■『ジーザス 奇跡の生涯(2000)』■
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聖書 を学びたい人のための映画
■D『映画の中のイエス・キリスト』■
『ジーザス 奇蹟の生涯(原題:Jesus)』2004年 111分

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【スタッフ・キャスト】
 監督:ロジャー・ヤング
 製作:アメリカ フランス イギリス イタリア ドイツ スペイン チェコ
 製作総指揮:ロレンツォ・マイノリ、ジャド・パーキン
 発売:発売:いのちのことば社 ライフ企画/アルバトロス

 出演者:ジェレミー・シスト:イエス=キリスト
     ゲイリー・オールドマン:ピラト総督
     ジャクリーン・ビセット:母マリア
     デビッド・オハラ:マグダラのマリア

【解説】
 ロジャー・ヤング監督がSFXを使って描いた異色のイエス・キリスト物語。
 イエス・キリストは、「白い嵐」に出演したジェレミー・シスト、ピラトをゲイリー・オールドマン、など豪華俳優が演じている。
 一般では、「JESUS 奇蹟の生涯」として販売。

 題名は『ジーザス 奇蹟の生涯(原題:Jesus)』ジーザスとなっていますが、個人的には『キリスト-奇蹟の生涯』の方が良いと思っています。
 遠藤周作もイエスとキリストを分けて考えており、『イエスの生涯』と『キリストの誕生』と二つに分けて書いています。
 彼は、事実と真実の視点から、史実としてのイエスと、信仰者にとってのキリストを分けて考えていたように思います。

 誰にも薦められる福音的映画ですが、宗教映画になるような辛気臭さがありません。
 新古典主義のエルグレコやドラクロワの絵画のように重々しく美しい映像が印象的です。

 この映画には、「山上の垂訓」などのイエスの教えの場面がなく、愛の教えと、奇跡をかなり前面に押し出しています。
 ただの教えだけでは、一般の人々には届かなかったように思います。
 奇跡があり、当時としては革命的な部分があったからこそ、熱狂的に迎えられた部分はあると思うので、キリストの部分を強調した意図は伝わってきたので、『キリスト-奇蹟の生涯』にした方がよいと思った次第です。

 聖書は読んだだけでは理解しがたい部分があり、だからこそ文字が読めない人たちの為にフレスコ画やステンドグラスで聖書の内容を伝える必要があったのだと理解しています。
 そして、この映画は、現代におけるフレスコ画でありステンドグラスのような役割を担った映画のように感じました。

 イエスが自分の使命を知って、死んで復活するまでが解りやすく描かれています。
 頭で理解したから信じるというのがいかにも現代的で、クールだと思われがちですが、世の中には、理解出来なくても、まず信じることで見えてきたり、理解できることがある世界があることを教えてくれている映画のような気がします。
 自分で自分を信じてないから、そこを悪魔につかれると人間はあっけなく、負けてしまうことを、この映画は教えてくれています。
 敵は、悪魔は自分自身の中に存在することがよくわかる映画です。(By天国とんぼ)


【ストーリー】(ネタバレ注意)
 冒頭で1世紀のパレスチナでなく、中世の十字軍と20世紀の世界大戦が流れる。
 人々は「イエス」の名を唱えて戦い死んでいく。
 次のシーンではイエスとヨセフがエルサレムに仕事を探しにいく場面となる。
 パレスナの過酷な経済状況が描かれる(これは聖書にはない。この映画は福音的だが、かなり補足がある)。
 ローマ軍の暴政ぶりも描かれている。
 ヨセフの死後、イエスは親戚の洗礼者ヨハネをたずね修行をする。
 そのあとは、洗礼を受け聖書のとおりに荒野の修行をする。

 悪魔は最初、真っ赤なベールを被ったモデルのような女性として現れる。
 やがて、黒服の男(サイトの多くの感想はスーツと言っているが僧服である)になる。
 このシーンとゲッセマネの祈りのシーンで、この男に、イエスの名によって起こされた十字軍の虐殺魔女狩り、世界大戦などを見せられる。
 荒野での40日の修行を終えナザレに帰ると、近くのカナの結婚式に招待される。
 イエスは陽気に喋り、踊る。
 マリアはぶどう酒がなくなったので、イエスにぶどう酒を頼む。
 当時はぶどう酒は大変高価だった。
 イエスはカメに水をいれて、それをぶどう酒に変える奇蹟を行う。
 その後は、足の不自由な人を癒したり、死んだラザロを蘇生して評判を得ていく。
 イエスはやがて、12人の弟子を選び宣教命令をくだす。
 そのころ、ガリラヤではユダヤ教の一宗派、熱心党(ゼロデ)のローマへの抵抗運動が盛んだった。
 その首領はバラバで、バラバは武力によるパレスチナの解放を目指していた。
 バラバがローマ軍に逮捕されると、イエスにその後継者、メシアとしての期待がかかる。
 しかし、イエスは武力による解放に否定的だった。
 やがて、イエスはエルサレム入城して、神殿で商売をしている商人を追い出 し、家畜を鞭で追い払う。
いわゆる、宮清めである。
 エルサレムの祭司たちは、このままでは民衆が共に立ち上がり、ローマにユ ダヤが滅ぼされると考え、イエスをローマに渡そうと考える。
 ローマの総督ピラトは狡猾・残忍でそもそもイエスに対して敵意を持っていた。
 その仲立ちをしたのがユダである。
 主演のオールドマンが演劇の役者のようにピラトを好演している。
 「最後の晩餐」のあと、ゲッセマネで祈りを終えると、ユダがやってくる。
 ローマ帝国によってイエスは十字架刑に処せられる。
 最後の復活のシーンは福音書の復活証言をうまく、まとめていると思う。
 キリストは肉体をとってマグダラのマリアにあらわれ、やがて弟子たちにも現れる。
 そして、世界への宣教命令を下す。

 大工の息子として育ったイエスは、メシアとして自分の使命に目覚めていく。
 一方、ダビデの王位が与えられると預言を受けた母マリアは、イエスにその使命を果たすように促す。
 イエスは自分の使命を理解し、十字架への道を選んでいく。
 サタンはそうさせまいと働きかけた。
 サタンは未来を見せ、イエスに十字架にかかっても人々は救えないと誘惑する。
 しかしイエスは…。
 十字架にかかるイエスを目のあたりにしたマリアは、イエスの本当の使命を悟るのだった。
 そして、イエスは3日後に蘇った。

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