピーランド・ベビークリーム
発売元:和光堂
価格:500円/50g
主要成分:アミノ酸、
     セラミド類似保湿成分

セラミド
 角質細胞間脂質。スフィンゴリン脂質やスフィンゴ糖脂質の構成成分で、スフィンゴシンまたはその同族体に脂肪酸が結合したもの。
エンジェルデュウ・ベビークリーム
発売元:資生堂
価格:2500円/30g
主要成分:よもぎ抽出液
     グリチルレチン酸誘導体、
     ビタミンE、

よもぎ抽出液
 よもぎ汁には抗アレルギー作用、抗炎症作用を持つ成分が含まれており、古くからウルシや草かぶれの治療に民間薬として使われていた。
ただし、人によっては含有成分に対しアレルギー反応を起こすこともあるので注意が必要。

天然保湿因子とは:
 皮膚角質細胞の中に存在し、水分を保持している物質を天然保湿因子(natural moisturization factor NMF)と呼び、皮膚や毛髪に良好な湿潤性を与え、柔軟性と弾力性を与えることからクリーム、化粧水、石けん、シャンプーなどに幅広く使われている。NMFの主な成分を列記すると・・・
  アミノ酸塩、ピロリドンカルボン酸(PCA)塩、乳酸塩、尿素など。


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