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『パウロ 愛と癒しの力』2018年 108分 (原題:PAUL, APOSTLE OF CHRIST) (原題:PAUL, APOSTLE OF CHRIST) 【スタッフ・キャスト】 監督:アンドリュー・ハイアット 脚本:アンドリュー・ハイアット 製作総指揮:エリック・グロス、リック・ジャクソン[製作]、ハリソン・パウエル、ジム・カヴィーゼル 音楽:ヤン・A・P・カチュマレク 出演者:ジム・カヴィーゼル(ルカ) ジェームズ・フォークナー(パウロ) オリヴィエ・マルティネス(マウリティウス) ジョン・リンチ(アキラ) ジョアンヌ・ウォーリー(プリスカ) 【解説】 新約聖書に収められたパウロ書簡で知られ、キリスト教を迫害する立場から回心した使徒パウロの物語を、パウロの言葉を書き記し続けた医者ルカの目を通して描いた歴史ドラマ。 「イエス・キリストの最期の日を描いたメル・ギブソン監督の『パッション』でイエス役を演じ話題となったジム・カヴィーゼルがルカ役を務めています。 本作では、イギリスのシェイクスピア俳優ジェームズ・フォークナー演じる使徒パウロを支える、医者のルカを好演しています。 また製作の中に名を連ねており、イエスを演じたことで彼の人生は変わったのかもしれません。 歴史上のパウロやルカの足跡を土台にしたフィクションとはいえ、パウロが看守を導いたことは聖書に記録されており、その部分に触発されて書かれたスト-リーからパウロの信仰と愛を読み取ることが出来、参考になります。 1世紀ローマの時代背景、聖書の登場人物たちを徹底的なリサーチし、実力派の製作陣が古代ローマの世界観を忠実に再現しており、これまであまり描かれてこなかったキリストの死後の弟子たちがどう生き、どう死んでいったかがフィクションではありますが、よく描かれています。 この映画の最後に描かれている「テモテへの手紙」は、「テトスへの手紙」と共に「牧会書簡」呼ばれ、新約聖書に入っています。 パウロが書いたのではないとする説もありますが、一部にパウロの手紙が断片的に用いられていると見られています。 『聖書と典礼』の注記を読んでみますと、パウロが「主の囚人」として獄中にあり、間近に迫る死を覚悟しながら書かれた手紙であろうと説明されています。 切迫する処刑を目前に、「不滅の命」に言及しているところは、映画で描かれるパウロと重なります。 なお、テモテはパウロの弟子となった人物で、ルステラの信者のユダヤ婦人ユニケの子で、ギリシャ人を父に持つためあえて割礼を受けさせたと「使徒のはたらき」には書かれています。 パウロの伝道旅行に同伴し、後にエペソの教会の監督となり、後に殉教したと伝えられています。 パウロも、ルカも、その他のクリスチャン達も、暴力に対して暴力で対抗するのではなく、当時の法に従い処刑されていったのは凄いとしかいいようありません。 悪、暴力や邪悪なものに対して徹頭徹尾愛で返し、その者たちの為に祈り、無抵抗で返すクリスチャンはまさしくイエスの姿そのものであり、信仰のあるべき姿を見た思いがして、涙が止まりませんでした。 フィクションではありますが、聖書の精神を理解して作られた名作だと思います。(By天国とんぼ) 【ストーリー】(ネタバレ注意) 紀元67年、皇帝ネロ統治下のローマ帝国。 首都ローマの街で大規模火災が起こり、皇帝ネロはこれを当時新興の宗教だったキリスト教の信者による放火ということで弾圧を始める。 ローマ兵をはじめ、誰もがネロによる放火であることを知っていたが、タルソのサウロ、別名パウロがその首謀者として逮捕される。 パウロの仲間であるルカは、パウロの言葉を聞き取り、後世に伝えるためローマに潜入する(ルカは後に「ルカによる福音書」と「使徒行伝」の著者となる)。 ネロによるキリスト教徒迫害は激しくなる一方であった。 ルカは、キリスト教徒たちが助け合いながら隠れ住むコミュニティに行き、コミュニティのリーダーであるアキラとプリスラ夫婦と出会い、情報交換する。 パウロはローマのマメルティヌスの牢獄で鞭うたれ、監獄の司令官マウリティウスから斬首の刑を宣告される。 ルカは看守を手なずけ、パウロの牢獄に潜入し面会することに成功する。 良い知らせとして、クレタ島とエペソでテトスとテモテが偽教師を黙らせ正しい教えに導いたことを告げる。 ある日、コミュニティに 血みどろになって運び込まれた女性オクタビアは、夫と息子が殺されたと訴え、「これは私の血ではなく、殺された赤ちゃんの血」と泣き崩れた。 ルカはパウロと会い、相談し、貴方の生涯を描きたいと訴える。 やがて、この潜入は発覚してしまい、牢獄の責任者であるマウリティウスの知るところとなるが、医者で有力なコネを持つギリシャ人である彼を見逃すことにする。 帰る途中、牢獄で火あぶりにされるクリスチャンを目撃するルカは、帰ると残虐なローマ人を愛せないとアキラに告げる。 アキラはコミュニティを解散しエペソに脱出しないかと仲間に持ち掛ける。 ブリスカは、「ローマに残り、孤児や子供のために身を売る母親に味方するためにローマの残る価値はある」と語る。 「ネロには恨みはあるがローマにはないので、ローマ大火事件の犯人はネロだと知り反感を持つローマ人を味方にして戦おう」と若者たちは主張する。 その頃、パウロは「ユダヤの律法学者として、イエスの教えに従い、神殿だけが祈る場所ではないと主張するステパノが神を冒涜していたように見えた」とルカに告白していた。 そして、ステパノの最期の言葉は、まさしくイエスの言葉と同じであったが、「神を冒涜していると思い、イエスを救世主と言う者を全員滅ぼすと誓った」とパウロはルカに語る。 パウロを訪ねるルカに興味を持つマウリティウスには娘がいて、一向に良くなる気配がなかった。 パウロは、「なぜ自分を迫害する「というイエスの言葉を聞く夢を見てうなされているところをルカに起こされる。 娘のことで妻と言い合いをし、神々の怒りを買ったのは誰のせいかでもめ、ネロへの不信感をつのらせるマウリティウス。 クリスチャンの友人の家へ使者に立った少年タルキンが殺され、怒る若者たちは、暴力による反撃を主張するが、ルカとアキラは「暴力に対して暴力で向かうのは信仰ではない」と諭す。 ルカも「悪がはびこるローマに皆我慢の限界が来ている」とパウロに告げる。 「愛は寛容である。〜すべてを耐え忍ぶ。それが愛なのだ」と説くパウロ。 「自分も若者たちのように復讐の道を望んだことがある。破滅の道であった」と語るパウロと書き留めるルカ。 キリスト教徒を取り締まり、自分が神の手となり裁くためにダマスカスに向かう途中、「サウロ、なぜ私を迫害する?」とイエスの声が聞こえ、目が見えなくなるパウロ。 そんなパウロは、アナニアという男が現れ、手を置くと目が見えるようになるという幻を見ていた。 アナニアもまた幻で、「パウロという男を異邦人に伝道する器として選んだので、パウロの家を訪ねなさい」という神の声を幻で聞き、それに従いパウロのところに出向いた。 パウロに手を置くと目からうろこのようなものが落ちて、目が見えるようになったので、アナニアから洗礼をうけたと語るパウロ(使9:1-18) 。 マウリティウスに呼ばれ、書いたものを出させ、この書き物がもしローマへ復讐したり、暴動を企てているようなら、二人とも処罰すると告げられ、ルカも投獄される。 ルカが投獄され、取り返すと息巻くカシウス。「暴力に訴えるものは仲間ではない」と告げるアキラ。落ち着くカシウス。 パウロに癒す力があると聞いて、話を聞こうとするマリティウスに、「そんな力などない。あるのは弱さだけ。弱いから神の力が宿る。弱さだけが誇り」と告げるパウロ。 娘が病気だと告げ、キリストを信じれば治るかと聞くマウリティスに、「分からない・神が決めることだ」と告げるパウロ。 そして、ルカは優秀な医者だとも。 パウロからその話を聞き、「迫害した奴らのために協力しろと?」抗議するルカに、「お前なら理解出来る筈」と告げるパウロ。 ローマ人の医者にお手上げだと告げられるマリティウスに、「神々の怒りを買っているのはキリスト人に肩入れしているあなたのせいよ」と怒りをぶつける妻。 武器を調達し、ルカ達を救おうと監獄に押し入り、衛兵を殺すカシウスに、逃げることを拒否するパウロ。 衛兵が殺されているのを見て、パウロたちが逃げたと思ったのに。 逃げておらず、「逃げていたら長官の命がなかった」と告げる二人を訝しむマリティウス。 カシウスたちが監獄を襲ったと知り、より一層の危険をさとったアキラたちはローマを去る決意をする。 監獄のルカは、囚人たちを集め、迫害する者のために祈り、主の祈りを共に唱えた。 いよいよ危篤状態に陥った娘のためにルカを呼ぶマリティウス。 容体を見て、処置に必要なものをアキラとブリスカの家へ行き、薬を持って来るようにマリティウスにいうルカ。 娘の命を預けてくれたので、仲間の命をあなたに預けるというルカ。 アキラのコミュニティを訪れ、ルカからの使いだと告げ、頭を下げるマリティウス。 娘は助かり、抱き合う母と娘。 「ルカは無事だ」とパウロに告げ、感謝するマリティウス。 「それでもイエスを信じないと言ったら?」と聞くマリティウスに、「いつ私が信じろと言った?」というパウロ。 不思議な笑いが生まれ、「いつかその時が来る。私ではなく、キリストがあなたの心を開くときが」と告げるパウロに感極まるマリティウス。 パウロとルカは散歩しながら、「死が始まりである」と語りながら、『使徒のはたらき』の最後の一説について語り合う。 ルカの書いたものを100部書き写すブリスカたち。 ローマを去るアキラにパウロからのテモテへの手紙を託すルカ。 処刑されるパウロ。 やがて、パウロは神の国で懐かしい人たちと再会する。 そして、待ち望んだあのお方の姿も見えてくる。 | |||||
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