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『聖衣 (原題:THE ROBE)【字幕版】(1953年) 135分 (原題:THE RED ROBE) 監督:ヘンリー・コスター 原作:ロイド・C・ダグラス 脚色:フィリップ・ダン、ジナ・カウス 製作:フランク・ロス 撮影:レオン・シャムロイ 美術:ライル・ウィーラー、ジョージ・W・デイヴィス セット:Walter M. Scott、Paul S. Fox 音楽:アルフレッド・ニューマン 録音:バーナード・フレデリックス、ロジャー・ヒーマン 編集;バーバラ・マクリーン 特殊撮影効果:レイ・ケロッグ テクニカラー・カラー・コンサルタント:レオナード・ドス 配給:20世紀フォックス 出演:リチャード・バートン(Marcellus_Gallio) ジーン・シモンズ(Dianaジーン・シモンズ) ビクター・マチュア(Demetrius) マイケル・レニー(Peter) ジェイ・ロビンソン(Caligula) ディーン・ジャガー(Justus) トリン・サッチャー(Senator_Gakllio) リチャード・ブーン(Pilate) ベッタ・セント・ジョン(Miriam) ジェフ・モロー(Paulus) アーネスト・セジガー(Emperor_Tiburius) ドーン・アダムス(Junia) レオン・アスキン(Abidor) Helen Beverley(Rebecca) Fank Pulaski(Quintus) David Leonard(Marcipor) マイケル・アンサラ(Judas) ジェイ・ノベロ(Tiro) Nicholas Koster(Jonathan) フランク・デ・コバ(Slave_Dealer) ハリー・シェアラー(David) フランシス・ピアロット(Dodinius) エメット・リン(Nathan) トーマス・ブラウン・ヘンリー(Marius(br> Sally Corner(Corneria) 受賞歴:第26回 アカデミー賞(1954年) 第11回 ゴールデングローブ賞(1954年) 【解説】 シネマスコープ方式によって撮影された第1回作品で、「快傑ダルド」のフランク・ロスが製作し、「人生模様」(第1話)のヘンリー・コスターが監督。 聖書に取材したロイド・C・ダグラスの原作を、「愛欲の十字路」のフィリップ・ダンが脚色。 原作者のロイド・C・ダグラスは牧師でしたが、50代にはいってから小説を書き「聖衣」は第一作目。これでベストセラー作家になったそうです 撮影は「哀愁の湖」のレオン・シャムロイ、音楽は「わが心に歌えば」のアルフレッド・ニューマンの担当。 舞台は、西暦30年頃でチイベリウス皇帝治下のローマ。 主役は「クレオパトラ」でエリザベス・テイラーと共演し二度結婚したリチャード・バートン。 ヒロイン役は「スパルタカス」でカーク・ダグラスと共演したジーン・シモンズ。 共演では、「サムソンとデリラ」などの歴史映画で知られるヴィクター・マチュアや、「地球の静止する日」で主役の異星人を務めたマイケル・レニーなど。 構想10年、製作費450万ドル、そして5000人の出演者という、当時としてはスケールの大きな歴史映画でした。 当時大量に量産されていたスペクタクル史劇の一作ではありますが、「十戒」や「スパルタカス」ほど派手な戦闘シーンはなく、キリスト教のモチーフに基づいた物語になっているのが特徴です。 「ベンハー」同様、イエス・キリストは登場しますが、顔は映さず、遠くから引きで撮影しているため、イエスの周辺の人々の顔がより印象的に見えてきます。 マーセラスが、奴隷のディミトリアスに布を渡されるシーンでの「病気の元は呪いではなく、貴方の良心、罪の意識であり、自分を直視するように」言われ、それからは罪の意識から解放されて、心が楽になっていく過程がよく理解できる流れになっています。 「父よ、許したまえ。彼らは自分何をしているかわからないのです。」と言うイエスの言葉の意味が分かったとき、マーセラスにとって聖衣は、呪いではなく、希望でありキリストの愛の象徴となります。 この映画は、1953年の制作ですが、ほとんど時代を感じさせない映像の一つ一つが美術作品のようです。 歴史スペクタクル映画としてだけでなく、ストーリー展開や、内容、選び抜かれた含蓄のある台詞など、緻密に計算されれた脚本はまさしく超一級品です。 いわゆる歴史映画、宗教映画としての質の高さにおいては、頂点を極めていると言っても過言ではありません。 裁判におけるマーセラスの姿は、ペテロの姿とダブって感動的です。 悲劇以外の何物でもないのに、その高揚感や達成感があるクライマックスが最高で、最近このような映画と出会えていないのが残念です。 エンターテイメントでありながら、精神性の高さを感じさせたスタッフの努力ぶりに拍手を送りたいと思います。(By天国とんぼ) 【ストーリー】(ネタバレ注意) チベリウス帝政18年目のローマ。 元老院議員の一人息子、若い貴族の護民官マーセラス・ ギャリオ(リチャード・バートン)は、奴隷市場で、カプリの花とたたえられる、幼なじみのダイアナ(ジーン・シモンズ)に、十二年ぶりに再会する。 幼いながら結婚の約束をしていた二人だったが、父親の死後、チベリウス帝(アーネスト・セジガー)が、彼女の後見をつとめている。 マーセラスは帝位後継者のカリギュラ(ジェイ・ロビンスン)と競って、元貴族で教育もある奴隷ディミトリアス(ヴィクター・マチュア)を競り落とし、そのためキャリグラの恨みを買って、ユダヤ属州のエルサレムへ左遷される。 マーセラスの好意で自由の身となったディミトリアスも行を共にした。 ディミトリアスは、エルサレムに到着して間もなく、白いロバにのった男(イエス)が、民衆に囲まれてすすんでいく姿を遠目に見て、自分と目があったと思い、心を打たれた。 「わたしに従え」――男の目は、そう語っているように思えた。 マーセラスの最初の仕事は、ピラト提督のもとでの、神の子と自称するイエス・キリストを捕まえ、はりつけにすることであった。 。 イエスを本当の救世主と信じるディミトリアスは、イエスを守ろうとしたが、ユダに裏切られて、連行された後だった。 ディミトリアスは総督ピラトにイエスを助けるよう進言をマーセラスに依頼するが無視され、願いむなしく処刑される。 命が切れるのを待つ間、マーセラスは、酒を飲み、同僚とサイコロ遊びに興じ、イエスがまとっていた聖衣を手に入れる。 イエスの命が切れると、にわかにかき曇った天候に、雨を避けようとマーセラスがローブをまとった瞬間、突然うちのめされたように倒れる。 処刑に直接手を下したマーセラスを許せないディミトリアスは赤いローブを奪い取り、もう主人ではない、お前もローマも呪われよとなじって、マーセラスのもとを去る。 以後悪夢にうなされ一睡もできなくなったマーセラスは、カプリ島に滞在するチベリウス皇帝への報告に向かう前に、ダイアナ姫(ジーン・シモンズ)と再会し、自分が病気で、頭がおかしくなっている、結婚の約束は忘れてくれと告げる。 報告に来たマーセラスの様子と、総督ピラトの報告書から並々ならぬ事態が起きていると察した皇帝は、病気の原因と思われる赤いローブを処分することと、イエスの信者の名前をことごとく調べ上げることを命令する。 皇帝は実は呪いなど信じておらず、それよりも人間の自由をへの欲望こそがローマを滅ぼすことを知っており、それを阻止するためにマーセラスを送り込んだのだった。 エルサレムに戻ったマーセラスは、カナ(イエスが結婚式で水をぶどう酒に帰る奇跡をおこなった地)にディミトリアスがいるという情報を得て、商人として、向かう。 そこで出会ったのは、村人の信望を集める誠実な老人ユスト(ディーン・ジャガー)と、その孫でイエスに足を治してもらったヨナタン(Nicholas Koster)という子供だった。 ユストに連れていかれた集会では、キリストが復活したと歌うミリアム(ベッタ・セント・ジョン)という足の悪い娘がいた。 彼女は心をイエスに救って貰っていた。 「神を愛せ」「隣人を愛せ」というイエスの教えは子供にまで浸透していて、高価なロバをあげたヨナタンは友人のダビデに惜しげもなく与えていて、マーセラスを驚かせた。 ミリアムは、マーセラスが何者かをを見抜いていて、彼の病気を治せるのは主だけであると告げ、会わせたい人間がいると、近くの宿の場所を教える。 そこで再会したディミトリアスに、病気の元は呪いではなく、貴方の良心、罪の意識であり、自分を直視するよう言われる。 イエスに心を向け始めると赤いローブが怖くなくなったマーセラスをディミトリアスはイエスの弟子である漁師のペテロ(マイケル・レニー)に引き合わせる。 そこに軍隊がやって来て、マーセラスは隊長と戦って勝てば、撤退することを約束させ、戦いに勝つ。 一緒に旅をしないかという誘うに、ためらいを見せるマーセラスにペテロは、自分はイエスがあの日、イエスを知っているかと役人に聞かれ三度知らないと答えたと告白する。 それを聞いたマーセラスは、自分こそイエスを処刑した張本人であると告げる。 ペテロは、「イエスは、われわれの罪を背負って、十字架の人となった。(「彼らは自分が何をしているのか知らないのです」と執り成しの祈りをされた)、それこそが、主の赦しにほかならない」と答え、その教えに胸を打たれたマーセラスは、イエスの信徒になることを誓い、ペテロと行を共にすることを約束する。 一行はその足でローマへ入っており、新皇帝カリギュラはその情報を知っていた。 君は騙されているというカリギュラは、捕まえていたディミトリアスを拷問にかけ、マーセラスの居所を吐かせようとしているところをダイアナに見せる。 ダイアナに再会したマーセラスは赤いローブの話をする。 ディミトリアスを救出するが、医師に長くはないと告げられる。 そこにペテロがやって来て、奇跡を起こす。 ―セラスは、ディミトリアスを救うために、自らを犠牲にして捕まる。 牢獄でダイアナから明日裁判が開かれると聞かされるマーセラス。 マーセラスは、皇帝を怒らせないでと頼むダイアナに、カナで出会った人々のことを語り始める。 歩けないのを幸運と呼ぶ女、自分の仕事のように力強い言葉を持つ職工、二度と手に入らないロバを喜んで迷うことなく友に上げた少年、自分を守るために主であるキリストを否定したら信徒はいなくなると淡々と語るマーセラス。 自分もあなたや彼らのようになりたいけれど私の信仰は弱く、貴方がいなければと語るダイアナ。 ローマの元老院議員や貴族の前で反逆罪に問われたマーセラスは、信徒であることを認めたが、反逆はしていないと堂々と宣言する。 ダイアナもまたカリギュラに「あなたの納める国で生きたくない。 あなたに偉大な皇帝の名を騙ってほしくない。 貴方は抵抗を滅ぼすでしょう。 皇帝どころか不実で権力に酔う悪魔。 皇帝のまねごとをする怪物です」と言ってのける。 晴れやかな笑顔で刑場に向かう二人にハレルヤの歌声が鳴り響く。 | |||||
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